6 / 13

金曜日には花を買って 【前編】

何もかもなくした 藤崎夏彦は…… 一人の少年に拾われた 人間不信の夏彦の心を 少年は癒して許した…… ※この作品は【愛の賛歌】に登場した、藤崎夏彦の話です いけ好かない暴君だった藤崎夏彦です 【プロローグ】 金曜日には花を買おう そして君の処へ帰るよ 君だけの処へ 帰ろう……… 「なぁあんた、ずっと此処にいるよな? 帰る家がねぇのかよ?」 突然……声を掛けられた ビックリして見ると…… 我が子と変わらぬ位の年の少年が立っていた 「………え?私ですか?」 夏彦は想わず呟いた 「そう!ずっと公園にいるよな?」 「………ええ。帰る家がないので……」 「家がないのか?」 「ええ‥‥何処にも逝けなくて‥‥身動き取れなかったのです‥‥」 その姿は死に向かいそうで‥‥少年は夏彦が気になって仕方がなかった だからこんな事を謂ってしまったのだと想う 「俺が拾ってやろうか?」 少年はそう言いニカッと笑った 「俺は西条弓弦 弓と弦とかいてゆずる お前は?」 「私か?私は藤崎夏彦……」 「夏彦、俺んちに行こう!」 手が差し出された 夏彦はその手を取った 【出逢いから‥‥】 その日から夏彦は弓弦の家で暮らし始めた 弓弦は独り暮らしをしていた 祖母に引き取られて二人暮らしだったが……春先に祖母は他界した それで弓弦は一人で暮らしていた 祖母と暮らした古びた家で……弓弦は暮らしていた 「好きなだけ暮らして良いぞ」 弓弦はそう言いニカッと笑った 夏彦は信じられなかった…… 何も持たない人間を拾ってくれるなんて…… 「何で……拾ってくれる?」 「あんた、悲しい顔していた 何日も動く事なく公園にいたからさ……声を掛けた」 「……何が望みだ?」 「何も望んでなんかいない…」 「何時もそうやって男を引っ掛けてるのか?」 弓弦は夏彦を殴り飛ばした 「俺は男なんて趣味じゃねぇよ!」 「………ならなんで……」 「死にそうな顔してたからだ……」 「………え?……」 「行く所がねぇなら声を掛けようと想ったんだ」 「……怖くはないのか? 私は……人殺しして来たかも知れないよ?」 「人殺しが名乗るかよ……」 弓弦は夏彦を抱き締めた 「………こんな辛そうな顔した殺人者なんかいねぇよ……」 「………弓弦……」 「俺んちなんて泥棒しようがねぇよ! だから好きなだけ暮らして良いぞ」 「………家賃を入れるから……」 「気にするな……」 家族や会社 総て失った 何もかも失った 暴君で生きて来た自分では…… 再就職も難しかった 悪名高き男を何処の会社が雇ってくれると謂うのか‥‥ 大阪を離れた だけど……生きて行く気力をなくした…… この先……どうしょうか…… 考えていたら…… 弓弦に拾われた 何もない世界に差し出された‥‥救いの手だった 弓弦の家に暮らす様になって幾日か経ち想ったのが 「弓弦、君、幾つ何ですか?」だった ガツガツ飯を食いながら弓弦が「俺か?」と問い掛けた 「俺は18だ」 「高校3年?」 皮肉だな…と夏彦は想った まさか我が子と同い年の子に拾われるなんて…… 「学校行ってるの?」 「行ってるぜ! バイト優先だがな!」 「私も仕事探します!」 「おう!頑張れ!」 「………その前に……服だけ取りに行かねばならないかな?」 え……弓弦は不安げな顔をした 「帰って来ますよ」 夏彦は笑った そして弓弦の頭を撫でた 昔の自分なら考えられなかった 自分の中で変化してゆく…… それが不思議で…くすぐったかった 夏彦は捨てた大阪に向かい、藤崎の家を尋ねた 夏彦の住んでいた家は仮差し押さえされていた 夏彦は晴香に連絡を取った 「晴香姉さん、お久しぶりです」 『夏彦!本当にあんた夏彦なの?』 夏彦を追い詰めたのは‥‥家族も同罪だと姉は想っていた 話し合いもせずに夏彦を避難した そして総てを夏彦に押し付けて‥‥避けていた 夏彦が傍若無人の暴君だったとしても‥‥‥ 何か他に方法はあったのでないかと‥‥悔いていた もしかしたら夏彦は死んでしまったのじゃないか? そんな想いもしていた矢先だったから春香は驚いていた 「姉さん、本当に身勝手な事をしました‥‥ そんは身勝手な事をしたのですが、私は仕事を始めようにも服がないので、服だけ欲しいのですが……」 『夏彦!あんた何処にいるのよ! 書いて貰わないといけない書類もあるのよ!』 「なら藤崎の家に行きます 私は服だけ欲しいのです 良いですか?」 『あんたのモノなら持って行きなさいよ!』 「では藤崎の家で……」 夏彦は電話を切るとベンツを取りに行った 久し振りにベンツに乗り込む 弓弦の家は小さな車なら停められた 夏彦はベンツを売って小さな車を買うつもりだった 夏彦は晴香と約束した時間に藤崎の家を尋ねた 晴香は既に家の前で待ち構えていた 夏彦は晴香に深々と頭を下げた 「姉さん、本当にご迷惑掛けました」 謝る夏彦を晴香は信じられない瞳で見ていた 「………夏彦……あんた……どうしていたのよ……」 「………死のうと思っていました でも死にきれなくて……ホームレスみたいに何日も公園で過ごしました 藤崎夏彦と言う人間は暴君でどうしようもない人間でした 再就職も……大阪では不可能で……静岡まで行きました…」 晴香は信じられなかった 夏彦の顔には苦悩が滲み出ていた 「……私は……総てを捨てて……自分も捨てました…… こんな自分なんか要らなかった…… 姉さん……許して下さい……」 夏彦は深々と頭を下げた 「夏彦……」 「姉さん書類は? 何でも書きます 自分で作った罪ですから…」 晴香は夏彦に書類を渡した 夏彦は書類を総て書いて晴香に渡した 「姉さん、私は今印鑑は持っておりません 姉さんが押して提出して下さい!