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第3話 夢みたいな
久我山はあの後何度も、類のマンションを訪ねた
だけど何度、訪ねても類が出る事はなく…留守のままだった
城崎はマンション入り口のタッチパネルの前で久我山を待ち伏せしていた
久我山は城崎を見てバツの悪い顔をした
「慶一、江口に逢いに来たんだろ?
素直になれよ!
好きなんだろ?江口が?」
「その答えは類に直接謂うから、お前には答えられない
アイツに聞かせてない言葉をお前に最初に謂う事は出来ないからな」
「慶一‥‥‥‥」
「琢磨…俺は最低な奴なんだ…」
悔しそうに言葉にする久我山に、城崎は
「こんな所でする話じゃないからな、俺の母親の家に来いよ」と移動を告げた
「お前の母親の家?
お前んちじゃねぇのかよ? 」
「俺んちは…離婚してんだよ。
このマンション にも俺の部屋がある。
父親のマンションにも俺の部屋がある。
好きな時に好きな方で住めと…まぁそう言うと訳だ」
「複雑だな…」
「嫌、何も複雑じゃないさ
元々弁護士してる両親は多忙で一緒にいる時間は余りなかったからな‥‥
気の向いた時にどっちかの部屋で過ごす
それだけの事さ‥‥‥」
久我山は城崎の両親と同じ弁護士の両親を持っていた
だが久我山の家族は仲良く、大家族ならではの絆もあったから‥‥何と謂って良いのか解らずにいた
久我山は、城崎の家に通してもらい…
城崎の部屋に入れて貰った
部屋に入った久我山は類の部屋と間取りが違うのが気になり
「類の家と間取りが違うんだな
マンションって…皆一緒じゃないんだな?」と改めての事を謂った
城崎は苦笑して
「慶一…類は…このマンションのオーナーだ!
一番広い部屋にいるのは、当たり前だろ?」と久我山に伝えねばならぬ事を告げた
久我山はマンション全部が類の持ち物だと聞いて
「なら、すげぇ金持ちじゃん!」と安易に言葉にした
城崎は苦しそうな顔をして
「金は有っても…アイツも愛なんてねぇ生活をしている‥‥
アイツの両親はアイツを捨てて離婚してる
アイツは…祖母に育てられた。
その祖母も…数年前に…亡くなった」
久我山が知らない類の事を口にした
久我山は驚いた顔をして城崎を見て
「………何故!そんなに詳しいんだよ!」と問い掛けた
「アイツと俺は同じ中学で…
同じ境遇だった
境遇なのに…
アイツは淡々 と生きている…
それが気に食わなくて…中学の頃…イジメた
アイツは…顔色ひとつ変えずに…どんなイジメにも堪えてたよ…
エスカレートする苛めは教師にも知られて俺は教師かは江口の家庭の事情を聞いた
それで… イジメは止めた…」
「類の家族は‥‥その祖母だけなのか?」
「そうらしい、俺も詳しくは知らないけど‥‥唯一の身内の祖母を亡くしたからな、今は天涯孤独だって聞いた
弁護士が後見人として財産を管理しているから、施設には行かなくても良かったそうだ」
だから類の家に何時逝ったって、家族に逢う事はなかったのか
アイツ‥‥あの家でただ一人なのか‥‥
久我山はそう考えると辛くて仕方なくなった
家族もなくたった一人で暮らしていたなんて‥‥知らなかった
久我山は悔しそうに唇を噛むと
「俺は類に言ったんだ…
次が出来るまでの繋ぎで良いなら…抱いてやる…って
最初なんて強姦だ
そして抱いて…後始末もせずに…帰った
俺は…類の体に…ハマった
何度も何度も行くのは止めようと想った…
だけど逢いに行っちまってるんだ
何時の間にか離せずにいた
夏が過ぎても…俺は次を見付けなかった…
何時しか…俺は…類を愛していた…
淋しそうなアイツの側にいてやりたくなった
最後に寝た日に…朝まで過ごして…体を洗ってやったら…嬉しそうに笑ってた…
アイツのそんな顔を増やしてやりたくて…離せずにいた…
俺は…アイツにハマるのが怖かったんだ!」
愛してるって認めたくなかった
認めたら‥‥類が嫌だと謂っても‥‥束縛して離しはしなくなるのが怖かった
自分の中にこんなにドロドロした執着があるなんて知らなかった
今までの恋人は、愛されているか解らない‥‥と離れて行った
何処かでセーブをかけて本気にならないようにしていたのかも知れない
本気になったら‥‥雁字搦めに束縛するかも知れない自分が怖かったから‥‥
だが‥‥認めるしかなかった
江口類を愛していると認めるしかなかった
離したくない
幸せそうな顔で笑っていさせてやりたい
愛してるよ!って抱き締めて自分の愛で満たせてやりたい
城崎は「探しに行けよ…!」と謂った
友の背中を押してやる
背中さえ押されれば、久我山は一途に愛し抜く奴だと解っていた
恋愛に少しだけ臆病になり
自分の保身に走っただけで、本気の久我山はとことん愛し抜く男だと想っていた
久我山は覚悟の瞳を城崎に向けた
「何処にいるか…解ねぇ…けど、俺は探す!
