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憎めないアイツ【後編】

耕作の家で暮らす様になって 家族になって…… 日々冬美のお腹を眺めながら…… 敬太は悔やむ 耕作はそれを知っていた だから放課後用事があると嘘をついて、白百合女学院を尋ねた 「白石桜子さん……いますか?」 帰宅の女生徒に尋ねると、運よく桜子の友達だった その子が桜子と逢わせてくれた 桜子は耕作の顔を見ると嫌な顔をした 「敬太の嫁が私に何の用?」 「敬太の義理のお母さんは今…どうしてる?」 「一緒に暮らしてる訳じゃないの 苗字も違うでしょ? 私は白石、父方の祖父に引き取られたの お母さんは精神を病んでた あれ以来‥‥逢ってないわ この前、佐藤の義父さんが来て母さんの具合が悪いと聞いたわ 詳しく話を聞けば母さん……息子に犯され続けた……って言ってた まぁ母さんも不倫してたんだから……良いとは言えない お腹に敬太の子が宿っていた 母さんは黙っていた でもね罪の子は……生まれなかったわ 敬太も母親を看取って……父親を恨んでいたんでしょ? 私も同じだから……私も母さんを恨んでいた 傷付いた母さんを見て……いい気味……って想った 私は、捨てられたんだからね でも複雑な問題があったのは確かだった 聞いてもね理解は出来ないし 理解なんてしたくないけどね! 佐藤の義父さんは苦しんでる 自分が引き起こした不倫だもんね 妻は知っていて死んだと聞かされれば……やってられないわよね 今は息子に仕送りする為だけに……あの夫婦は働いてるわ 敬太の嫁が来たって事は、敬太も苦しんでるのね!」 「……ん。敬太は苦しんでる そして自分は汚いんだ……って魘されて泣くんだ 皆……少しずつ歩き出さないと行けないと思う……」 「まさか……敬太が選んだ子が……君だなんてね……」 「君のお父さんが操縦していた飛行機事故の犠牲者の遺族だもんな」  「……知ってたの?」 「兄さんが昔……調べたんだ オレ達の親と兄弟は死んだのに……パイロットは助かった 何してるか……調べたら……飛行機事故の後……自殺してたって……兄さんが教えてくれた 兄さんは……あの家族はバラバラになったと教えてくれた 父親は自殺して……母親は病気で倒れた 戸籍を婚姻前に戻し……子供は父方の祖父が引き取ったと聞いた 君なんだね……」 「そうよ!」 「そろそろ長い呪縛から解き放たれるべきなんじゃないかな?」 耕作は前向きな瞳で桜子を見た 桜子はニコッと微笑んだ 「敬太の選んだ子が貴方で本当に良かったわ……」 「君も解き放たれて良い時が来た 束縛されて呪縛されて……過ごす時は終わったと思うんだ」 「敬太の嫁、私を敬太に逢わせて……」 「良いよ!おいで!」 耕作は桜子を家へと連れて行った 敬太は授業の途中で消えた耕作を心配していた 冬美はソファーに座ってお茶をしていた 敬太はそわそわ……落ち着きがない 「敬ちゃん座ってなさい」 冬美はお腹を擦りながら笑った 「冬美さん……誘拐かな?」 「違うわよ!うちは身代金払うお金なんてないわよ!」 冬美は笑う そこへ玄関がガチャと開く音がして敬太は飛び出した 玄関へ行き耕作に抱き着いた 「……何処へ行ってたの! 心配するでしょ?」 ひとしきり耕作を抱き締め口吻けして……落ち着くと敬太は桜子の存在に気付いた 「お客がいるんだ離せ」 「………何で……耕作……」 「話があんだよ! 兄さんが帰って来たら話をする 敬太、逃げ出さずに聞いて欲しいんだ」 耕作の真摯な瞳を受けて…… 敬太は頷いた 耕作は桜子を応接室に招いた そして敬太に「お茶を入れて」と頼んだ 敬太は……動けずにいた 「義姉さんに頼むか?」 「………僕が入れて来るよ」 敬太はキッチンに向かった 冬美は桜子を見て驚いていた 良輔から聞かされた……話の子に酷似していたから…… 良輔は冬美に総て話していた 両親と兄弟を奪ったパイロットを殺しに行った話も聞いた だが……パイロットは死んでいて……悲しい結末しかなかった……と泣きながら良輔は冬美に話した 誰も幸せになれなかった 誰も幸せじゃなかった 報われない…… 良輔はそう言い泣いた 冬美は良輔に 「なら良ちゃんは幸せになれば良いよ 耕ちゃんと一緒に幸せに暮らせば良いんだよ」 と言い……救ってくれた 良輔が帰るまで耕作は何も話さなかった 敬太は不安で……耕作を膝の上に乗せて抱き締めていた 垂れ目を不安げに染めて……耕作の肩に顔を埋めていた 桜子は何も言わす座っていた こんな情けない敬太を見るのは始めてだった 何時も掴み所のない笑顔で……はぐらかされていた これが本当の敬太なの? 