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第11話 月に変わってお仕置きよ!【後編】

【蝙蝠男】 真島央人は闇に生きる者達との共存条約締結の為に動いていた 手始めに真島は蝙蝠王にコンタクトを取った コンタクトを取ると、蝙蝠王は簡単に逢うのを承諾した 待合場所は都内のホテルだった 真島は指定されたホテルに世良と共に向かった ホテルの部屋に入ると蝙蝠王は一人でソファーに座っていた 「お待ちしていました魔使魔の長よ!」 真島は蝙蝠王の前に立つと深々と頭を下げた 「今回はこの様な機会を作って下って感謝いたします」 と礼を述べた 「堅い挨拶は辞めませんか?」 「そうですね」 「それよりも……貴方の隣の方を紹介して下さいませんか?」 蝙蝠王は世良を見て、優しく笑った 「俺の妻になります世良です」 真島が言うと世良はペコッお辞儀をして 「真島世良です!」とご挨拶をした 「………この子は……牙王の子ですか?」 「そうです!」 「…………よくも……守り通されましたね」 「崩壊寸前の神輿には乗せる気は皆無! 世良も俺の妻としての人生を送る事を望んだ 世良はこの先も何者にも囚われなきモノとなる」 「…………愛ですね」 蝙蝠王はそう言い笑った 「愛に生きる者は嫌いじゃない 貴方が魔使魔を継がれたのなら、闇を収めるに相応しい……宜しいでしょう 貴方の描く絵図に乗って差し上げましょう!」 「俺の描く絵図は、総ては飛鳥井家真贋の意図する先です!」 「…………魔使魔は未来永劫、あの方を護りますか?」 「はい!未来永劫、闇を勝手にはさせません 次代の魔使魔は我が息子が継ぐ事となる 闇に生きる者の境界線を今見直して引くべきだと想っています 闇に生きる者の共存……それの境界線を締結させませんか?」 真島は本題を切り出した 蝙蝠王は訝しんだ瞳を真島に向けた 「………馴れ合えと?」 「馴れ合えとは言ってはいない! 闇に生きる者同士のガイドラインを締結させる と言う案を持ちかけているのです 今後の争いにならぬ様に………です 自覚と教育をして逝かねば、いざという時に足並みは揃いはしません 各々バラバラで生きる時代は終わったと想いませんか?」 蝙蝠王は瞳を瞑り、手を組んで考えていた このまま闇の中で生きて逝くには、色々と弊害がある かと言って……手を組んだとしても裏切られない保証はない…… 真島は畳み掛けて言葉を続けた 「闇に生きる者は単独で生きるには辛い世界だと想いませんか? 総ての闇は魔使魔が支配していると言っても過言ではない どんな情報でも魔使魔はいち早く掴める 何か動きがあれば俺は貴方達の為に情報を飛ばす そして共存の道を逝く為に協力出来る事はして逝く それが、飛鳥井家真贋の示した逝く道です 嫌ならお断りください その代わり魔使魔は貴方達の情報は握り潰します 答えは急がなくとも良いです ちゃんと考えて……一族と話し合われれば良い」 「…………答えは一つしか……あの方は用意しないであろうて!」 「ですね!でも考える時間が必要なら考えれば良いと言っているのです」 真島は一歩も引かぬ姿勢を貫いていた 世良は不安そうな瞳で真島を見ていた 「そんな顔しなくても大丈夫だ」 真島は世良の頭を撫でた その優しい顔に道を決めた男の決意を垣間見た 「お答え致しましょう!」 蝙蝠王は真島の瞳を射抜いて言った 「我等、蝙蝠一族は闇に生きる者達と共存し合う事を飲みます!」 真島は安心した様に笑った 「それが懸命です では詳しい事は飛鳥井家真贋が決めるので 決まりましたら何らかの連絡があると想います」 「………貴方は?貴方は……動かないのですか?」 「俺?俺は総ては真贋の心のままに動くだけです それ以外は動く気は皆無!」 「魔使魔の長よ! 貴殿の祖母、津島とは一緒に戦った事がある 貴殿は津島よりも強い力を持っておられる 行く末が楽しみです!」 「そう言って貰えると……嬉しいです」 「お子を……その子と……作られますか?」 「はい。俺の妻は未来永劫、世良一人ですので!」 