何処にいようとも探して見付けてやる!
アイツを…抱き締めて愛していると伝えるんだ」
もう悲しい想いはさせない
親がいない類の家族なろう
恋人になろう
総てになろう‥‥
愛していると抱き締めて、愛で満ちさせてやるんだ
親にも恋人だと紹介しよう
家族と過ごす時間を作って、お前は一人じゃないと教えてやりたい
久我山は覚悟を決めた
この先、愛するのは唯一人 江口類だけだと心に決めた
久我山はバイトを辞めた
類を探しに逝くのにバイトは続けられないと踏んだからだ
長期戦になろうとも必ず類を探してやる!
その為に総ての時間は類を探す為に使おうと決めたのだ
探偵のバイトをしていた事もある久我山だが、類の居場所は中々見つからなかった
個人情報と謂う壁が、久我山の前に立ちはだかり、操作を用意にはさせてくれなかった
類は全国模試のトップの常連だったから、優等生が逝く学校に電話したりして探そうとしたが‥‥学校側に警戒されて何一つ解らずにいた
学校が無理なら何処を探そうか‥‥
探すと…言っても…何処をどう探して良いのやら…
久我山は途方に暮れていた
久我山の両親は二人とも弁護士をしていた
下に6人の弟がいて、両親を入れたら8人家族の大所帯だった
久我山が長男で…下に、弟…ばかり、5人いた
働き者の両親は両方とも弁護士をしていた。
子供に不自由な想いはさせないために働き…家族で過ごす時間も大切にしていた
だから…家族で楽しい…時間は…沢山もらっていた
久我山の家族構成は
父、薫
母、茉莉
長男、慶一
次男 聡史 高校3年生…
久我山とは双子だった
三男 武瑠 中学3年
四男 和弥 中学1年
五男 叡智 小学五年生
六男 那智 小学四年生
と、言う男ばかりの毎日が戦争な家族だった
久我山はそんな家族と夕飯を囲んでいると、何時も想う
類は…知らない世界だろ…
類…お前は…一人だったんだな…
何時行っても家族に逢わないと思ったら…
お前は…一人だったんだな
久我山は……類の事を考えて…泣いていた
夕飯に…長男が…涙を流し…飯を食う光景は…
ホラーに近かった
家族は…ガツガツと飯を食い…鼻を啜りながら泣く長男に …
どうしたものか…と思案した
母親がやっとの想いで
「慶一!何が悲しくて…泣いてるんだい?」と声をかけた
「俺、これからの一生を共にしたい奴が…出来た
幸せにしてやりてぇんだ」
目出度い事を謂っている
なのに何故この子は泣いているのか?
両親は顔を見合わせて
「反対は、しないよ?
反対されると思ったのかい?」と問い掛けた
「相手が男でも?」
…………!!!!!
母親は言葉に詰まった!
そうだった!この子は…女は興味がなかった…
「そうか…お前は…そうだったな…」
父親が呟いた
なんせ、初恋が、幼稚園の花組の保父さん…だった
そして、初めて付き合ったのは…男だった
その男を家族に紹介した経緯も有った…
家族は…久我山が男しかダメな性癖は承知していた
母親は「別に反対なんてしないさ!
お前が心底惚れて…好きで…一生一緒にいたいと言うなら…反対なんてしないさ」
と慰めた
「俺…最低だから…何処かへ行っちまったんだ
遊びで…強姦して…次が出来るまでの繋ぎで良いなら…って抱いて……
そして…アイツの悪口言ってるの聞かれて…
何処かへ行っちまったんだ
俺が悪い…
認めたくなかったんだ…惚れてるって認めたら…
離せなくなるから…
でも遅かった…もう離せねぇのに…アイツは… 何処かへ行っちまった…」
「なら、探せば良いじゃないの!