敬太は年相応の顔をしていた 良輔が帰って来て、応接室に顔を出すと耕作は兄の顔を見た そして立ち上がった 「兄さん、こちらは白石桜子さんです 今日は兄さんや敬太に話があって来て貰ったんだ」 耕作が言うと桜子は深々と頭を下げた 「白石桜子です! 今日は敬太に話があって来ました! そして良輔さん……貴方達兄弟にも……」 桜子は良輔に、事故の後の家庭を話し始めた 「私の父親はパイロットでした ですが乗客乗員合わせて300人を乗せて飛行機事故を起こしました 奇跡的に父親を始めとした10人は助かりました 父親は助かった自分を責めて酒に溺れました 母に暴力など奮った事がないのに……酒に溺れ……壊れました そして自らの命を断ちました 母は……父親から受けた暴力で、精神も体調を崩して……実家に戻りました 父方の祖父は私を引き取り母は父親の戸籍から抜けました 独身に戻った母は…… 妻子ある男と不倫関係になりました…… そして再婚したのです その相手が佐藤敬太の父親です」 良輔は言葉を失った こんなにも皮肉につながっていたのか? 何故……こんなにも運命の糸は縺れて搦まってしまった? 敬太も驚いていた 父親の再婚相手が…… 村瀬兄弟と関連があるなんて…… 耕作は、口を開いた 「そろそろ……この狂った呪縛から解き放たれるべきだと思う…… 兄さん……桜子が悪い訳じゃないよね?」 良輔は苦しげに眉を顰め 「……桜子ちゃんが悪い訳じゃない……解ってるよ 彼女も……被害者だ……解ってる」 「桜子は親に捨てられたんだ あの事故さえなければ……桜子だって思うだろ? オレ達も想った あの事故さえなければ……オレ達兄弟は……親を兄弟を奪われずに済んだのに……って!」 耕作は敬太を見た 「敬太、お前もそろそろ呪縛から解き放たれて、現実を見るべきだと思う」 「………耕作……」 「お前の罪の子は死んだって… お前は罪を重ねたんだから…何も罪もない子を供養しないとダメだよ」 敬太は耕作の胸に顔を埋め号泣した 「今は辛くても…… 動き出さなきゃ… 兄さんは腹の子の為に…ね オレは敬太の為に 桜子は自分の為に! 皆、動き出さなきゃいけないと思う 後悔と苦しみに浸かっていても……先には進めない だから現実を見ようよ」 桜子は泣いていた 父親が死んでも泣かなかった 涙なんて自分の中にはない…… そう思っていた なのに何故? こんなにも涙が止まらない…… 良輔は耕作を見た 親の死を受け入れようとせずに時間を止めて……自堕落に誰とでも寝ていた 良輔は耕作を亡くしたくなくて……危惧していた その耕作が歩き出していた 「耕作は強くなったんだな…」 「兄さん……敬太が苦しんでるんだ その苦しみを解き放ってやりたかった それにはオレも動き出さないとな」 耕作の言葉を受け良輔は、桜子を見た 「桜子ちゃん、誰よりも幸せにおなり! 君のお父さんは誰よりも君の幸せを願っていただろうね」 良輔にそう言われ桜子は泣いた 自分は幸せになってはいけないのだと想っていた 多くの人の命を奪ってしまった父の娘だから…… そう思って生きて来た 「………幸せになっても良いんですか?」 桜子は聞いた 冬美は桜子を抱き締めた 「誰よりも幸せになるのよ 冬の寒さに耐えて綺麗な花を咲かせる子になってと親が願った名前なんだよ? 幸せにならなくてどうするの?」 桜子は冬美に縋り付いて泣いた 敬太は桜子の泣く姿など想像もしなかった 皆……傷付いていたんだと知った そして自分も傷付けた…… 敬太は親に逢う決意をした 許されないだろうけど… 前に進む為に…… 動き出さなきゃ何も始められなかった 「………耕作……僕はあの人達に逢うよ…… 君も一緒に来て……桜子、君も一緒に来て……」 桜子は涙を拭って 「仕方ないわね! 