蝙蝠王は自分がしていたネックレスを外すと世良の首にはめてやった 「貴方達のお子が継がれて逝く事を、心より願っております その首輪は我の力を練り込んだ宝珠です より強いお子を授かる様に……貴方の妻に授けます」 「蝙蝠王……」 「牙王とは旧友に御座います 旧友のお子の幸せを願わさせて下さい」 真島は頭を下げた 「ありがとう……」 蝙蝠王は真島の頭を上げさせた 「お止め下さい! お二人の行く末を見守りとう御座います」 旧友、牙王とは共に闘った友だった 人の世で生き抜く為に力を合わせて生きた時があった 蝙蝠王は全面的な協力を約束してくれた 真島の仕事は此処までだった 闇に生きる者達の共存のためのガイドラインを作成し、共存条約を締結させる それに第一歩踏み出した 後日、飛鳥井家真贋が見届け人となり共存条約を締結させた これにより、闇に生きる者達の進むべき道は示された 真島は飛鳥井康太達と一緒にそれを見届けた 【妊娠】 世良の体躯は美味しく艶めいて受精が可能になった 「熱いよぉ……ヒロト……だめぇ……」 挿入されると同時にイッちゃいそうになったが、真島の指がペニスの根元を握りしめて達する事は出来なかった 世良の腰が動いて、ペニスを真島の腹に擦り付けた 「しっぽが熱い……爆ぜちゃうよぉ……」 「俺の子が欲しくないのか?」 世良のアナルに挿し込んだペニスを出し入れさせながら、真島は問い掛けた ぬちゃぬちゃ……グチュグチュ…… と部屋に卑猥な音が響いた 「欲しいっ……でも熱くて……変になる……」 「変になれ!」 「痒い……もっと奥っ……掻き回してぇ……」 真島は奥までペニスを挿し込み、激しく抽挿を早めた 「……ゃ……らめっ……イクっ……イッちゃうよぉ……」 腸壁が疼いた 疼いて熱くて……押し潰されそうになった 「一滴残らずお前の中に注ぎ込んでやる」 そう言い真島は世良の奥深くに精液を飛ばした 「………あっ……あぁっ……イッちゃう……」 強い快感に世良は泣きながらイッた…… 真島も射精した筈なのに…… 世良の中の真島のペニスは硬くて…… ドクドク脈打っていた 「………ヒロトぉ……熱い……」 「お前のお腹に……俺の子を宿してくれ」 「………やり方解んないもん……」 「お前が感じまくって俺と同調してくれれば良い」 「………ヒロトの熱い……」 「世良の中も熱いぞ?」 「………溶けちゃう……オイラ……溶けてなくなっちゃう」 「大丈夫だ世良 俺が絶対に離さないから!」 世良は真島の背中を掻き抱いた 真島を締め付け……真島の一部になる 総て溶け込んで……一つになりたい 世良は真島を感じて尽きぬ性欲に翻弄されていた 「………ヒロト……イクぅ……」 「俺もイク……セラ一緒に……」 同時にイッた時、世良の体躯が光った 恍惚と感じる世良の体躯が…… 神々しい光に包まれて光っていた 真島は抜いて、世良を抱き締めた 「……ヒロト……オイラ……死ぬの?」 「見てみろよ世良」 真島が優しく指差す先を見ると…… 世良のお腹が光っていた 光の発信源は世良のお腹からだった 「………オイラ……何か食べたのか?」 「違う、お前と俺の子供が受精したんだ」 「………赤ちゃん?オイラとヒロト……との?」 「そうだ、セラの妖力と俺の妖力とが子供を産みだしたんだ」 「………オイラ……なんか嬉しい……」 「双子だからな……明日にでも飛鳥井に行って聞いてくるか?」 なんせ初めての妊娠だから…… 「オイラ……母さんになるんだ」 「そうだな」 少し心配だが…… 世良は母親になる 世良によく似た子だと良いな と真島は想った 翌朝 真島は飛鳥井建設へと電話を入れた 康太に変わって貰ってアポを取ると 『今日は動かねぇかんな何時でも好きな時に来いよ!』と要って貰ったから、直ぐに出掛けることにした 世良にちょっとだけ良い服を着せて、車の助手席に乗せた 飛鳥井建設の地下駐車場に車を停めると、一階の受付へと向かった 始終、真島は世良の体躯を気遣った 「大丈夫か?世良」 「大丈夫だヒロト」 無事を確かめてから受付嬢の傍へ行き 「真贋にお逢いしたいのですが? 真島央人が来たとお伝えください」 真島が言うと受付嬢はメモを見て確かめた 「真島様ですね 伺っております、どうぞ!」 受付嬢に通されて真島はエレベーターへと向かった そして最上階へと向かい、副社長室のドアをノックした すると榊原がドアを開けてくれた 「お待ちしていました!どーぞ、中へ」 榊原に中へと招かれてソファーに座った 康太は世良をじっと見ていた 真島は康太の前に立つと深々と頭を下げた 「真贋にお聞きしたい事があり来ました」 真島が言うと康太は 「孕んだのか?」と問い掛けた 「はい。昨夜世良のお腹が光りました」 「うん。いるな二人が」 康太は世良を見て、そう言った 「あの真贋……世良は男です なので産むと言う事が……解らないのです どうしたら良いのですか?」 