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第21話

蓮と別々に寝るようになって、1ヶ月が経過した頃 「何?ハルちゃんと蓮君は喧嘩?」 って小島さんが小声で僕に話し掛けて来た。 「え?そんな事ないですよ」 苦笑いして答えると 「そう?なんかギクシャクしてない?」 って言われてしまう。 苦笑いをして誤魔化すと、オーダーを取る蓮の後ろ姿を見る。 (ギクシャク…して見えるのかな?) ぼんやり考えた。 そしてその日の夕食後 「蓮、話があるんだ」 意を決して声を掛けた。 蓮は表情を変えずに自分の席に座り 「何?」 って聞いて来た。 「あのさ…、もう止めないか?」 そう呟くと、蓮が小首を傾げて 「何を?」 と訊いて来た。 僕は意を決して 「全部解禁するから、無視するのは止めて」 って呟く。 すると蓮はにっこり微笑んで 「なんだ…1ヶ月でギブアップかよ」 そう言って席から立ち上がり、僕の腰を抱き寄せて耳から首筋へとキスを落とす。 僕が慌てて手で蓮の顔をブロックしながら 「小島さんから言われたんだよ。僕達がギクシャクしてるって。それは…営業に良くないし」 って答えると、蓮の動きが止まる。 「何?ハルはお店の為に全面解除するの?」 と言って目を座らせた。 「それだけじゃ…無いけど…」 「けど…って何?」 僕の両手を掴んで手首で一纏めにすると、顎を掴んで 「ねぇ、ハルは俺が欲しく無かった?寂しいとは思わなかった?」 そう言って顔を近付ける。 視線を外した僕に、蓮は僕の唇スレスレに唇を寄せて 「ねぇ、ハル。答えて」 と囁いた。 顎に触れる指。 触れる吐息。 蓮の匂い(かおり) 身体がゾクゾクと震えて腰が抜けてしまう。 『ガク』っと腰砕けになると、蓮が腰を抱く腕に力を込めた。 抱き寄せられ、お互いの熱が重なり合う。 思わず蓮に抱き着いた僕の耳元で 「ハル、どうしたの?」 って揶揄うように囁かれる。 いつの間にか、こんなに蓮を求めていたんだと思い知らされる。 声を聞いただけで、こんなに身体が震えるなんて…。 「蓮…」 思わず縋るように見上げても 「何?どうして欲しいのか、ちゃんと口で言わなくちゃ分からないよ」 そう言って僕の頬に指先で触れて、意地悪く微笑んだ。 少し触れられるだけで、身体が熱くなる。 「ねぇ、ハル。俺はこのままでも平気だよ。今まで、何年待ってたと思う?」 そう言われて、蓮がわざと僕の腰をゆっくりと撫でる。 「んっ…!」 思わず上がる声に、蓮は耳元にわざと吐息がかかるように 「言って…ハル…」 って囁く。 「蓮……、お願い…」 震える声で呟くと 「何?」 と言って、分からない振りをして僕の髪を撫でる。 「ちゃんと言わないと、分からないな…」 クスクスと笑いながら、蓮が僕の身体を壁に押し当てた。 足の間に膝を捻じ込まれ、グリグリと刺激される。 「はぁ……っ」 吐き出した甘い吐息を無視して 蓮の唇が僕の唇を掠める。 「ハル…どうしたいの?」 囁く唇を、抱き着いて強引に奪う。 唇を重ね、蓮の口内へと舌をねじ込む。 求めるように舌を絡め、差し込まれた膝の動きに合わせるように腰を揺らす。 「蓮……蓮……」 唇が角度を変えて少し離れると、僕は名前を呼び続けた。 すると蓮が腰をきつく抱き締めて 「クソ!反則だぞ、ハル」 そう言って僕のTシャツを強引に脱がせた。 首筋から鎖骨、胸へと甘噛みされて声が上がる。立位の状態で激しく愛撫され、もう立ってはいられなかった。

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