お願いします」 「………夏彦……これからどうするの?」 「取り敢えず働き口を見付けます…… 考えるのは……それからにします」 「………今何処にいるのよ」 「静岡で……拾ってくれた……少年の家にご厄介になってます ホームレス同然の私が…死ぬんじゃないかって……心配して拾ってくれた少年がいるのです その子は修一と同い年でした 私は……今のままじゃ……修一や他の子に合わせる顔もない ………真っ当な人間になるまで……逢う気はありませんでした…」 「………夏彦変わったね」 「………まだまだです 拾われた恩も返さねばなりません 仕事をして稼いで仕送り出来る程になります」 「無理しなくても良いよ」 「姉さん、服だけ持ち出させて下さい」 「取りに行っておいで 必要なモノは全部持って行って良いよ 殆ど差し押さえられて運ばれからね」 「………私がやらねばならかったのに……姉さんに苦労を掛けます」 夏彦は深々と頭を下げ、服を取りに行った スーツケース一杯にスーツを詰めて、服を詰めた それを下に運び 他のバッグに服を詰め込んだ そして印鑑をポケットに入れると部屋から出た 外の車に詰め込むと、晴香に 「……姉さん、また連絡下さい 携帯番号は変えません 何かあったらお願いします! 我が子に……逢わせられる人間になって出直します」 「……夏彦……」 夏彦は車に乗り込むと、車を走らせた 【一緒】 夏彦は荷物を持って弓弦の家へと向かった 途中でベンツを売りに出した こんな車……見せたくなかったから…… ベンツを売ったお金で小さな軽自動車を買った  納車まで他の車を借りて弓弦の家へと帰って行った 弓弦は不安だった…… 夏彦が帰って来なかったら…… 想像するだけで恐怖だった 夏彦が帰って来て荷物を運び込むと… 弓弦は嬉しそうに笑って出迎えた 「お帰り……」 「ただいま弓弦」 「すげぇ荷物だな」 「働くにはスーツが必要ですからね!」 夏彦は服だけでなく資格の証明書も持ち出していた これで、取り敢えず働き口を探せる 「弓弦、私の住所、此処に入れて良いですか?」   「………え?此処に住むのか?」 「ご迷惑なら近くに家を借ります」 「迷惑じゃねぇよ! んとによぉ!」 弓弦は夏彦に抱き着いた 弓弦は身体的なコミュニケーションを取りたがる 最初は……弓弦が男でも欲しているのかと誤解した 弓弦を組み敷いて……下肢を弄ると……弓弦は泣いた 弓弦は奥手でウブな少年だった ご近所の方が丁寧に教えてくれた情報によると   弓弦はずっと祖母の介護で……学校もまともに行けなかった   と言ってた 弓弦は今、生計の為にバイトに出ていた 「弓弦、話があります」 そう言うと弓弦は泣きそうな顔をした 「……出て行くのか?」 「違います!今日から弓弦に勉強を教えてあげます 生活は学業優先にしなさい! バイトは夜9時までです!」 「………え……それじゃ食えねぇ…」 「私も食費を入れます 二人で協力すれば、やっていけない事はないですよ?」 「………うん……頑張る,…」 「では勉強を出しなさい」 弓弦は勉強道具一色出した この日から夏彦の個人レッスンが始まった 夏彦に褒められたくて…… 弓弦は勉強を頑張った 弓弦の生活が……夏彦で一杯になる 夏彦は弓弦を抱き締めて寝ていた 弓弦は夏彦の布団に入り込んで寝ていた ある朝……夏彦は弓弦に欲情した 弓弦の子供みたいな匂いに…… 欲望を駆り立てられた…… こんな事は……初めてだった この日から……夏彦は弓弦と少しだけ距離を取った 【変化】 弓弦が抱き着こうとすると、すっと夏彦は身躯をずらす 一緒に寝ようとすると…… 夏彦は既に布団の中に入っていた 夏彦の布団にもぐり込むと…… 夏彦は布団から出て行く 弓弦は哀しさと淋しさで一杯だった でも……出て行かれないなら 耐えれる…… 弓弦は淋しかったのだ…… 両親を早くに亡くし、祖母に育てられた その祖母も春先に他界して還らぬ人となった そんな時に夏彦を拾った 絶望した瞳で公園のベンチに座っていた 弓弦は声掛けた 行く場所がないなら拾おうと決めていた 淋しかった…… 抱き締めてくれる腕が…… 欲しかった…… 夏彦の逞しい腕に抱き締められたかった そう考えて……弓弦は赤面した…… こんな考え……夏彦にバレたら出て行くだろう……   夏彦は教員免許を持っていた 取り敢えず公務員資格も手に入れた 大学時代資格という資格を取っておいて良かった 地方公務員を、駆使すれば役所勤め 教員免許を、駆使すれば教師になれる 夏彦は取り敢えず教員免許を駆使して教師になる事に決めた 夏彦は教育委員会に出向き、教師の申請をした 空きがあれば、何処かの学校に配置されるはずだ 弓弦は学校から帰って来たら家事をする 夏彦の為にご飯を作って家の事をする 最初は何も出来なかった夏彦だが、弓弦と暮らして行くうちに洗濯物を畳んだり、掃除位は出来る様になっていた 夏彦は県立高校の数学の教師をする事になった その高校は……弓弦が在籍している高校だった 弓弦の家には遠い親戚と言う形で学校には説明した そして弓弦には回りには同居している事を、隠し通すと約束した 弓弦は数学が苦手だった…… 「 おい!弓弦!」 生徒が弓弦を呼ぶと…… 必要以上に弓弦の方を向いてしまう 西条弓弦は学校ではかなりの人気者だった 「お前、C組由美ちゃんと交際したのかよ?」 弓弦の友達が問い掛ける 「………お前さぁ……俺はデートなんてしてる暇ないの知ってるだろ?」 「でもさ、早く誰かのモノにならないと……陣内にモノにされっぞ!」 