着いて行ってあげるわ」 と言った 敬太は耕作を見た 「オレも仕方ねぇからな 着いて行ってやるよ」 そう笑って言うと敬太は耕作に接吻した 執拗な接吻で耕作の口腔を犯す 満足して唇を離す頃……耕作はヘロヘロだった 良輔と冬美は笑っていた 桜子は赤い顔をして 「信じられない……」と呟いた 桜子が敬太の両親に話をすると言い出した そして納得した上で双方逢う場を持つと敬太にそう言った 敬太はそれを了承した 敬太と耕作は制服を着てホテルのラウンジにいた 桜子も一緒だった 少し遅れて……敬太の父親が現れた 敬太は父を見ていた 歳を取って老けた感じがした 日々の苦悩が父を追い詰めて……苦しめた 父親の後ろに義理の母親が立っていた 心労からか……痩せて……抱いていた頃の輝きはなかった 耕作は敬太の両親に頭を下げると 「部屋を取ってあります! 部屋に移動をお願いします」 と頼んだ 二人は了承して……部屋へと移った 静まり返った部屋に…… 重苦しい空気が漂った その空気を断ち切る様に耕作は立ち上がった 「今日はわざわざ起こし戴いて本当にありがとう御座います!」 耕作は二人に頭を下げた 敬太の父親が耕作に 「お呼びした用件を伺います」 と単刀直入に言葉にした 「貴方は今も佐藤敬太を憎んでますか?」 耕作は父親に問い掛けた 「……憎んでなどいません! 敬太は当然の想いを抱いた… 私は妻が生きているのに……彼女の事を愛してしまった… 当然の報いだと……想っています」 「もう……忘れませんか?」 「え?」 「こうして何もなかった事にして生きているのは辞めませんか?」 「………君に何が解ると言うんだ! 私達親子の事をとやかく言われる筋合いはない!」 敬太の父親が激怒すると桜子は口を開いた 「叔父さん、耕作は部外者じゃありません 私の父親の起こした飛行機事故でご両親と兄弟を亡くされているんです」 敬太の義母は驚愕の瞳を桜子に向けた 「母さん、私は貴方を恨んでいました 私を捨てた貴方を恨んでいました 私は何処まで行っても被害者の娘…… 貴方は逃げたんだもんね… 私一人に背負わせて自分は無関係な顔をしていた 義理の息子に犯されたと聞いた時、ざまあみろと想った 自分だけ幸せになろうとした罰なんだと思おうとした」 桜子の言葉に敬太の義母は震えた 「でもね、今は違うわよ! そこの耕作と話していたら、過去に捕われて生きて行くなんて馬鹿らしくなった 母さん!歎くなら敬太と話せば良かったのよ! この先ずっと敬太を避けて生きて行くの? それが母さんの望みなの?」 敬太の義母は桜子を見た 強く逞しくなっていた 置いて出て時はまだ子供だったのに…… その子共を置いて来た 負い目は何時もあった 「強くなったのね……」 「そこにいる子、耕作は両親を亡くしても明るく強いの 何時も前向きで…… 耕作の家族も優しいの…… あの事故でご両親と兄弟を奪った奴の娘だと言うのにさ…… 許して認めて幸せになれと言ってくれた その言葉を受けたら……私は曲がれない 私を許してくれた人達の為に……生きて行きたいの」 敬太の義母は耕作に深々と頭を下げた 耕作は義母に謝った 「敬太は馬鹿な間違いを犯した 死に逝く母の気持ちに囚われて間違いを犯した 敬太はずっと苦しんでいた あなた方も苦しんでいたんですね そろそろ……長い呪縛から解き放たれて見ませんか? 先に進まなきゃ……辛いだけです」 敬太の父親は耕作を見た その総て許した瞳に…… 「………許されますか……?」 と問い掛けた 「許されなきゃ死んで行った魂が憐れです あなた方も敬太も先に進み供養しないとダメだと想います 今すぐは無理でしょうが、何時か……有るがままを受け入れて……許して良かったと想える日は必ず来ます! 敬太を許してやって下さい 敬太は間違いを犯した 敬太は未熟な子供だったんです……なりだけ立派でも心は置き去りにされた子供の様に…儚かった 敬太はこれから償います ですからあなた方も償って下さい 敬太の母親を哀しませて逝かせた罪を償って下さい」 敬太は両親に頭を下げた 「………すみませんでした… 僕は父さんを傷つける為だけに……生きていました そして最大の復讐を遂げた 最大の復讐は父さんの大切なモノを奪う事…… それしか頭になかった…… 自分がいかに愚かでガキだったか……耕作がいてくれたから気づけました…」 敬太は耕作を抱き締めた 敬太の父親は敬太に 「父さんを許してくれ……」 と謝った 敬太は父親に 「僕を許して下さい父さん…」 と謝った 二人は泣きながら見つめ合い…… そして父親は敬太を、抱き締めた 「………お前と話が出来て良かった 逢わずにいれば互いの想いなんて気づけなかった」 「父さん、僕の愛する耕作です 僕の恋人です!」 