グズグズ泣くなら探してから泣け!」
「探しているよ!
これからも探すよ…
だからこそ、家族に言っときたかった
アイツは両親もいねぇ…
祖母も死んで…一人ぼっちだ!
この家に…連れてきてやりたかった
それには、言わねぇと…探してきた時に…連れて来られねぇだろ?」
「なら、探して連れておいで
そんな淋しい想 いをしてるなら、この家へ連れておいで
お前の恋人なら家族も同然だ、そうだろ?」
「ありがとう…」
家族の暖かみを…改めて知った
類…帰って来いよ…
久我山は、鼻を啜った
父親は「その子は親がいないのかい?」と尋ねた
親がいない子ならば施設か、親戚の家をたらい回しにされるケースが殆どだ
「あぁ、両親はいなくて祖母が引き取ったってその祖母も何年か前に失くなって、類は天涯孤独ぁぅて城崎が謂ってた」
「施設には行ってないんだね?」
「学校の近くの大きなマンションが祖母の持ち物で、類はそのマンションに住んでいた」
父親は…施設に入れられないのならば…後見人がいる筈だと…目星を着けた
「慶一、その子の名前は?」
「江口類」
父親はメモを取り出すた類の名前を書き留めた
「それだけ、聞けば…探せるかも…知れない
親のない子が施設に入らず暮らせるとしたら、後見人となってる人が必ずいる筈だ
その人を探せば、今何処にいるか、解るかも知れない
待ってなさい
明日、事務所に行って調べてみよう」
「ありがと……親父
俺はホモだし
長男なのにバカだし…役に立たねぇ子供なのに…」
「お前が幸せなら…私はそれで良い
母さんもお前の兄弟もそう思ってるさ」
久我山は父親に頭を下げた
母親も「私達は我が子が幸せで過ごせるなら、それで良いと何時だって思ている
だから探し出して連れておいで!
お前の愛する子ならば、私達も家族として迎えるつもりだよ」と優しく想いを伝えた
両親の愛と優しさと思い遣りに久我山の胸は熱くなる
家族の愛も知らずに育った類を想うと胸がキリキリと痛くなる
もっと早くお前を愛しているって伝えれば良かった
抱き締めて離さないでおけば良かった
見つけたならばもう離さない
絶対に離してやらない
久我山はそう心に誓った
冬の寒さが…こうも身に凍みると…我が身も心も凍り付きそうになる
類は白い息を吐き出して身震い…した
類は…北海道に来ていた
北海道の高校に転校していた
これから、寒くなると言うのに…暖かい方へは 行かず…身も凍りそうな…所を選んだ
弁護士の先生に…少し…遠い所で住みたいと言うと
北海道の高校を紹介してくれた
そして、住む場所も…ワンルームのマンションも借りる手筈を着けてくれ借りてくれた
季節は…秋を通り越して…冬になっていた
辺りは一面の銀世界だった
凍える手を…擦りながら…窓の外を見る
想いは何時も愛する男を想い‥‥キリキリと痛み出す
慶一…
一度で良いから…呼びたかったな…
慶一…
慶一…
君を愛してしいるのが…解っちゃったんだね…
……好かれてなんか…いないのは知っていた
気紛れなのだ…
彼の気紛れ…
気紛れでも良かった…
抱いてくれれば…
君の背中に…腕を回して…怒られて…
抱き着きたいのを我慢してたら…抱き着いても良いぞ…って言ってくれた
無愛想で冷たいのに…冷徹にはなれない…
そんな優しさのある男だった…久我山慶一は…
逢いたい…
顔を見たい…
逢えない日々に想いだけが募って逝く
つまらない学校に…行き…
帰って来る…
そんな繰り返し……だった
離れれば…忘れられると想ったのに…
忘れられずに……今もまだ愛していた
嫌…想いばかりが募って…
離れた…今の方が…辛かった…
類は…身震いして…ポケットに手をいれた
そして、家の鍵を取り出し…開けようとすると …
目の前に…
久我山慶一が立っていた
嘘…
幻覚が…見えちゃった?
逢いた過ぎて…幻覚が…見えたの?
「類…」
幻覚の久我山が……一度も呼んでくれなかった ……
名前を呼んでいた…
白い息を凍らせて立っている久我山を目にして、類は気付いた
幻覚じゃない…
生身の久我山慶一だと確認する
「嘘…」
類は、久我山に背を向けると…走り出した
何故!いるんですか?