夏彦は陣内と言う名前に敏感になる 陣内と言う生徒は男だった 「……陣内は男じゃねぇかよ!」 「お前は男にもケツ狙われてるんだよ!」 「……冗談辞めてくれ……」 やはり男となんて嫌なんだな…… 夏彦は何故か傷付いていた 「授業を始めます!」 夏彦が教室に入って来ると生徒は黙った 夏彦は厳しい教師だった その代わり塾よりも的確に授業を教えるから夏彦の授業はかなり人気が高かった カリキュラムを作って受験対策の授業を優先する 個人差を伸ばして徹底的な指導をしていた 夏彦は高校の教師になり、その頭角を現し出していた 校内で弓弦と出逢っても 弓弦は決して夏彦を見なかった 夏彦が困るから……と近寄らない様にしていた 遠くから…… 夏彦を見ていた それだけで良かった バイトを終えて家に帰ると夏彦が出迎えてくれる 弓弦はそれだけで満足だって 灯りの点いた家に帰る 「お帰り弓弦」 と出迎えてくれる人がいる 「ただいま夏彦……」 弓弦は夏彦に抱き着いた 「今日は……私がご飯を作った…… 簡単だと想ったけど難しいんだな…」 少し焦げ臭い匂いが部屋の中に充満していた 弓弦は笑顔で「焦がしたの?」と聞いた 夏彦はバツの悪い顔をして…… 「少し……」と答えた 料理も作った事がない人間だった 家の事は妻に任せっきりで、それが当たり前だと想っていた 妻とは離婚した 何もかもなくして家に帰ると離婚届が置いてあった 『何も要りません 貴方も要りません』 と妻は離婚届を置いて家を出ていった 夏彦は離婚届を書いて提出した その足で大阪を離れた 何も出来ない男が必死に日々家事を手伝い 料理もするようになった バイトから帰って来る弓弦の為に…… 暖かい部屋と料理で出迎えてやりたかったのだ 焦がした料理でも弓弦は美味しそうに食べてくれた 2人して夕飯を終えると勉強をする 弓弦はかなり勉強が出来る様になって来た 「夏彦、此処解らねぇ」 弓弦が聞いて来た 夏彦は身を乗り出して問い掛けた その時、弓弦の首に紅い跡を見付けた 夏彦はカッとなって弓弦の腕を掴んだ 「……弓弦……この跡は? どうしたんだ?男と寝たのか?」 「………痛い……夏彦……」 「答えなさい!」 夏彦は弓弦を睨み付けて容赦のない瞳を向けた 「………男となんて寝てない……」 「なら何でこんな跡が付くんだ?」 「………陣内が……無理矢理吸ったんだよ……」 「吸わせる様な事をしたのか?」 弓弦はしてない……と首をふった 「………身躯に聞くしかないですね……」 夏彦は弓弦を組み敷いた 「君のココ……処女だと言うなら私を受け入れなさい…」 「………夏彦……怖い……」 夏彦は強引に弓弦の唇に……接吻した 口腔を舌で犯し……味わう 手は……弓弦の服の中に潜り込み……尖った乳首を摘まんだ 弓弦は突然……何が起こったのか解らなかった 流される…… 嫌じゃなかった 夏彦なら良かった だけど瞳から……涙が流れて零れた 夏彦はそれを見て……一気に冷めた 欲望に駆り立てられ……犯そうとした 最低の奴のやる事だった 夏彦は弓弦から離れた 「………弓弦……男は止まれないんだ…… レイプされたくなかったら……拒まないと…犯されてしまうぞ」 「夏彦……」 涙で濡れた瞳を夏彦に向ける弓弦が愛しかった 出来るモノなら…… そんな想いを…… 奥歯で噛み潰す そんな日は来ないから…… こんな何もない男なんて…… 愛される筈なんてないから…… 40近くの男が……何やってるんだ 夏彦は弓弦から離れると…… 浴室に向かった 夏彦は妻とは高校の時に結婚した 高校卒業する前に子供がいた それから立て続けに子供が出来た 家庭を総て妻に押し付けて夏彦は家庭には見向きもしなかった 当たり前と言えば… 当たり前だが……何もかもなくした夏彦は三行半を突き付けられた そんな……男が…… 愛される筈などない…… 夏彦はシャワーを浴びながら…… 出て行くべきか……と思案した 【傍にいて】 弓弦は急に夏彦に押し倒されてビックリした だが、嫌じゃなかった ビックリしたけど、嫌じゃなかった 夏彦になら抱かれても良い…… 愛なのか…… 恋なのか…… 淋しさ故なのか… 弓弦には解らなかった ずっと祖母の介護をして来た 祖母が死んだ後は生活するのに必死でバイトに明け暮れた 同い年の友人がデートしてたり遊んだりしてる時間を食いつなぐ為に働く 交際を申し込まれても断っていた そんな暇なかったから…… 今は夏彦がいてくれるから…… 安定した生活が出来る…… でも夏彦は何時か出て行くかも解らない…… 夏彦…… 何で急に…… 弓弦は泣いた 夏彦は弓弦を、避けた 弓弦の家はあまり広くない 平屋の2Kだった 申し訳程度の庭が着いていた そこは祖母の遺産を相続した親戚の持ち物で……もうじき取り壊しで立ち退きせねばならなかった 夏彦は出て行くのかな…… 弓弦は考えるだけで胸が押し潰されそうになった 好きなのだ夏彦が…… 「夏彦!」 家に帰るなり叫ぶ 消えていたらどうしょう…… 不安で叫ぶ すると奥から夏彦が顔を出す 「お帰り弓弦 どうしたんだ?」 夏彦は優しく笑った 「いなくなってたら……どうしようかと想ってた」 「そんな礼儀知らずな奴じゃないですよ私は…」 夏彦は弓弦の肩を抱いた すると弓弦の身躯がビクッと反応する 夏彦はさり気なく……弓弦から手を離した 最近は夏彦が料理を作り、かなり上達していた 二人で「いただきます!」と言い夕飯を食べる 「弓弦、もうじき期末ですね 君の親族という事で三者面談は個別に内密にして貰います」 「夏彦が出てくれるの?」 「ええ。