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第17話

『チリン』 お店のドアが開き 「いつものね」 常連のお客様の声。 「いらっしゃいませ」 僕と蓮が声を合わせて応えると 「蓮君も、すっかりウエイター姿が板に着いて来たね」 小島さんが「うんうん」って頷きながら呟く。 あれから2年が経過した。 蓮は大学のバスケ推薦を蹴って、このお店で一緒に働いている。 お陰様で、蓮目当てのお客様が増えて助かってはいるけど… 「なんになさいますか?」 オーダーを取る時は、相変わらず無愛想なんだよね。 蓮の様子を見て苦笑いをしていると、お店のドアが開いた。 「いらっしゃいませ」 笑顔で視線を向けると、あれ以来、通い続けてくれている蔦田様だった。 未だにお店の話を持ち掛けられているけど… 「いらっしゃいませ!」 蓮は蔦田様の視界をわざとブロックするように立ちはだかる。 「ちょっと…蓮君、わざと視界を遮っているだろう?」 「何がですか?」 「そこに立たれたら、悠稀君が見えないんだけど?」 「蔦田様、コーヒーを飲みにいらっしゃっているんですよね?」 睨みを効かす蓮に、俺はお店のシルバートレイで蓮の頭を軽く叩く。 「こら!蓮、失礼な態度をするな!」 「痛ぇ!」 「すみません、蔦田様」 最近、蔦田様がハマっているたまごサンドとコーヒーを出すと 「お詫びにデートしてくれたら嬉しいな」 と、手を握られて微笑まれる。 そんな蔦田様の手から、蓮が僕の手を引き剥がして 「蔦田様…。次にハルに触ったら、その手をへし折りますよ!」 と睨んで、僕をカウンターへと押し戻す。 …これ、毎朝の恒例になっている。 慌ただしい朝の時間が過ぎ、15時に昼休みになる。 お店にお客様が居なくなる時間に、交代で軽い食事を食べて店に戻る。 蓮が作ってくれた昼食を取り、お店に戻ろうと自宅から店舗へと繋がる階段を降りて行くと、蓮がお店から中へと入って来た。 「蓮?どうした?」 声を掛けると 「今、店に客がいないから…」 そう言って、僕の腕を引き寄せた。 すっぽりと入る蓮の腕の中に顔を埋めると 「ハル…」 って、少し掠れた声で呼ばれる。 僕が視線を向けると、蓮の大きな両手が僕の頬を包んで唇にキスが降りてくる。 全てを奪うような、荒々しいキス。 「んっ……ふぅ…」 蓮の背中にしがみつき、蓮のキスを受け止める。唇が離れ、チュッと音を立てて首筋にキスの雨を降らしながら、蓮の手がシャツの裾を手繰りあげる、 「ち…ちょっと、蓮。ダメだって!」 無理矢理顔を引き剥がすと 「ハル…。今ここでヤラせてくれないなら、カウンターで触りまくるけど?」 目を座らせて呟かれる。 そして話しながらも、僕の身体に触れる手を止めない。 胸の乳首に指を這わし、乳首が立ち上がると舌で舐め回す。 「あっ……」 小さく漏れた声に、蓮がニヤリとヤラシイ笑みを浮かべ 「ハル…声えっろ…」 乳首に舌を這わせたまま、蓮が笑う。 「やぁ……、舐め…ながら…喋ん…な」 必死に絞り出した声に、蓮は返事の代わりに音を立て乳首を吸い上げた。 「あぁっ……」 仰け反った僕の腰を抱き、蓮は熱く猛る蓮自身を僕自身に擦り着けて腰を振る。 「ハル…ねぇ…ダメ?ハル…」 甘く囁かれる声に首を横に振る。 いつの間にかズボンの前をくつろがせ、蓮は見せつけるように自分の指を舐めて僕の後孔へと触れる。 蓮は着衣を乱す事無く、ファスナーを降ろされて下着が見えている状態の僕自身に腰を進めて擦り着けたまま、下着に手を差し込んで「つぷ」っと後孔に指を沈める。 「あぁっ!」 思わず声が上がると、蓮の指は慣れたように僕の中を掻き回す。 無意識に腰が揺れて、蓮の動きに合わせるように僕自身を蓮自身に擦り付ける。 「ハル……、良いだろう?少しだけ…、ね…」 ねだるような甘い声で蓮が耳元に囁く。 指が2本3本と増える頃には、理性なんて溶け落ちてしまっていた。 (もっと奥…深い場所に…蓮が欲しい) 答える代わりに、蓮のベルトを外してファスナーを下ろす。 すると既に熱を持った蓮自身が、勢い良く飛び出して来た。 「それは…OKって事だよな…」 荒い息を吐く蓮はそう呟くと、僕の身体を反転させてバックの姿勢を取る。 そして何故か下駄箱を開けると、ローションを取り出して僕の後孔へと垂らす。 (お前!何処に何入れてんだよ!) 思わず睨み上げた瞬間、蓮の切っ先が僕の後孔の入口にあてがわれた。 「ハル…入れるよ…」 切羽詰まった声が聞こえたと同時に、「ズン」っと激しい衝撃と共に一気に挿入された。 「はぁ……!」 あまりの激しさに息を飲むと、ガツガツと蓮の腰が激しく揺れる。 「ハル…ハル…」 名前を呼ばれ、肉が当たる「パンパン」っという卑猥な音が響く。 腰を捕まれ、引き寄せるように蓮の動きに合わせて動かされる。 激しく突かれたかと思うと、腰を押さえたままで最奥をグリグリと擦られる。 「や…ぁ…!…蓮、い…ぃ…っ…。」 仰け反った僕の唇に、蓮の唇が重なる、 「あっ……っ!あっ……っ…」 口から出るのが喘ぎ声だけになる頃、蓮の動きが早くなる。 「あっ、あっ、あっ…んぅ…あっ…もぅ…蓮…ダメぇ…。いっ…イクぅ…っ」 全身がガクガクと震え出し、僕の中の蓮を締め付ける。 「くぅ…ハル、ハル…ハル…!」 何度か強く突き上げられ、お腹の中で蓮の迸りが爆ぜるのを感じた。 僕が蓮に腰を捕まれたまま脱力すると、背中に蓮が覆いかぶさって来る。 蓮に背後から抱き締められた状態で、荒くなった呼吸を整えるように呼吸する。 やっと普通に呼吸が出来るようになった頃、蓮が僕のうなじにキスを落とす。

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