もう僕なんか…用はないのに!
もう…遊びでは抱かれたくなかった
だって…愛してるって隠せる自信は…
もうないから…
類は…走った…
走って…
雪に足を取られて転んだ…
久我山は、類に近付くと、雪まみれになった類を立ち上がらせ雪を払ってやった
でも……直ぐ様…類は…泣き崩れ…
抱き締めようとする久我山の手を振り払い…
自分の膝を抱えて泣いていた
「何しに来たんですか?」
その声は震えていた
「お前を探しに来た
帰ろ?類」
類は、首をふった…
「また気紛れで…僕を抱きたくなったんですか?
僕は…もう!
抱かれたくはないです!
帰ってください!」
久我山の腕を払い除け類は叫んだ
「類…愛してる…
お前を傷付けたのは俺だ…
一生かけて償うから…
俺の側に帰って来い」
「嫌だ…今度は…どんな罰ゲームなんですか?
辛気臭い僕なんか…抱いても面白くないでしょ!
もう…遊びでは抱かれたくないんだ!
次が出来るまでなんてのも嫌なんだ!
帰ってよ!…頼むから……」
類は泣き叫んだ
類を傷付けたのは…久我山だった
久我山は、類を抱き上げると手の中の…鍵を奪い
…部屋へ前へと向かった
そして、その鍵を使い…ドアを開けた
玄関に類を下ろし、ドアを閉めると、靴を脱ぎ 、部屋へと上がらせた
ワンルームの部屋は…家具も家電もなく寒々としていた
久我山は、暖房を入れると、かかってる洗濯物からタオルを外し…類を拭いた
「こんなに冷えて…」
優しく拭いてくれる…久我山の姿に…類の瞳から…
涙が溢れた…
「忘れようと…思ってたのに!」
類が呟いた
久我山は、類を抱き締め
「忘れないでくれ…
永遠に忘れなくていい
俺を愛してくれ…」
と懇願した
懇願して続ける
久我山にはそれしか出来なかった
「愛している、類
お前だけを愛している」
だが類はそんな久我山の言葉を否定する様に呟いた
「嘘…嘘だ…」
「嘘じゃない
親にも紹介する
お前を愛していると琢磨にも言う
そして紹介する」
類は首をふった…
「何故?紹介されたくない?」
「次が出来たら終わる…
そんな夢は…もう見ない…
だから……良い…もう良い……」
「次なんて絶対に作らない!
類、お前を愛してるんだ!
信じてくれ…」
「久我山…」
「慶一…って呼んで
一度もお前に呼ばせなかった事を後悔した…」
久我山は、類の頬に手をあてた
久我山の優しさが…伝わって…
類は…それを振り解いた…
「これは…嘘だよ…なんて言われたら…
もう…僕は…生きて行けない…
だから、放っといて欲しい…
僕は…君を愛してしまうよ ?
良いの?
辛気臭い奴に好かれちゃうんだよ? 嫌でしょ?」
類を傷付け…信じさせなかったのは…
久我山だった
なのに…この現実は…辛いものだった…
久我山は、そう言う扱いしか…
類にしなかった…現実だった
「類…俺を見て!
お願いだから…」
類の頬に手をあて…久我山は類の顔をあげた
不安そうな瞳は…揺れて…久我山を欲していた
「お前が急に消えて…
俺はお前を探した
親父が…お前の周辺を聞いて回ってくれて、弁護士の先生に辿り着いた
その弁護士の人は…親父の恩師の方で…
事情を話して…ここの場所を教えて貰ったんだ
遊びで来てるんじゃない
お前に逢いに来たんだ
類、帰ろう…
此処に住む気なら俺も此処に住む
お前のいる場所に居てやるから…もう …何処へも行くな!」
類は…震えていた…
こんな……夢の様な話し……
「類、愛してる
お前は?
俺の事…好きか?
まぁ酷い事…したからな、好きじゃないなら、 これから好きになって…
お前の側にずっといるから…これから…愛して…」
久我山は、囁くように…類に言い聞かせた
類は…震える手を…久我山に伸ばし…頬に触れた
久我山の頬は…暖かかった
久我山は、その手を掴んで…自分の頬に触らせ た
「お前のモノだ……もっとちゃんと触れ」
「僕の…」
「あぁ、お前のモノだ
俺のこれからの人生は…
お前にくれてやる
だから、お前の人生を俺に寄越せ
共に生きよう
俺と共に生きてくれ」
「僕で…良いの?」
「お前が良いんだ!