「孕んだ子は少し育てば自分から出て来る 母親の腹は借り腹として入っているだけだ 二人の妖力が合わさって生命を誕生させた瞬間から 子供は意思を持つ存在となり、今は母親の栄養素を吸収している あと少し育てば乳飲み子位の大きさになる そしたら自分から腹の中から出て来る」 自分から腹の中から出て来る と聞いて真島は胸をなで下ろした 世良が苦しむのは、やはり可哀相なのだ 「お前達の子は、色んな人の応援の証だ 蝙蝠王はお前達に力を貸してくれたろ? 世良の父親の力や蝙蝠王の力が、世良の妖力を大きくさせた そしてお前の妖力とで作った子だ! かなり強い妖力を秘めた双児の誕生となる 曲がらぬ様に大切に育てて逝け!」 「はい!ありがとうございます真贋 初めての事なので……不安でした」 「腹の中の子は既にこの世を見据えて生きている その容姿は牙王に近い子と真島の容姿に近い子だ 一卵性双生児の癖に何もかもが違う存在となる」 「魔使魔は子の代に継承しても変わらぬ契約を飛鳥井と結ぶ!」 「真島、幸せにな! 誰よりも世良を幸せにしてやってくれ そして誰よりも幸せにして貰え!」 「ありがとうございます!」 真島は深々と頭を下げた そして飛鳥井建設の副社長室を後にした 飛鳥井建設を後にして、帰る帰り道 真島は「何か食べたいのあるか?」と問い掛けた 「………オイラ……気持ち悪い……」 すっかり悪阻の妻だった 真島は途中、スーパーで買い物を済ませると真島の家へと還って行った 火事で消失した家は、すっかりと元通りに復元して 闇から取り戻して真島の本家として建っていた 真島は本家の家の方へと移り住んだ 家はリフォームして離宮の方と同じように、キッチンや洗面所や大きめのお風呂を作った そして離宮に置いた家電を運び込み 生活をスタートさせた 世良のお腹は日に日に大きくなって行った 人が十月十日で子を産むなら 世良は三ヶ月で子を産む事となった 苦しむ世良の手を握り締めていた 世良は苦しそうに真島の手を握った 「………ヒロト……オイラ……死にそう……」 と痛みに耐えて泣いていた 真島は世良の背中を撫でてやった 陣痛が世良を襲う 世良は………苦しみ悶える中 双子を産み落とした 牙王になるべく牙を持った子と 真島にソックリな黒髪の子だった 真島は産み落とされた我が子を布で包み込んだ そして両手に抱いた 嬰児は真島の手で綺麗に拭われて、産着を着せられた そして世良に見せた 「世良、お前と俺の子だ」 「………ヒロト……オイラ疲れた……」 「ゆっくり眠ると良い!」 真島は世良の頭を撫でた 「あ!………オイラ……母乳出ないや!」 世良が慌てて思い出して言った 真島は笑って世良を撫でた 「大丈夫だ世良 今の世の中、粉ミルクはかなり進化を遂げている」 「……なら大丈夫だね」 そう言い世良は眠りについた 真島の子が誕生した日だった 真島は我が子を腕に抱き…… 感無量になった 我が子だ 世良と作った我が子だった 双児の名前は兄が光牙(こうが)、弟が操人(あやと)と言う 真島と世良と愛し合って授かった我が子だった 【変遷】 真島央人は真島家当主として真島の一族を従え 今や絶大な力を手に入れていた 真島本家は火災で消失した筈なのに……… 寸分違わぬ状態の真島本家を蘇させた その姿は真島津島がいた時と何ら変わりなく 悠久の彼方からそこに在る姿をして建っていた 一族の者は火事で消失した筈なのに、一夜にして復活した本家を目にして…… 真島央人の力量を見せ付けられたも同然だった 真島家当主 真島央人は総てが謎な人物だった 誰も寄せ付けない ………と言うか一夜にして復活した真島本家は、不気味がって誰も寄り付かなかったのだが…… そんな本家に今も住む真島央人は結婚していた 子供もいるらしい ………が、誰も妻や子供は目にした事がなかった 誰も足を踏み入れぬ本家に今も住み生活している事も驚きだが…… 一族の事をまるで見てきた様に監視しているのだから…… 下手な誤魔化しなど一切通用しなかった 名実共に真島のトップに立った真島の力に戦き、誰もが真島に仕えていた 世良はそんな喧噪は一切知らず 誰も寄り付かぬ本家で子育てに奮闘していた 光牙はやんちゃで、操人は寡黙な性格だった だが彼等は母さんが大好きだった 彼等はすくすく育って、生まれて三ヶ月も過ぎた頃には…… 3歳児位の姿になっていた 牙王が妻の満月と共に真島の家を尋ねた 真島の家は今は誰も使用人は住まわせてはいなかった 掃除の業者を定期的に入れて管理させていた だが掃除の業者を入れるのは離宮と本家の迎賓の間のみで、後は真島の居住区には一切人は立ち入り禁止にしていた まぁ近寄ったからと言って入れる訳ではない 