担任の方には話は付いてます」 「………科学……赤点だから怒る……?」 「科学嫌いなんですか?」 弓弦は頷いた 「なら今度は科学を見てあげます」 何時もの夏彦だった ……それだけで弓弦は泣きたくなった 「………弓弦?どうした?」 「………落第したら……嫌いになる?」 夏彦は弓弦を抱き締めた 「なりませんよ!」 頭を撫でてやると嬉しそうに笑った 「………夏彦……この家…… 年内で立ち退かないとダメなんだ……」 「通知が入ってましたね 敷金礼金分は支払ってくれるので、次を探さないとダメですね」 「……夏彦……出て行く?」 「行きませんよ? まだ君に恩返し出来てませんからね……」 「………夏彦……俺……どうしたら良い…… 此処を出て……住む場所なんて見付けられなかったら……」 弓弦は不安だった 夏彦は弓弦を抱き締め安心させてやった 「………大丈夫だから……」 弓弦は夏彦の胸の中で眠りに落ちた 弓弦は保護者が欲しいだけなんだ 保護者になって弓弦の側にいれば良い こんな弓弦を置いて出てなどいけない…… 夏彦は欲望を……封印する事にした 放課後、見回り当番だった 全校クラスを開けて、確認する 夏彦はまずは、3階の3年のクラスから見回りに行く事にした クラスを見回っているとガタンッと机の倒れる音がした 夏彦は音の方に駆けて行った クラスのドアを開けて 「誰かいるのか!」 と問うと陣内が飛び出して逃げて行った 「おい!陣内!逃げても面は割れてるぞ!」 夏彦は怒鳴った そしてクラスを見渡すと……… 弓弦が床に転がっていた 「……弓弦!!」 夏彦が駆け付けると弓弦は後退った 服は脱げて……下肢は露わになっていた 「……弓弦……此処……挿れられた?」 夏彦が尋ねると弓弦は首をふった だが………服は破られ…… 陣内の精液で汚れていた 夏彦は自分の着ていた上着を脱ぐと弓弦に着せた そしてズボンを履かせて抱き上げた そして職員室に向かうと副校長に……暴行の報告をして 学校を後にした 夏彦は弓弦を家に連れて行くと風呂場に弓弦を連れて行った 服を脱がせると弓弦は震えていた 「私が怖いか?」 「………恐くない……夏彦なら恐くない…」 「洗ってやる……」 そう言い夏彦は弓弦を浴室に床に座らせると身躯を洗い始めた 「何された?」 「………急に鳩尾に拳を入れられ蹲ると……服を破られた そして身躯を舐められた」 夏彦は弓弦の身躯をゴシゴシ洗い 「それから?」と聞いた 「……陣内は俺のちんちんを吸ったんだけど……俺……勃起もしなくて…… そしたら陣内が俺の股にちんちんを挟んでイッたんだ お尻の穴に指を突っ込もうとしてる所で……夏彦が来てくれたから……」 「………弓弦……」 「……俺……夏彦なら良いのに……って想った 夏彦なら全部……されても良い…」 弓弦は夏彦に縋り付いた 夏彦は弓弦を離した 「弓弦が求めているのは……父親の様な温もりだろ? 私が欲しい訳じゃない……」 弓弦は夏彦を殴った 「俺は父親と寝る趣味はねぇんだよ! 夏彦だから……夏彦じゃなきゃ嫌なんだ……」 「………私なんかで良いのか?」 「夏彦が良い……」 夏彦は弓弦を洗うとバスタオルで包んだ そして抱き抱えると布団の上に押し倒した 「嫌と言っても辞めない」 「辞めなくて良い…… 俺を夏彦のモノにして…」 夏彦は弓弦の唇に口吻た そして唇に舌を挿し込み口腔を犯した こんな接吻……生まれて初めてだった 「………男は抱いた事がないから……痛かったら……ゴメン」 「痛くても良い……夏彦のモノになりたい…… ねぇ、俺を消毒して……頼むから……夏彦だけの俺にして……」 そんな事を言われれば…… 夏彦の理性は尽きた 執拗な接吻でメロメロにして意識を朦朧とさせ 唇は下りてゆく 鎖骨に噛み付き…… 尖った乳首に吸い付いた 細い腰に紅い跡を見付け 可愛い性器に吸い付いた そして指は…… 弓弦の秘孔に潜り込んだ 弓弦の先走りが濡れて 秘孔を濡らしていた その滑りを利用して指を増やす 股を広げ脚を持ち上げ蕾を露わにさせると…… 蕾を舐めた ぺろぺろと夏彦の舌が弓弦の蕾の皺を伸ばしてゆく 「……あぁ……ぁん…あぁ…」 弓弦は喘ぐしか出来なかった 経験値ゼロ……だから…… 何をやったら夏彦が喜ぶか……解らない 「夏彦……あぁ……おかしくなりそう……んんっ……」 「弓弦のお尻の穴……指を3本咥えてる……もう良いかな?」 何が良いのか……解らない 「弓弦、息を吐いて……」 息を吐いていたら……切り裂かれそうな痛みが襲った 「……やっ……痛い……夏彦……助けて……」 弓弦を苦しめてるのは夏彦なのに…… 弓弦は夏彦に助けを求めた 「息を吐いて……力を抜いて……」 全部弓弦に埋め込み……夏彦は動かなかった 弓弦は息を吐いた そして身躯を弛緩させた すると……奥に……夏彦の熱を感じた…… 夏彦は肉棒を動かしながら腰を使った 弓弦の良い所を探る様に腰を使ってると…… 「……ひゃ……ダメェ……ぁん……あぁん……イッちゃうよぉ……」 と良い声で鳴きだした 夏彦はそこを集中して擦りあげた 「……ゃあ……はぁん……ゃん……うぅん……あぁっ……」 弓弦の腰が揺れていた 「……気持ち良い?」 