お前じゃなきゃ…ダメなんだ!」
「本当に?」
「本当だ!
じゃなきゃ親まで巻き込んで…探しに来るかよ!
近いうちに親に逢わせる
俺の恋人だって、親に紹介する
琢磨にも逢わせる
俺の恋人だって、紹介する」
「は…反対されるよ?」
「お前を探しに行くと言ったら、飛行機のチケットをくれたのは、琢磨だぜ?」
久我山は、そう言い…類に接吻した
優しい…接吻だった
「類…話をしたいのは…山々だが…触って…」
久我山は類の手を掴むと…自分の股間に…
その手を導いた
久我山のそこは…熱く…硬く…聳え勃っていた
久我山はズボンの前をはだけると、中から性器を取り出し…類に握らせた
「お前のだ
今後、お前にしか使わない
お前が逃げてから…禁欲の日々だ
お前を手にしたら…もうこんなんだ…」
類の瞳は…欲情していた…
類は…手に握らされた…久我山の性器に口付けた
そして…ペロペロと舐め始めた…
類がそれをやるのは…初めてだった
「類…そんな事されたら…っ…」
久我山は、類の顔に…射精していた
あまりの早さに…苦笑した
類の顔は…久我山の精液をかぶり…淫靡だった
久我山は、横に落ちていたタオルで類の顔を拭った
「無茶して…した事もないのに…」
「下手だった?
もっと勉強したら…もっと上手くなるから…」
「上手かったよ!
だからイッたんだろ?」
久我山は、類の服を脱がした…
「この家には…ベッドも…布団もねぇのかよ?
このまま押し倒したら…背中が痛そうだけど…
我慢出来るか?」
「する…我慢する…」
「ったく…お前は可愛すぎ…」
久我山は類の体に…愛撫を施した
入念に舐めて…吸った
この体は…自分のモノだと…
言わんばかりに…キスマークを散らせた
足を開き…類の性器を愛しながら…秘孔を解した
二ヶ所同時に責められると…感じすぎて類は泣いた…
「ゃあぁん…おかしくなっちゃう…」
こんなに感じたのは…初めてだった
穴の中を探られ…久我山が一ヶ所を、責める
そこを撫でられると…狂いそうになった
「ぃ…挿れてぇ…」
「じゃぁ、頼めよ」
「なっ…なんて?」
「慶一のが欲しいって
呼べよ…慶一って
呼んで構わない
呼びたいなら呼べ
俺の恋人は、お前だけだ
恋人の名を呼べ」
「慶一…入れて…君のが欲しい…」
久我山は、ゆっくりと、類の中へ…挿入した
最後まで入れると、類の体が…受け入れられる状態になるまで…待ってやった
類は感じていた…
久我山が精一杯…類を大切に扱っかった…
その仕草の総てで類を愛していると伝えられて感じまくっていた
類の…穴が煽動…し始めると…久我山は少しずつ…
腰を動かした
背中が痛い…類の為に、久我山は類を起こし、 膝の上に乗せた
「背中、痛いだろ?…」
でも…それが…久我山を更に深く…受け入れる事になり…類は仰け反った
「ぁぁん…深い…ゃぁ…」
類は仰け反り喘いで訴えた
「嫌じゃねぇだろ?
類の中… 喜んで動いてる
俺は類に愛されてる?
類の中は、俺を愛してる と離さないぜ
中の方が正直者か?」
「ぁ…愛してるもん
僕だって愛してるもん… 」
「そうか?なら言ってくれねぇと、解らねぇだろ?」
「好き…慶一…大好きだ…
愛してるって言って良いなら…幾らでも言う」
「好きなだけ言って良いぜ
お前だけの俺だからな」
久我山は、激しく類を突き上げた
抽挿が激しくなる
類は久我山に抱き着いた
隙間もなく…久我山を、抱き締めた
「ぁ…イク……イッても良い…?」
「良いぜ…そのまま…自分で触らずにイケ
俺も…イク…」
久我山は…類の中へ…射精した
類は…触られる事なく…イッた
だが…離れていた期間が…二人を止まらなくさせていた
抜けずに…久我山は…類を貫き続けた
類は…感じっぱなしで…喘いで…
声が枯れるまで…喘いで…愛してるって……
言い続けた
行為が終わると…久我山は類を抱き上げ、浴室に連れて行った
そしてユニットバスのバスタブに湯を張り…抱 き上げたまま…入った
「く…久我山…」
「名前は?
