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第16話

 優しくて甘いライ以外にも、怖いことがたくさんあった。  例えば、一緒に出掛けた時のことだ。  その日はよく晴れていて心地よく、街中のショーウインドウを眺めながら歩いていた。   「あの中だったらどれがいい?」    ライの視線の先に目を向けると、可愛らしいペットショップがあった。希望は、どれってなんのことだろう? ワンちゃん? ネコちゃん? と不思議に思いながら立ち止まる。  中を覗いてみたが、ペットたちは店の奥にいるようだ。ライが何を示して「どれがいい?」と聞いたのか、希望はわからなかった。 「そっちじゃなくて」  ライは希望の肩を指でトントンと叩いて、もう少し手前を指差した。  希望が視線を戻すと、ペットショップのショーウインドウにペット用品が飾られていた。ライが指差した先にあるのは、犬や猫のぬいぐるみだ。みんな売り物の首輪をつけている。他にも様々な種類の首輪が展示されていた。    首輪。    ライが『どれがいい?』と聞いた理由がわかってしまい、希望は震えた。 「どういうのが好き? 素材とか、色とか」  黙ったままの希望に、ライは続ける。強く抱き寄せられた肩が痛い。 「ああ、あれとか似合いそうだな」  ライは赤い首輪を指差していた。  希望の肩を抱き寄せていた手は、ゆっくりと動いて、優しく希望の首を撫でる。首筋から、うなじに指を這わせてると、希望がびくっと震えた。  ふるふると震えて俯く希望の耳元で、ライが低く囁く。 「それとも、貞操帯にする?」 「ひっ……!」      この人、俺に可愛い首輪を付けて可愛がる気だ!

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