夏彦は弓弦に問い掛けた 「……ん……気持ちいい……おかしくなっちゃうよぉ……あぁっ…」 弓弦は腰を揺らして喘いだ 夏彦は抽挿を早めた 弓弦の奥深くに……精液を飛ばした 弓弦はその感覚に身を震わした 体内に……熱い飛沫を感じた 夏彦がイッたんだと思うと…… 弓弦もイケた 弓弦は夏彦の腹に性器を擦り付けて……イッた 軽く痙攣する体内に…… 夏彦が育てられ……硬くなる はぁ……はぁ…… 荒い息が部屋に響く 弓弦の身躯が弛緩すると、夏彦はもっと奥へ潜り込んだ 奥へ……奥へと…… 夏彦の肉棒が弓弦の腸壁を押し上げる ドックン……ドックン……と脈打つ性器の刺激にすら反応して感じてしまう 初めてなのに…… こんなに喘いで感じてたら…… 夏彦は誤解しないか……心配だった 「夏彦……俺…誰とも犯ってないから……」 「知ってますよ…… 感じてるのは私がどこを触れば弓弦が感じるか解るからです」 「………夏彦ぉ……好き……」 「何処が好きですか?」 「家事とか……出来なかったのに……覚えてくれたりする優しい所……きゃっ……あぁっ……硬い……」 「弓弦のです感じなさい」 「夏彦は?ねぇ……夏彦は俺の事好き?」 「好きじゃなきゃ抱いてませんよ……」 後はもう言葉にならなかった 求め合い、一つになり…… 泥のように眠った…… 弓弦は夏彦に抱き着き離れなかった 【何時までも】 夏彦と弓弦は、今の家を出てマンションに引っ越した 総て夏彦が手筈を整えて契約した 弓弦は……夏彦が総て決めるのを見ていた………だけだった 家具は殆ど処分した 新居には新しい家具と寝具が入った 弓弦の部屋も出来た…… 夏彦の部屋も出来た 3LDKのマンションに引っ越し、新生活をスタートさせた 夏彦は弓弦に大学に行く様に勧めた 弓弦は高校を卒業したら働くつもりだった だが、大学に行って夏彦みたいに何でも出来る男になりたいと思った 弓弦は陣内に犯されそうになった が、陣内には倍返しで報復してフッた 今度手を出したら容赦しねぇと言うと、陣内はもう手は出さねぇよ……と約束してくれた で、何とか高校生活後半を送る事が出来ていた 夏彦とは…… あの日エッチしたきっきり あぁ言う行為はなくなった 夏彦は「弓弦は何時か恋をする……その人の為に取っておきなさい……」と言った そんな抱かれなくても、一緒にいられますよ? 夏彦はそう言い笑った 弓弦の弱った時に漬け込みたくなかった 抱いたけど…… それで弓弦の総てを……手に入れたとは想っていない 好き…… とは言った どれ程の好き? 愛じゃない…… 好き この境界線は難しい 夏彦は弓弦を愛していた だからこそ、間違った想いで漬け込んで抱き続けてはいけないと想った 何時か……愛する人が出来る…… 愛を知れば…… 夏彦との行為は…… 愛じゃないと想うだろう 臆病な…… 総てをなくした男は…… もう無くしたくなくて…… 身動き取れないでいた 何時か……弓弦は独り立ちする 今は心細さから頼ってる面が大きい 40……男が…… 何…少年にとち狂ってるんだか…… 夏彦は……日々募る想いに…… 苦悩していた 「ただいま」 弓弦が言うと奥から夏彦が顔を出した 「お帰り弓弦」 部屋には良い匂いが漂っていた あれから夏彦は料理の腕を上げた 「夏彦、今日のご飯は何?」 「見てのお楽しみだよ 手を洗って来なさい」 夏彦はそう言い奥へと踵を返した 弓弦は夏彦によく考えなさいと言われた 弓弦は保護者が欲しかっただけ…… と言った 暖かな腕が欲しいなら…… あげますよ 君が私の子供になれば良いだけです 夏彦はそう言った 夏彦への想い…… 好きだ それじゃ……足らないの? 何で抱いてくれないの? 弓弦には解らなかった 恋愛も……恋もした事が無かった だから……恋愛と言うのが解らなかった 夏彦の携帯に珍しい人物から電話が掛かって来た 夏彦は電話に出た 「珍しいですね君が電話をくれるなんて……」 夏彦は嬉しそうに……呟いた 『晴香さんから聞いたから…』 「何か用ですか?」 『俺は今、一人で暮らしてる お袋の方には行かなかった だからまだ保護者が必要だったりするんだ…… で、電話した……迷惑なら言ってくれ』 「迷惑なんかじゃないですよ 私は君の父親なのは死ぬまで変わりません」 『……親父三者面談に出てくれ』 「良いですよ何時ですか?」 『………明日……午後3時……』 「解りました。 私は学校の方に直接行けば良いのですか?」 『父兄駐車場の前で待ってる…』 「では明日。」 夏彦は電話を切った その光景を……バイトから帰った弓弦が見ていた 「ただいま」 と言っても…夏彦は出迎えてくれなかった で、部屋に入ると夏彦は誰かと電話をして何処かへ行くつもりだった 弓弦の胸がキリキリ痛む…… 夏彦を盗られそうな不安に陥る 「夏彦、ただいま」 リビングまで入ってそう言うと夏彦は弓弦を見た 「お帰り弓弦 出迎えに行けなくてゴメンね」 誰からの電話なの? 明日何処かへ行くの? 聞きたいのに言葉にならなかった 「ご飯が出来てますよ さぁ手を洗ってらっしゃい」 変わらぬ夏彦に…… 弓弦は安堵する 二人で食事をして、お互いの部屋に入って行く 弓弦は……部屋に入って夏彦を想い……オナニーした 初めてだった 夏彦が欲しくて……止まれなかった 夏彦に挿れて欲しくて堪らない まさか自分の身躯が……そんな風になるなんて…… 想いもしなかった 夏彦を愛してるのだ 誰かの腕じゃなく夏彦の腕が欲しい 弓弦はやっと自分の気持ちに気付いた だが……それを夏彦に伝える日なんて…… 来ない 何時か出て行かなきゃいけなんだ 夏彦は恩を感じて育ててくれている その恩で縛り付けてるのは自分だった 離したくない夏彦を…… 離れたくない…… 夏彦ぉ……愛してる 弓弦は呟いて泣いた 翌朝、「行ってらっしゃい」と見送ってくれた夏彦は欠席だった 数学の時間 「藤崎先生はご家庭の事情でお休みです」 と他の教科担任が自習を告げに来て解った 夏彦は何も言ってなかった 何時もと同じ様に見送ってくれた なのに…… 