闇に四六時中、見晴らせているのだから、その隙を突いて入るのは至難の業なのだが…… 牙王と満月は世良の子と対面した 満月は孫になる子を抱き締めて……泣いていた 「……凄いね……もう牙があるんだね」 満月は兄の光牙を抱っこして、その牙に触っていた 光牙は牙王と同等か、成長したらそれ以上になりそうな力を秘めていた 完全体として光牙は生まれたのだ 満月は完全体として世良を産んでやれなかった事を…… 悔いていた こんな風に産まれたならば…… 手放さずとも良かったのに…… 牙王は満月の肩を抱き締めた 世良は力を放出して子を成したせいか、その容姿は更に犬に近くなっていた 多分変身したら犬男にしかならないだろう…… でも世良は幸せそうな顔をしていた 「かぁちゃま」 光牙が世良に甘えると 「かぁたま」 操人も世良に甘えた 世良は我が子を抱き締めて、世話を焼いていた 牙王は真島に「この子達の戸籍は?」と尋ねた 「世良は戸籍は女にしてあります なので俺の妻として入っているので 二人の戸籍に実子として入っています」 真島はそう答えた 「………真贋のお陰だね……」 牙王はそう呟いた 「はい!あの方のお陰で戸籍のない子にせずには済みました! 操人は真島を継ぐ者です 二人は桜林学園に通わせるつもりですので…… 子供の成長過程をお聞きしたいのです」 なんせ、生まれて直ぐに喋った子達だから…… 「牙狼に関わらず、狼男は生まれて半年で4歳児位に成長する だけど、それ以降は人間の子と変わりのない成長となる 我達が少し此処に住んで、子供達を教育しようか?」 牙王は可愛い孫達を想い、そう口にした 真島は「是非お願いします!」とそれを受け入れた 世良の両親なのだ 大切にしたいという想いなら沢山あった 「牙王は役務も大変でしょうが、次代の牙王を育てるという名目があれば、一族の者も認めるしかないでしょ! 此処に好きなだけ住んで下さい 光牙と操人は貴方達の孫です そしてなにより、光牙は貴方を継ぐ者 俺は牙狼の事は解りませんので、貴方が教育して下さいね! そして孫達を愛して下さい 世良も愛して下さい そしたら世良の寂しかった時間が少しずつ埋まっていきますから……」 牙王は真島の懐の大きさに感銘を受けた 婿殿は文句の付けようのない男だった そして真島は世良を抱き締めて……… 「世良が……逝く時に俺もこの世を去ります 子供達が成人していない時だったら……… どうか子供達の後見人になって、操人を真島の後継者に据えて下さい!」 深々と頭を下げた 牙王は慌てて真島の頭を上げさせた 「………婿殿……止めて下され…… 世良は産後の肥立ちが悪いのですか?」 「力を総て使い果たした……そんな感じです もう世良には変身するだけの力はない……」 かなり長い間生きてきたのだ この先……どれだけ遺っているかは解らない 牙王はそんな真島の想いが痛かった 満月が子を産んだ時の子とを思う 満月は死にかけた その妖力を受け止め切れずに、体躯を弱めた それも世良を手放さねばならぬ要因の一つだった 牙王は世良の頭を撫でた 「父もいる、母もいる……そしてお前には我が子も夫もいる…… 少し休めば元気になる、絶対じゃ! 満月も産後の肥立ちが悪かった でも……こうして生きいるだろ?」 「………父さん……オイラ……死んだりしない?」 「大丈夫だ、そのうち変身だって出来るさ」 世良は「良かった」と安堵の息を吐いた 真島は牙王に 「我が子は成人するまで手放す気は皆無です 成人して自分の運命を受け入れた時 進めば良いと想っている 何処へ逝こうともわが子の人生 総て自分で選ばせる所存です 道は続く為にある きっと我が子は己の道を逝くのでしょうが…… それを無理強いする気はないのです」 真島の愛だった 祖母、津島から貰った愛だった 選択は総て自分で受け入れた それまでは死しても守り通してくれた祖母の愛を我が子に受け継がせる 「………祖母が……そうやって俺を護ってくれました ですので俺も、そうやって我が子を守り通そうと想います」 父の顔をしていた 誰よりも強い愛情で我が子を護ろうとしている父の顔だった 牙王は真島の手を強く握り締めた 「道など……最初から決めずともよい 子は子の定められし道を逝く 我等はそれを見守りたいのじゃ 我と満月はずっと我が子の幸せを見守って逝きたいのだ」 「この家は広い 好きな部屋に住んで戴いて構いません 離れ離宮の方も今は空いてます この屋敷ではなく、そちらの方が楽に生活できるかも知れませんね」 闇の蔓延る本家では気も落ち着かないだろう…… 真島は離れ離宮の方を進めた 離れ離宮の方は今も綺麗に掃除され住める状態になっていた 「離宮の方も見ますか? 