確かに、蓮は綺麗な顔立ちをしている。精悍と言った方が良いのかもしれない。 黙っていると、アニメから飛び出して来たヒーローのようだと…常連さんが言っていた。 お蔭で、学校から帰宅して蓮がお店の手伝いに入ると、蓮の居る時間帯は若い女の子のお客様が増えたのは事実。 でも、年齢が上がるにつれて、元々無口だった蓮はあまり話をしなくなる。 いつもムスっとした顔をしていて、お店での営業スマイルしか最近は見ていない気がする。 常連さんに相談すると「反抗期じゃないの？」って言われて、「おお！これが反抗期！」って喜んで赤飯炊いたら怒られたっけ…。 いつの間にか、何を考えているのか分からないヤツになっていた蓮。 そして…、前置きが長くなったけど…今、その息子の蓮が僕のベッドに上半身裸で僕を抱き締めて寝息を立てている。 僕はいつも通りに夜、風呂に入ってからベッドに入った。 その時は間違いなく一人だった。 蓮はその時、既に自分の部屋で寝ていた筈。 僕はいつも目覚まし時計より早く起きるのだが、今朝、暖かい感触に抱き付くと、ギュッと抱き締められて目が覚めた。 「ぎ…ぎゃ～！！！！」 思わず叫ぶと、蓮が「うるさい」と言わんばかりに眉を寄せて目を開けた。 抱き締められた状態で動けないでいると、蓮は再び目を閉じようとする。 「ちょ…ちょっと待て！寝るな！寝る前にこの状況を説明しろ！」 必死に離れようと暴れていると、ギュッと抱き締めて 「うるせぇ、暴れんな！」 そう言われて唇を塞がれる。 「んん！」 唇を割り開き舌が差し込まれる。 歯列をなぞる舌の感触に抵抗しようと唇が開くと、口腔内を我が物顔で蓮の舌が犯す。 舌を吸われて甘噛みされた後、蓮の舌が僕の舌を絡めとる。 ザラリとした舌の感触に、思わず下半身に甘い疼きが走る。 そして蓮の手が、僕の腰に回り蓮と僕の下半身を密着させた。蓮の熱いモノが僕の熱を持ち始めた部分に重なる。 まるで押し付けるように腰を押し付けられ、僕は必死に抵抗した。 「ん…！んん…！！」 何とか離れようと手で蓮の背中を叩く。 平手ではどうにもならないので、こぶしにして殴るように叩くと、やっと唇が離れて 「痛ぇな！」 と、蓮が僕を睨み付けて来た。 「ふざけんな！何するんだよ！」 叫んだ僕に、蓮はしばらく僕の顔をジッと見てから 「悪い…寝ぼけた…」 そう呟いたのだ。 (はぁ？寝ぼけた？…て事は、誰かと間違えたって事？) その言葉で、僕の堪忍袋の緒が切れた。 「ふざけるな！」 叫んで、僕は蓮の頭にげんこつを落した。