弓弦は不安を隠せなかった 今日はバイトだけど…… 休んで……夏彦を待とうと想った 帰って来るのを見なきゃ心配で……何も手につかない 夏彦は昼近くまで家の掃除をして、弓弦の為に夕飯の支度をして 昼、少し前に家を出た 大阪まで向かう 夏彦は今国産車を乗っていた グレードもそんなに高くはない 高校教師が乗れる程度の車に乗っていた その車に乗り込んで大阪に向かう 高速道路に乗り、ひたすら走る 逃げて来た道を……大阪に向かって走る 何とも……奇妙な感覚だった 夏彦は思う あの日弓弦に拾われなかったら…… 今の自分はないだろう 弓弦に精一杯の事をしてやりたかった 本当は……抱きたかった だが……恋愛も知らない子供なのだ…… 抱いて自分の欲望を……ぶつける事は出来なかった 好き…… 好かれてる でも愛じゃない そもそも弓弦は恋愛も知らない 本当の恋愛を知れば…… 夏彦との関係は……異端だと気付くだろう そんな時が来る前に…… 夏彦は弓弦を手放した 臆病な大人は…… 失う前に…… 見守る方へと回った 狡いから…… 何時か弓弦が…… この人を愛してるんだ……と恋人を連れて来ても…… 親代わりとして祝福してやる為に…… 本当ならしたくない! 祝福なんか……したくない 欲望の総てを弓弦に注ぎ込み…… 愛してるんだ……と大義名分を掲げて弓弦をモノにしたい 雁字搦めに縛り付け……自分しか見えなくしたい…… そんな事…… 出来ないのに…… 夏彦は苦笑した 運転中に考える……事じゃない 夏彦はアクセルを踏み込んだ こんなに、自分は独占欲が強いなんて知らなかった…… 夏彦は午後3時前に次男の修一の通う学校の父兄専用駐車場へと車を停めた 修一は駐車場で待っていた 夏彦は修一を見て、懐かしそうに笑った 修一が今まで見た事のない柔らかい笑顔だった 「………親父……呼び付けてゴメン……」 「気にしなくて良いです 私は君の父親ですから、来るのは当たり前です 久し振りですね……ちゃんとご飯食べてますか?」 「………親父……変わったな……」 「………暴君の分からず屋のエゴイスト……でしたからね」 夏彦はそう言い苦笑した 「………私は……そんな自分を殺しました 昔の自分は……死にました 今は情けない……中年男性の成れの果てです!」 夏彦はビシッとスーツを着ていた 駐車場に無難な国産車が入って来た時…… 修一はまさか父親の車だとは想わなかった ベンツしか乗らなかった父親が無難な国産車を乗ってるなんて想像も付かなかった 晴香は夏彦は変わったと言ってたが…… 人間そんなに変われるもんじゃないと修一は想っていた だが、今目の前にいる父親は…… 昔の面影は……微塵もなかった 教室まで行き修一の担任と逢うと 修一の担任は夏彦を知っていた 「藤崎先生ではないですか! ………え?ご子息ですか?」 担任は驚愕の瞳を夏彦に向けた 「木村君、この学校に転勤だったんですか?」 「そうなんですよ! 奇遇です!こんな所で藤崎先生にお逢い出来るなんて!」 「………木村君、息子の修一の面談をお願いします」 「はい!ご子息は希望大学以上に進めます が、ご子息は地元の大学で良いと言ってるので家族の意見も……と想いました」 担任の木村に説明され夏彦は修一を見た 「上を狙わないのですか?」 夏彦が尋ねると修一は 「俺は地元を離れる気ねぇからな… 工務店も軌道に乗って来たし、地元の大学で良いと想ってる」 「そうですか!では私は何も言いません! 言える権利はありません! 君の好きになさい」 夏彦の言葉が意外過ぎて…… 修一は驚くしかなかった 面談を終えると修一は夏彦に 「少し話さないか?」 と問い掛けた 「良いですよ!近所のファミレスに行きましょうか?」 「命の親父の店でも良いぜ」 修一がそう言うと夏彦は首をふった 「……私には逢いたくないと想います 私もお逢い出来るとは想っていません 本当なら君にも逢えるとは想っていませんでした 私は……よき父ではありませんでした 兄弟達にしても……顔も見たくない人間だと言う自覚はあります」 と言い夏彦はファミレスへと向かった 車から下りると夏彦は修一のドアを開けた そして下りるのを待ってから歩き出す 誰かにそうしてやってるのが染みついていてる風だった ファミレスの席に着きオーダーを注文すると修一は 「親父は今何処に住んでて何やってるの?」と問い掛けた 「私は静岡に住んで、高校教師をしてます」 「再婚した?」 「いいえ‥‥‥私はもう誰とも結婚するつもりはありません 私と一緒になっても不幸になるだけですからね……」 「………親父……あの日姿を消してから…… どうしてたんだよ! 俺は……親父が死ぬんじゃないか……想ってた 晴香さんも……そう思ってた 他はしぶとく生き残るとか言ってたけどな……」 「総てをなくして………私は己のして来た現実を突き付けられ絶望しました 最初はどうしてこうなった そればかりを考えていました 総ては自分が招いた結果なのに‥‥受け止められずにいました 何日か大阪の街を彷徨ました そして今後の事を考えて、仕事を探しもしました だけど悪名高き藤崎夏彦を使う会社は皆無でした 働く場所もない 住む所もなくなった 何処にも逝く場所もない‥‥‥ こんな時に頼れる友も私にはいなかった 総て自分が招いた結果なので、それを受け止めるのに精一杯でした 悔いて‥‥日々私は生きて逝くのに絶望しました 死に場所を求めて静岡の方に流れて行ったんです 日々悔いて生きてました 己のして来た事に反吐が出て‥‥最低な自分を終わらせる方が皆の為なのだと想っていました なのに意気地のない私は死にきれなくて‥‥ 気の抜けた風船の様に、毎日何もする気が起きなくて……死にきれぬ己を悔やみました 生きる気力もなく……このまま朽ち果ててしまおうと想いホームレスの様に公園で過ごしていました」 父親から語られる言葉は信じられない事ばかりだった 「そんな時、何もない私を拾ってくれた少年がいたんです その少年は無償の愛をくれました 此処(自分の家)に住んで良いと言ってくれ……バイトしたお金で私を養ってくれたのです そんな少年に食べさせて貰ってばかりじゃ申し訳ない……と高校の教師を始めました」 「親父は…その少年がいなかったら……死んでた?」 