中庭で繋がっているので行き来は自由に出来ます」 真島は我が子を抱き上げると、牙王と満月に抱っこをさせた そして庭へと靴を履いて下りると、世良も靴を履かせた そして離宮の方へと案内した 離れ離宮はさながら桃源郷みたいな場所だった 辺りを木々や花々に包まれ 花の香りや優しい緑 そして日本庭園の庭を眺めながらいられる縁側があった 「此処が離れ離宮です」 真島はドアを開けて牙王と満月を部屋の中へ招き入れた 部屋の中はつい最近、真新しい家電を入れて 生活がしやすいようになっていた 「世良が子を生んだので、離宮は住める状態にしておきました これで好きなだけ此処に住んで下さい」 確信犯の発言だった 傍にいられる場所を作って貰ったのだ 牙王と満月は……… 受け入れられ、何時でも逢いに来て良いと言われて…… 胸が熱くなった 牙王と満月は離れ離宮に住むことにした 産後の肥立ちが悪かった世良も 父と母の愛に支えられ 日に日に元気さを取り戻して行った 離れ離宮に住み着くと、居心地が良すぎて困った 牙王としての役務があるのに…… 里には還る回数が減った まぁ里の者は世良が子を産んだのを知っているから…… 激甘な祖父母に成り下がった牙王と満月を見て ある意味、胸をなで下ろした 里に戻ってくる牙王と満月は口は開けば、孫のことばかり言うのだ 写真を見せて孫と我が子の話ばかりをする そんな長は長で見ていて微笑ましいので、許せた 世良を外に出してから…… 牙王は常にギリギリ状態の緊迫感を孕んでいた そんな頃よりは良い 目尻を下げて孫のことばかり話す牙王には余裕が生まれていた いざとなれば一族のために、その命を投げ出して動く それが解っていれば良い 一族のモノだとて、負い目はある 世良を一族に一度も迎え入れる事なく……… 外で生きさせてしまった負い目もあったから…… その子が今は母になり 次代の牙王を生んだと言うなら…… 重かった負い目をやっと下ろせた気になった 牙狼の一族は狼男の一族と一つになった 同じ狼男の一族なのに、仲違いして別々に生息するのはおかしい…… と、牙王が一族を一つに纏め上げたのだ 牙王は何時も口にする 「我が孫に遺すべき明日が少しでも平和なれば…… それでよいのだ」………と。 平和な明日を孫に引き渡す その日を作る為に、牙王は動いていた 初めから総てが上手くいった訳ではない 反発した者や 一族から出て行った者も少なくはない どちらも歩み寄れずにいた そんな時、牙王が光牙を連れて来た 光牙はギクシャクしている一族を目にして 「共に闘えない奴は出て逝って貰わないから ギクシャクしちゃうんだよぉーじぃちゃん!」 と意図も簡単に言い捨てた 牙王よりも甘くない存在 逝く末の王を目にした 光牙を次代の王と一族は認めて、一つになった 祖父馬鹿の牙王は目尻を下げて 「光牙!」と抱き締めた その妖力……牙王を超す 不完全な世良の子供だけど…… その総てが完全体で牙王を超していた 容姿は牙王と同等になるであろう光牙の総ては 父親に酷似していた 顔や姿は真島にソックリだった 光牙の影が伸びて来て…… 光牙をペシンッと叩いた 周りにいた者は唖然として……その風景を見た 「痛いよ父ちゃん!」 『生意気言うならお尻ペンペンだ!』 「父ちゃんゴメン!」 その姿は………子供らしく…… 末は恐ろしいが愛らしかった と、言うのはまた次のお話で…… 世良は出産を終えたばかりの子育て奮闘中なのである 【家族】 世良は日々子育てに悪戦苦闘していた 双児だから何をするにも一緒……だったから世良はてんてこ舞いしていた 真島が見かねて手助けして、何とか子育ては出来ていた 「………央人……オイラ疲れた……」 「セラは甘いから子供達は甘えているんだよ」 「少しは厳しくならないとダメかな?」 「だろ?」 真島はそう言い笑った 厳しくなりきれない世良だから…… 「オイラ……心を鬼にする!」 「………無理しなくてもセラはそのままで良い」 「でも子供達にナメられてるもん」 「………気付いていたか……」 「拳骨、お見舞いしてやる! 母ちゃんの拳骨は痛いんだって思い知らせてやる」 「それは痛そうだな」 「だって言うこと聞かないんだもん」 「危機感を抱かせてないからな……」 「………危機感?」 真島は笑って「そう!危機感だセラ」と言い世良を抱き締めた 「子供を作れば負けてらんないと頑張るかも知れないよ?」 