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身代わり愛 【後日談】

真紀は結局バイトには来なかった バイトしながら資格を取ると、違う所でバイトを始めた 隆也は…… 兄のような生き方は出来ないと… 真紀と少し距離を取った 別れるのではなく 互いのために……将来の為に距離を置く 誰にも何も言われない自分にならないと このままでは、自分が立つだけで精一杯だった 真紀まで支えたら共倒れだ 隆也は兄と初めて飲んだ時 そう報告した 保は何も言わなかった 「兄貴って本当に性格の悪いよね? 俺は知らずに来たから驚いた 兄弟も両親も……兄貴の性格の悪さは知ってた 結婚間近で花嫁に逃げられても……納得出来たと母さんは言ってた」 結婚位しとかないとダメかな… と花嫁を適当に見つけた 熾烈な性格は隠してた でも面倒になり、結婚が決まったと…同時に… 素を晒したら……花嫁に逃げられた 結婚式……当日の事だった 『あの人と結婚しても私は幸せになれない……』 と花嫁は逃げた 花嫁の親は結構名士で資産家だった 花嫁に逃げられた……保に充分な慰謝料を払って 精算した その慰謝料が手付かずで……晶との、新居に化けたのだ 保は笑ってた 「性格の悪さは昔からだからな」 「俺は知らなかった」 「お前は真実は見ないからな 上辺だけ見て、それがあたかも真実だと想うからだろ?」 「………兄貴は真紀が好きだった……よね?」 「昔はな あのキツい性格をへし折って 俺の好みに調教したかった」 「………え……調教?」 「高校時代から取っかえ引っかえ…… 何でお前は見ないのか…疑問だった」 「兄貴は高校時代から知ってたの?」 「あの性格を矯正しないと…… と想ってた じゃないと辛い人生しか送れない…… まぁ、それも過去の話だ 俺には晶がいる 他は見てる余裕など無い」 ………隆也はやはり兄には叶わない……と観念した 「……兄貴は晶さんと、真紀を重ねた事はないの?」 「真紀と晶は似てないだろ? 似てるとしたら、あの瞳位か?」 「俺は兄貴が羨ましかった 男同士なのに…… 皆を黙認させて……許されて… 戸籍まで入れてるんだもんな」 「俺は恵まれた環境にいたからな 上司だった人が良い人で俺に晶をくれた 戸籍に入れる時も快諾してくれた 相手の親に気に入られてなければ出来ない芸当だった」 気に入られてなければ…… と言うか…… 貴方なら脅して……弱味を見つけて強請りそうなんですけど でも実際、あの日、逢った兄の元上司と言う男は 保を信頼して家族のように受け入れていた 羨ましい現実が…… 兄にはあった 「兄貴と飲めるなんて想わなかった」 「俺は両親とも兄弟と時々飲むぞ! 切っても切れないのが親子と兄弟の縁だからな」 兄の言葉は重かった 保はそう言い晶を、抱き締めた 飲みに行くにも保は晶を連れて行く 一人で置いておきたくないのだ 楽しく話をして隆也とは別れた 家へ帰る、帰り道 保は晶と手を繋いで歩いた 「保サン」 「何だ?何か買って欲しいのでもあるのか?」 「違うよ」 晶は笑った 「保サンずっと傍にいてね」 「当たり前だろ? お前を選んだ日から離す気は無い」 「俺だけを見てね」 「見てるだろ? 何時もお前だけを、見てないか?」 「………見てるね だからミスを見つけやすいの?」 保は笑った 「お前しか見えないからな お前のミスなら直ぐに解る」 「………保サン……」 「……何だ?」 「ローター入れるのやめてよ」 「動かしてないだろ?」 「………奥が……変な感じ…」 「だって弟と逢わせるの嫌なんだもん」 保はしれっと言った 「………保サン……僕は他は見ないよ?」 「俺のだって印を付けとかないと心配」 「………そう言って会社にもローター入れて行けって言ったよね?」 「……なのに晶は出しちゃうもんな」 保は、残念そうに言った 「永遠に俺のもんだからな」 晶を貫く瞳を見れば…… 総て許してしまう 会社以外は! 