「………多分…生きてはいなかったと想います 最低な自分しか残らなかった 最低な人生を終わらせるしかないと想ってました それが哀しませた……家族や総ての人に体する詫びだと想ってました」 「親父……お袋……浮気してたの知ってる? 詫びる必要なんてねぇよ! 少なくても…あの女に詫びる必要なんてねぇ!」 「………知ってますよ…… でも……私が悪かったのです 彼女を見ないで生活して来ました 彼女は淋しかったのでしょう 許してあげて下さい……」 「………親父…全く別人と話してるみてぇだ……」 修一は苦笑した 「君にも仕送りしなければ……と想っていたのです 日々の生活に追われて出来ませんでした」 「仕送りなんて良いよ! 俺は親父が生きててくれればそれで良い…… 俺は何とか稼げてる じぃちゃんやばぁちゃんがいてくれてる 仲間もいる!だから大丈夫だ!」 「逞しく育ちましたね 本当に申し訳ないです 君に親らしい事が何一つ出来てないのに…… お会いしてしまいました でも本当に嬉しいです! 幸せになりなさい修一 父さんは陰ながら祈ってます」 夏彦はそう言い優しく微笑んだ 昔の面影は何一つない 暴君で利己的な面影はなかった 「親父が住んでる所見てみたい」 「これから来ますか?」 「帰りは適当に帰るから、行きだけ乗せてって」 「帰りも送りますよ?」 「良い!新幹線に乗ってみたかったんだ 還りは新幹線で帰るから良い」 「君、本当に一人暮らし……なんですか?」 優しい両親が孫を一人で放り出したとは想いたくはなかった 「じぃちゃんとばぁちゃんが隣に住んでるけどな一応は一人で暮してる!」 何という言い分 夏彦は笑った ファミレスを出て車に乗り込むと…… 夏彦は静岡に向けて走りだした 「………親父、大阪に帰る気はねぇのかよ?」 運転する父親に話し掛けた 「………顔向け出来る顔はしてません……」 「………今の親父を見れば……許すと想う…… 昔と違う親父に皆ビックリだろうけどな……」 「………何年か掛けて許しを乞います 今すぐ許されてはいけません そう思ってます……」 後は無言で運転して行った 夏彦を心配して弓弦は駐車場の階段で座っていた 何も告げずに出て行くなんて…… 学校から帰ってからずっと待っていた 空はすっかり真っ暗になったのに…… 夏彦は帰って来なかったら…… このまま帰らなかった…… 弓弦は不安だった そんな時、駐車場に夏彦の車が入って来た 車を定位置に停めて、車から下りる夏彦を見て 弓弦は夏彦に飛び付いた 「何処に行ってたんだよ!」 弓弦は怒って夏彦に縋り付いた 夏彦は弓弦を抱き締めて笑った 「弓弦、こらこら、お客さんを紹介出来ないでしょ?」 夏彦の言葉に…… 弓弦は夏彦の胸から顔を上げた 「話は部屋に行ってからで良いですね?」 夏彦はそう言い弓弦を抱えて、修一を促して部屋へと向かった 3LDKの部屋は綺麗に整頓されていた 夏彦は弓弦をソファーに座らせると、修一も座らせた そしてお茶を煎れに向かった お茶を持ちテーブルに置くと夏彦は弓弦を紹介した 「修一、私を拾った西条弓弦君です! 君と同じ高校3年生です 弓弦、私の次男の修一です 修一は君と同じ高校3年生です」 修一と弓弦は互いに顔を見合わせた 夏彦はニコニコして座っていた 「……夏彦に子供がいるなんて知らなかった……」 「言ってませんでしたね……」 「……夏彦に似て賢そうだな…」 「………修一は頭の回転が速い子ですよ」 「………親子だな……顔なんかそっくりだ……」 「どうなんでしょうね? 似てると言うと修一が嫌がりますよ?」 「何で?」 「………私はよき父親ではなかったですからね……」 「……でも親が生きてるだけで良いじゃないか!」 弓弦は叫んだ…… 「……修一は夏彦が嫌いなのか?」 弓弦は問い掛けた 「……昔は……殴り倒してやろうと想っていた」 修一は正直に弓弦の質問に答えてやった 「今は?」 「生きててくれば、それで良いな 死んでなくて良かった……心からそう思う…… あのまま死なれてたら……俺は一生後悔する 親父の事……何も見てなかった気がする…」 弓弦は泣いていた ベソベソ泣いて……俯いた 「……息子が来たって事は…… 夏彦……帰るのか?」 「弓弦……帰りませんよ どの面下げて帰れます…… 私はそこまで厚顔無恥ではありません…… 姉を犯し……ゴミくずみたいに……女を捨てて来た 自覚はあります なので、まだ帰れません 弓弦が大人になるまでは傍にいてあげます」 弓弦は涙で濡れた瞳を夏彦に向けた 修一は弓弦の中の恋心に気付いていた 夏彦を見る瞳は……焦がれて欲していた 夏彦が弓弦を見る瞳は優しく……包み込む様に優しかった 修一は居心地が悪かった 弓弦は修一に話し掛けた 「……夏彦には奥さんはいるのか?」 「………大丈夫だ!離婚なら成立してる」 「そうなのか?」 「心配するな 俺も親父は盗らねぇよ」 「何処にも行かない?」 「あぁ、何処にも行かねぇよ」 弓弦は安堵の息を吐いた 「修一、泊まって行くかい?」 