「………オイラ……もうそんな能力ない……」 「産後の肥立ちも良くなりつつあるだろ?」 問い掛けられて世良は頷いた 「それと同時に力も戻りつつあるだろ?」 言われてみれば………そうだった 「でも妊娠する力なんて残ってないよ」 「大丈夫だ世良 俺が力を増幅させてお前の中に注ぎ込めば出来る可能性はあるからな」 「ヒロト……」 「俺はお前が大事だ…… お前を誰よりも幸せにしてやりたい お前に家族を与えたい お前が幸せそうに笑ってられるなら何だってしてるさ」 世良は真島に抱き着いた 「幸せだよオイラ」 「なら子作りするか!」 「………え?……」 真島は世良の服を脱がしに掛かった 乳首を触られると……最近……耳と尻尾が出るようになってしまった 月も出てないのに…… 耳と尻尾が出るなんて…… あり得ない事なのに…… 真島は世良の犬耳を甘噛みした そしてお尻の付け根に生えてる尻尾を握った すると世良の体躯から力が抜けた ついでに首の後ろに噛み付いて……交尾の開始を告げた 「……ヒロトぉ……熱い……」 「発情期が来てるんだよお前」 「………え?発情期……そんなの来てたんだ…」 長らく生きてきたが……発情期なんてのがあるのも知らなかった 真島が初めての人だから…… 真島以外欲しくなかった 真島以外の人間になど触っても欲しくない 「………ヒロト……尻尾が千切れそうに熱い……」 「妊娠するかもな 奥深くに出してやろう」 真島は触手を出して世良の乳首とペニスに搦み着いた 闇を自在に操る真島は、触手を出して世良の体躯に搦み着いて同時に追い詰めて行った 真島は尻尾を掴むと両脚を開いた ヒクヒク蠢くアナルは、先走りで濡れて妖しく光っていた 尻尾は物凄く熱を持っていた 「………オイラは光牙と操人しか産めないって言ってなかったのか?」 世良は息も絶え絶えに真島に訴えた 「状況が変わったんだよ世良 影の世界を統治すべく存在を産むらしい それはお前にしか出来ない事らしいからな 頑張って妊娠させないとな」 真島はそう言い楽しそうに嗤った 「誰が言ってたんだよぉ~」 はぁはぁ息を切らし…世良は言った 「真贋」 それじゃあ……何も言えないじゃないか…… 「………何でオイラが産むんだ?」 「お前の力が……覚醒したからだろ?」 「……オイラ……覚醒なんてしてない……」 何処から見ても犬男にしか見えないのは知ってる! 「もう良い、黙れ! お前にはお仕置きもあるんだからな!」 真島はそう言い解したアナルに挿入した 「……あぁん……深いってば……んっ……あぁん……」 お仕置き 何でお仕置き? 何かしたオイラ??? 世良は快感に流されそうになりつつも……… 考えていた 「何でお仕置きなのさぁ……んっ……はぁん……」 「幼稚舎の保父に触らせたろ? 八百屋の倅にも触らせたろ? 通りすがりの男にも手を握らせたろ?」 はぁ? 幼稚舎の保父に荷物を手渡される時 ふらついて肩を抱かれた 八百屋の倅はおつり貰う時に手を握られた 通りすがりの男は落とし物を拾ってやって感謝されて手を握られた それの何処がお仕置きになるの?? 「………オイラ……お仕置きされる事なんてしてない」 涙目で真島を見ていた 真島は世良に口吻けた 「俺以外の人間に触らせるな 手を握らせたり肩を抱かれるな!」 「それって……」 「嫉妬だ!………悪いか!」 愛されてるって……… こんな些細な事からでも解る 真島は愛をくれる 尽きぬ愛を注いでくれる 世良は嬉しくなって真島の背に腕を回して掻き抱いた 「大好きだヒロト……好きすぎて死んでも良い! こんな感情はヒロトにしか抱かない……」 真島が拾って与えてくれた愛だから…… 「なら俺の子を産めセラ」 「うん!ヒロトの子を産む」 「………下手したら命を落としても産むか?」 「うん!ヒロトが拾った命だから…… ヒロトとの愛の結晶を産めるなら……死んでも良い」 「お前が逝くなら俺も逝ってやるから安心しろ!」 「そう言ってくれるヒロトだから愛してる!」 後はもう言葉にならなかった ギリギリまで引き延ばされた快感を放出した瞬間 世良のお腹が光った 初めての妊娠の時と同じになった 「………オイラ……妊娠したの?」 真島は世良のお腹を撫でて口吻けた そして……嘘……でしょ……と呟いた そして天を仰いで 「………真贋……再び双児に御座います」と告げた 『おめぇらは濃いからな 双児しか出来ねぇのかもな!』 飛鳥井康太の声だった 「………貴方の果てが狂いませんか?」 