会社にローターを入れて行けば仕事にならない それでなくても、この男は昼休みとか、人気無い所で犯ろうとするのだから…… 実際…トイレで犯られた 倉庫や屋上……非常階段でも 「……会社で手を出すの辞めてよ」 「それは聞けない! 俺は何時でも何処でも晶が欲しい」 「………狡い……」 「俺の愛のかたまりが、お前なんだからな諦めろ」 保は、笑って晶の手を強く握った 「……きゃ……保サン……だめ…」 保はローターのスイッチを入れた 「今度会社にもローター入れて出勤な!」 「……嫌……仕事したいもん! 俺は仕事する為に行くんだもん」 「………そんな事言う晶の方が狡い… そんな事言われたら……諦めるしかないじゃないか…」 「………保サン……帰ろ…」 潤んだ瞳を向けられ 保はローターのスイッチを止めた 「……晶、身代わりじゃない お前を愛してるの解ってる?」 本気の男の愛を見せつけられた それで疑う余地なんて無い 「うん。俺だけを愛してくれるの解ってる」 「晶、だけだから」 惜しみない愛を囁いてくれる この男は釣った魚に餌を与えすぎて……溺愛する ズブズブに愛して骨抜きにする それでいて、背筋を正して前を向けと蹴り上げる 誰よりも毅然としていろ! そう言い発破を掛ける 工藤保の愛に生きていた なくしたら死んでしまう 愛に生きていた 身代わりじゃなく 自分を愛してくれる保を掴まえた あの日……保に会いに行かなければ…… 掴めなかった愛だった 掌中の宝として 磨き上げて 愛してくれる この人と出逢えて良かった この人を愛して良かった この愛に生きてなければ 自分は今も…… 引き籠もりで…… 目標もない奴だっただろう この愛に生きてるから今がある 「保サン明日は早いから寝よう」 「なら、そこら辺のラブホに飛び込むか? それとも久しぶりに外で?」 どうしても晶を抱くつもりの保には叶わない 「明日は随分手抜きにしてやる」 絶対に嘘だ! 解っていても晶は受け入れる 「なら時間が勿体ないってば」 「酔って走れば酔いが回るぞ それを狙ってるなら……お前がぶっ倒れるぞ そしたら好き勝手やって良いのか! そうか!なら走るぞ」 「……あ!保サン……お願い…」 ローターが中にあるのに……走れば刺激におかしくなる 「保サン……こんなんじゃなく… 保サンが欲しい……」 「ならローターは抜かずに入れるとするか」 「………嫌……気絶する……」 「さぁ、帰るぞ晶」 悪魔のような男に魅入られた 悪魔のような男は…… 何年たっても変わらぬ愛を囁く セックスも手を抜かない 少しくらい……手を抜いても良い…… 晶は、ずんずん引っ張られ 自宅マンションへ帰って行った 帰るなり服を脱がされ 寝室のベッドの上に押し倒された 保は手にローションを持つと 晶のひに垂らした お尻の穴から出てるローターの紐を持つと 「時間が無いんだろ? なら短縮して挿れるか」 「キスは?」 「挿れたら、してやる お前の好きな乳首も吸ってやる」 保は、そう言い性器にもローションを垂らし挿入した 挿入と同時にローターのスイッチを入れられ 晶の感じる部分が震えた 「……ぁぁん…ぁはん…んっ…イイっ……」 「感じてる?」 尖った乳首に吸われ晶は仰け反った 永遠に愛される 永遠に傍にいる 離れない そんな、愛をくれる男を晶は抱き締めた 最初は…… 身代わりだった 保の瞳が…晶の上を素通りしていた だが今は……晶から目を離さない 仕事中、厳しい悪魔でも…… 晶を見詰める瞳は愛に満ち溢れていた 今は身代わりなんかじゃない 晶を愛して 晶も保を愛していた 互いの為にある存在を 二人は見つけた そして努力して 一緒にいられる為の、努力の先へと行った 晶は保を強く抱き締めた 保も晶を強く抱き締めた 永遠に 互いの為にある存在を抱き締めた         END 【あとがき】 この作品はiのべる と言うサイトで発表した作品です 2014・8・6 に完結を迎えた作品です 多くの方に読まれたら 月夜野 書いた意味があります 本当に読んで下さってありがとうございます 2015.4.23

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