「………帰る……」 夏彦は酷く傷付いた瞳をした 「親父、大阪に帰って来いよ! 弓弦を連れてさ!」 「………弓弦には弓弦の人生があるからね…… 私は弓弦に救われたから……大切な人を見付けるまでは……傍にいようと想うんだ 大阪に帰るのは……それからでも良いかな?」 父親の……弓弦を想う気持ちを目の当たりにした 深い愛だった 見守って…… 見届ける……愛だった 修一は刹那くなった 「………親父……また逢ってくれる? 弓弦、今度友達に逢わせるな! きっと仲良くなれると想う メアド交換しようか?」 修一が言うと弓弦は携帯の赤外線を向けた ついでにラインのIDを教えて、修一は最終の新幹線に乗りたいから帰るわと言い帰って行った 「送るよ」 と言う夏彦を探索しながら帰りたい……と言い納得させて 修一は帰宅の途に着いた 弓弦は親父を愛してる 一目瞭然だった 親父は愛を超越しちまっていた 弓弦を見守り愛しぬく… そして何時か……弓弦の愛する人に渡せる様に見守るつもりなのだ…… 性別を超越してる愛だった 修一は弓弦なら……と想った でも夏彦は……年の差に…… 弓弦を……見守って終えそうな気がした 修一が帰って行くと弓弦は 「……夏彦にあんな大きな子供がいたなんて驚いた……」と呟いた 「君と同い年だよ 修一なら若い……君と同じ時間を刻めるよ?」 「……夏彦……それ、どう言う意味?」 「………私は見ての通り……あんな大きな子供がいる…… 私が君に手を出してはいけなかったんだ……」 「夏彦!何を言ってるか解らねぇ! 俺は夏彦が良い! 幾ら似てても夏彦じゃない! 俺は夏彦しか嫌だ! 夏彦を愛してるんだ! 夏彦と離れたくない」 「………気のせいかも…… 後で気のせいでした……と言われても…… 私は君を手放せないよ? そしたら困るでしょう?」 「困らねぇ! 困るかよ! 俺は夏彦しか要らない!」 弓弦は夏彦の胸に飛び込んだ 「夏彦は気のせいかも……って言ったけど 俺は夏彦しか欲しくない 修一を連れて帰って来た時… 捨てられるのかと想った 夏彦が……手を出してくれねぇなら…… 俺が手を出す! 夏彦を俺のものにする!」 弓弦は泣きながら夏彦の胸に飛び込んで来た そして押し倒して…執拗な接吻をした まさか……こんな積極的に来られるとは…… 想ってもいなかった…… 夏彦は唖然として動けずにいた すると弓弦は夏彦の服を脱がせた 服を脱がし……ズボンも下着も取り去った そして……夏彦の性器に口吻た 「……弓弦……止めなさい……」 「嫌だ!夏彦が欲しいんだ 俺の身躯を夏彦で刻んどきながら……なかった事になんてさせねぇ!」 ペロペロ弓弦が夏彦の性器を舐める 愛がなきゃ出来ない行為だった 弓弦は身をもって夏彦に教えているのだ 夏彦のだから舐めれるんだと…… 夏彦を愛してるから…… 性器だって舐めれる 何だって出来る…… 夏彦の性器が弓弦の口の中で一際デカく膨張すると…… 弓弦の口の中で……射精した 夏彦の精液を弓弦は飲んだ 夏彦は慌てて身を起こし弓弦に 「……そんなの吐き出しなさい」 と言った でも、既に飲んだ後だった 「……弓弦……無理しなくて良いんですよ?」 「無理じゃねぇもん…… 夏彦が欲しかったんだもん… 夏彦は誤解だって一度抱いただけで触ってくれなくなった 俺は……夏彦の熱が欲しくて…夏彦がしてくれたの想いだしてしてた 夏彦がしたくないなら……仕方がないって想ってた でも夏彦が他に行けって言うなら……もう聞かない 夏彦しか欲しくないのに…… 夏彦が駄目って言うなら…… 最後に一度夏彦に触る…… そしたら俺は誰も愛さなくする だから……最後に一度で良いから……触らせて……」 夏彦は弓弦を抱き締めた 「……弓弦……こんなおじさんで良いなら君にあげます」 「……本当に?」 「その代わり……心変わりは許さない…… 私は君を束縛します 私だけしか愛させません 他に行くなら……君を殺す… それでも良いなら……受け取りなさい」 弓弦は夏彦を抱き締めた 「傍にいて夏彦 夏彦ので愛して…… 俺を夏彦だけのものにして…」 夏彦は弓弦を押し倒した 「……前に抱いてから大分経ってます 君のココは硬くなりましたか? それとも何時も触ってた?」 「………触ってない…… でも夏彦が欲しくて……ヒクヒク……嫌らしいんだ……俺の身躯…」 「これからは私があげます ヒクヒクしたら言いなさい」 夏彦は弓弦の身躯を舐めた 丁寧に愛撫を施しフェラと同時に秘孔を弄った 指を挿し込み掻き回す この前鳴かせた良い場所を、擦りあげると弓弦は身躯をピクピクさせて……射精した 「……ぁん……夏彦…おかしくなるぅ……」 「なっちゃいなさい」 「挿れて……ねぇ……夏彦の挿れてぇ……」 赤く熟れた蕾は物欲しげに蠢いていた 夏彦は弓弦の脚を抱えると挿入を、始めた 硬くどぐろを巻いた様に血管を浮き出させたグロテスクな夏彦の性器が弓弦の中へ入って行く 物凄い圧迫感……と快感 「……はぁ……イイっ……擦ってぇ夏彦……奥に欲しい……」 「慌てないで……私はおじさんですからね…… 何度も立て続けには無理です ですから時間を掛けてイカせてあげます……」 夏彦の性器に犯されて、弓弦は快感に喘いだ 夏彦が作り替えて、教えた快感だった 快感も性的知識もない子供に与えた快感だった 夏彦は欲望の総てを弓弦の中にはき出した 弓弦は夏彦の齎す快感に喘いで縋り付き 「夏彦……愛してる……好き…離れないで…」 と夏彦を掻き抱いた 夏彦は何度も弓弦の中でイッた そして疲れて眠りに落ちた

ともだちにシェアしよう!