『大丈夫だ真島 力が強すぎて二つに分けねばならなかったのであろう 人の世を終えれば完全体になる 誰よりも愛して……人の心を教えてやってくれ……』 「解っております 俺とセラの子供ですから誰よりも愛して育てて逝きます」 『………真島……お前達が苦しむ事なく護ってやる だから、その道を尽きるまで逝くが良い』 「ありがとうございます」 真島は世良を抱き締めたままお礼を述べた 康太の気配は閨から消えていた 真島は世良に口吻けた 「セラ……辛くないか?」 「大丈夫だ!ヒロト」 世良の尻尾は嬉しそうに振られていた 世良の感情を知るには嘘つきの唇よりも、尾っぽは正直者だった 真島は双子を寝室に呼び入れた 「我が儘ばっか言うなら、お前達の弟に取って代わられてしまうぞ!」 と太い釘をぶっ刺した 光牙と操人は慌てて父に飛び付いた 「………かぁちゃま……きょうらいうむゅにょ?」と光牙が問い掛けた 「………かぁたま……とられるぅ!」操人は両手に拳を握り締めた 双子は今 4歳児位になっていた この先の成長は人間の子供と変わらずに成長出来るらしかった 世良は疲れて眠そうだった その横に光牙と操人は潜り込み、母親に抱き着いた 「甘えん坊だな」 世良は双子を撫でた 「かぁちゃま、ぼきゅたち ちゅてにゃいよね?」 光牙は母親に訴えた 「かぁたま ぼきゅたち ちゅてにゃいよね?」 操人も母親に訴えた 「何言ってるんだよ…… お兄さんになるんだぞ二人とも!」 世良は嬉しそうに………そう言った 「………ぼきゅ……まけにゃい!」光牙は拳を握った 「だね!………ぼきゅもまけにゃい!」操人も拳を握って宣言した 自分たちを愛してくれる両親を独占して逝けると想っていたのに…… 強敵が現れるなんて……… 央人は「あんまり母さんに手を焼かせるんじゃない」と言い布団に入り込んだ 四人で眠っても充分広いベッドだった 「………ぱぱちゃ……ぼきゅたち……ちゅてにゃいよね?」 スヤスヤ眠る母を見ながら光牙は悲しそうに真島に問い掛けた 「要らない命なんて生み出してない 世良は命をかけて出産した 産後の肥立ちが悪くて寝込んでいたのをお前達は見ていたんじゃないのか?」 「………にゃら…にゃんれ?…」 操人が悲しそうに問い掛けた 「定めだ……俺達が生きていく上で逃れられない定めがある…… その為に俺達は日々生きている お前達も大人になれば解るだろう……」 真島は静かに語った 光牙と操人は静かに真島の話を聞いていた 「俺達の子供は四人になる そして六人家族になるだけだ お前達の弟が出来る……それだけだ」 光牙は父に抱き着いた 「ぼきゅ……きゃわいぎゃる!」 操人も父に抱き着いて 「ぼきゅも…きゃわいぎゃる!」と甘えた 家族がそこに在った 妊娠が発覚してから世良は何も変わりなく生活していた 牙王と満月が我が子を気に掛ける 真島と子供達も世良を気に掛けて大切に過ごしていた そんな中、世良は出産した 比較的に楽にポンって生み出した お腹が光って、蹲ると足下に双児が生み出されていた 真島は双児を抱き上げると体躯を拭いて産着を着せた 満月と牙王が嬰児を手にした 真島は牙王と満月に 「その子は真贋から依頼された子なのです」 と想定外の出産だったと告げた 牙王は「………あの方からの依頼でしたか……」と呟いた 満月はすっかり祖母になり光牙と操人と共に、新しい家族を見せていた 光牙が「ばぁちゃ……ちっちゃいねぇー」と嬉しそうに弟の誕生を喜んだ 操人も「ばぁたま まっからね!」と弟に触れた 世良は真島の手を握り締めると 「お腹減った……」と空腹を訴えた 真島は「今作ってくる、待ってろ!」と言い席を立った 真島と一緒に牙王も席を立った 「………あの子は……只者ではないですね……」 牙王は真島に問い掛けた 「夜叉王と言う皇帝炎帝によって魂を浄化された存在です……」 真島は事の真実を牙王に明かした 「……夜叉王……」 牙王は思わず……後退った 「あの魂は無垢な存在 夜叉王の魂は冥府の火炎地獄を経て再生される道を辿った 夜叉王に人の心を教えて愛を教える 魂は夜叉王の魂かも知れないが…… あの双子は世良と俺が愛し合って授かった結晶なんです 愛して牙王と操人と共に育てて逝くと決めています」 真島は覚悟を語った 牙王は「世良の子なら我の孫……我も満月も愛して育てる助けをする!」と真島の手を握り締めた 「真贋は何も知らずに育った哀しき魂に、人を愛する心を教えたいのです 愛されて育った優しさを教えたいのです あの双子は俺とセラの愛の結晶です どの子も俺は愛して……我が子のためなら命を賭してでも守り通すと決めている」 「………婿殿!