と、父親に告げた 父親は気付いていた 敬太が誰かに甘える姿は珍しかったから…… 「良い恋人を持ったな…」 敬太は、義母に深々と頭を下げた 「貴方にとったら最低な息子でした ですが、父さんは関係ない 父さんと何時までもいて下さい 父さんを宜しくお願いします」 と、謝って頼んだ 義母は儚げに笑った 耕作は義母の想いが苦しかった…… 義母は敬太を愛していたのだ…… だから不義の子を産もうとした ダメだと解ってるいても……惹かれた 「今はまだ無理ですが……少しずつ……歩みよりましょう 貴方が幸せになる姿を……私達夫婦は見守って行きたいと想います……」 義母はそう言い耕作に頭下げた 桜子は母の胸に飛び込んだ 母が好きだった 母に捨てられた時に…… 恨むしか生きて行けなかった 義母は桜子をきつく抱き締めた 耕作は、敬太の父に 「貴方の娘になります桜子です 愛してあげて下さい!」 そう言った 父親は、ありがとう!と言い桜子を抱き締めた 縺れた鎖が解けて……綺麗に解けて行く様に 縺れ合った想いが解けて行く 時間を掛ければ…… 修復出来ない関係ではない 耕作は微笑んでいた 乗り越えた先に 愛する人を見付けれて本当に良かった 敬太は想った 耕作がいなきゃ…… 迎えられなかった想いだった 「……んっ……ん……んんっ…」 喘ぎが寝室に響き渡る ぴちゃ と言う湿った音が何だかいたたまれない…… 股を閉じようとしたが…… 敬太の身躯が割り込み 股を広げられた アナルを開かれ舐められ濡らされる 「あぁん……毎日はキツイってば……」 敬太はお預けを喰らった犬の様に……耳を萎れさせていた 「ダメ?」 憎めない顔で問い掛ける オレはこの顔に…… 勝てない きっと何年経っても コイツだけには、勝てない 「仕方ないなぁ……」 耕作は股を開いた 「ほれ、来いよ!」 「……色気ないね?」 「オレに色気を求めるな…」 「君は色っぽいよ」 敬太は笑って解れた秘孔に肉棒を挿し込んだ 「……ゃあん……ダメぇ……気持ち良すぎ……」 腰を振って敬太に応える様は……艶めいて…… 敬太は止まれなくなる 「ねぇ、吸って……ぁぁん……ココ…吸って…」 誘われて乳首を吸う すると耕作は自分の性器を扱いだ 敬太はその手を外して抱き着かせた 「……触りたい……はぁん…イッちゃいたい…」 「まだ……耕作の中を楽しませて……」 ギリギリ締め付けられて、敬太も我慢の限界だった 耕作の中は何時もキツイ バネの様な弾んだ腸壁が敬太の肉棒を締め上げて射精に導く…… 敬太はラストスパートをかけた 耕作は性器を敬太の腹に擦り付けて……快感を得ていた 無意識でやるからな……タチが悪い…… 敬太は耕作の中でイッた 耕作も敬太の腹に白濁を撒き散らしイッた 疲れ果てていると…… 中の敬太が嵩を増した 「……ゃん……まだ待って…」 「……ダメ?」 くしゅんと聞いて来るから…… 堪らなくなる 「……ダメじゃない……」 そう言うとニコッと垂れ目を下げて笑った 憎めない…… コイツに翻弄されて快感の渦に飲まれる きっと……一緒に死んで…… と言われても聞いてしまう、自分を知っていた この顔で見られたら…… 許してしまう 本当に憎めないんだから…… 耕作は諦めて快感を求めて喘いだ ずっと一緒にいようね それが二人の願いだった ................END……………… 【あとがき】 読んで下さって本当にありがとうございます この作品はiのべる と言うサイトで書いていた作品です 5分で読める短編 を、コンセプトに書きました 書いてるうちは楽しくて一日で書いた作品です 本当に読んで下さってありがとうございました 2015.4.22

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