我等も我が息子と孫の為に…… この命賭してでも守り通す所存です! お前達の手助けをする……そう決めておる」 「………牙王……」 「婿殿、お主は……我が息子を愛してくれた そして次代の牙王を産み出してくれた 一族の者総てが光牙を認めた 持っている力は我以上の次代の牙王を得た…… 滅び行くのを待つしかないと絶望の中にいた牙狼の一族に光明を授けてくれたのだ……」 「そんなたいした事などしておりませんよ牙王」 真島は世良の食事の支度をすると牙王に持たせて、一緒に部屋へと戻った 部屋に戻ると……… 部屋には飛鳥井康太が伴侶の榊原伊織と共にいた 「真贋、お見えになるならお迎えに逝きましたのに…」 「………真島、無理を言ったな」 康太は真島に深々と頭を下げた 真島は慌てて康太を止めた 「止めてください!」 謝られたくないのだ 世良に何かあれば護れなかった自分を悔いて…… 世良の後を追うと決めていた そうなる前に真島は持てる限りを尽くして世良を護るつもりだった だから謝られたくはなかったのだ 世良が命を賭けて守り通した子供なのだから…… 「この……悲しき魂を救ってくれ……」 康太は真島にそう頼んだ 「解ってます真贋 この子は俺とセラの子です! 兄が構い倒して、祖父母も構い倒しすでしょうから、俺は厳しい父になります そして愛が何か教えていけたらと思います」 真島の言葉に康太は安堵した様な顔を見せた 真島は康太に「子の命名をお願いします」と謂うと、榊原が真島に命名の紙を差し出した 真島はその紙を受け取って広げると、子の名前が達筆な字で書いてあった 「誠人(せいと)と愛人(まなと)? その呼び名で良いのですか?」と尋ねた 「人の心を忘れて妖魔へと堕ちた夜叉王の悲しき魂を浄化して二つに分けた魂を受け継ぎし双児の名前だ 決して曲がる事なく人の世を生きる子が精一杯誠実で愛を知った子になれる様にな願って着けさせて貰った」 牙王は「良き名ですな、我もこの子を愛しましょう! 痛みも悲しみも、喜びも楽しみも日々噛み締めて育てましょう! 誰よりも人らしく 誰よりも人として 生きて逝ってくれる事を‥‥我も願ってその成長に手を貸すとしようぞ!」 と宣言した 真島は二人をその手で抱き上げて口吻けを落とした 「俺の子に生まれて来てありがとう」 我が子に生まれて来てくれてありがとうと想いを伝える そんな父の様を光牙と操人はその瞳に焼き付けていた きっと父は自分達の誕生の日もこうして迎え入れてくれたのだろう 惜しみのない愛で包んでくれていたのだろう 光牙は父の腕の中にいる兄弟に 「ボクがおにいしいしゃんらからね!」とアピールした 操人も「ボクもきみのおにーしゃんらからね!」とアピールしていた 牙王と満月は息子の家族を愛で一杯に支えようと心に誓った 康太は世良に産後の肥立ちの薬を飲ませると、榊原と共に帰って行った 子育ては大変だけど、祖父がいて祖母がいて 愛する夫がいてくれる お兄ちゃんになった二人も手伝ってくれ誠人と愛人は日々育って行った この子達は牙王の影響を受けてないのか、人と同じの成長だった 世良は我が子を精一杯愛した 愛されずに育った子が、我が子に同じ寂しさを味合わせない様に日々子育てに奮闘していた この先も世良は笑ってどんな困難も真島と共に戦って生きて逝くだろう 光牙と操人はそんな父と母を助けて生きて逝くだろう 誠人と愛人は何も力を持たぬ人間として生を成した だが父も母も兄達も、誠人と愛人を愛して育てて曲がらぬ様に育てて逝くだろう 夜叉王は欠けた半身を見つめ幸せを噛み締めていた 欠けた半身も己を見て幸せだと感じていた 泣きたい位‥‥幸せを感じて怖いと想った 明日‥‥‥この人たちが死んでしまったら‥‥ と想うと怖くて堪らなくなった 人の命の尊さを知る 人の命の呆気なさを知る 日々生きていく楽しさを知る 人とは何とも面倒で‥‥‥ それでいて日々‥‥幸せに満ちているのだろうか‥‥ 夜叉王が味わった事のない世界 知らなかった世界 皇帝炎帝 誠‥‥御主は‥‥甘くはないわ だが愛している 誰よりも愛している この感情こそが総てだと想っていた 生きている証だと想っていた だがな今は‥‥‥この世界を護りたいと想うのだ この輝かしい世界を愛しく想うのだ 生きて逝く器に喜怒哀楽が詰まって逝く 人の感情が芽生え 人として生きていく日々を噛み締める 世良は笑っていた 幸せに笑っていた 大きな月が家族を照らしていた 幸せな家族を何時までも照らしていた

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