行為が終わると類は他人行儀になるのか?」
「ち…違う…慶一…自分で洗えるから…」
「洗ってやる
今までは…行為が終わると帰っていた
酷い奴だよな…
でも、そんな俺のままでいさせないでくれ
お前を大切にしたいと言わなかった?」
「慣れてないから…だから…」
「じゃぁ、少しずつ慣れろ…良いな?」
類は頷いた
「キスして類
恋人同士だろ?
お前からキスして 」
類は恐る恐る…久我山にキスした
久我山は、その唇をペロンと舐めた
「慶一、キスしてって…」
「類、愛してる」
「僕も…愛してます」
浴室で中も外も洗ってもらい…何だか信じられない気持ちで一杯だった
そして、風呂から出ると…類は押し入れを開けて服を着た
久我山は着替えを持ってきていて、それに着替えた
着替えを終えると、久我山は類を呼んだ
「類、おいで
話をしょう」
類は…久我山の方へ行くと、久我山の暖かい腕が類を抱き締めた
「お前は、どうしたい?
先の事を話さないと埒があかないだろ?」
「僕は…慶一といたい…」
「いてやるって言ったろ?
だから、何処で住むんだよ?って聞いてんだよ」
久我山は笑った
優しい包み込むような笑みを浮かべて…笑っていた
「ぼっ…僕は…何処でも良いよ」
「それじゃぁダメだ
お前が決めて、お前が納得して動け
そしたら、俺はお前と一緒にいてやる」
「僕は…慶一といられるなら、本当に何処でも良いんだ……
でも、此処は…お布団もないよ?
慶一には住みにくいかなぁ?」
久我山は、言葉を失った
布団もない…
なら何処で寝てんだよ…
「布団がねぇって…じゃあお前は何処で寝てるんだよ?」
「床暖房だから、毛布一枚有れば寝れるよ?」
「体が痛てぇじゃんか…
なら、帰ろ!俺は寒いのは苦手なんだよ」
類は頷いた
類は知っていたから…
久我山が寒いのは苦手だと…友人と騒いでるの を聞いて知っていた
「でも…学校…転校しちゃったし…」
「あぁ、あれな、取り消しといた
弁護士の先生に頼んで…転校はなしだと、伝えといた」
「嘘…」
「嘘じゃねぇよ」
「なら…帰る…
ばぁちゃんの家に帰る…」
「あの家に俺も住むからな」
「えっ…」
「部屋の模様替えしねぇとな」
「えっ…本当に?」
「嘘ついて、どうするんだよ?」
久我山は笑って類を抱き寄せた
「一緒に住もう
あんな淋しすぎる部屋にお前を置いておきたくない」
「あっ…ありがとう…
好きな部屋に住めば良いよ」
類はニコニコと笑って言った
久我山は頭を抱えた
同居だと思ってるのか?
久我山は類の体を持ち上げると、膝の上に乗せた
「ひょっとして、俺はお前んちに居候するとか …思ってるのか?」
「えっ!違うの?」
「俺は、お前んちに居候せんでも、自分の部屋はある
兄弟は多いけどな、ちゃんと自分の部屋はある
俺が言ってるのは同棲だ
お前を嫁に貰ってやる
と言う事だ!解ったか? 」
類は顔を真っ赤にした
「あっ…あの…その…えっと…」
類は適当な言葉を探したが…見付からすどもった
これが…人間コンピューター?
感情のないロボット?
人形?
何処が?
誰も類の本質は見てなかったのだ…
当然、久我山も、類の表面しか見ていなかった …事となる…
「俺がお前と一緒に住むと言う事はお前を抱き締めて眠って朝も昼も夜も…
共に暮らし愛し合い過ごすと言う事だ」
「いてくれるの……?
ずっと?帰らずに?」
「あぁ、そうだ!
同じ部屋で…共に過ごす! 嫌か?」
類は首をふった
「やじゃない!嬉しい…
でも僕で良いの?」
「お前が良い
何時の間にかお前に惚れていた
離れたくねぇんだよお前と!
お前を幸せにしてやりてぇんだ
一緒にいよう
ずっと、側に居てやるから」
類は何度も頷いて…堪えきれなくなって…
久我 山の胸に顔を埋めた
「今夜は遅い
明日の朝帰ろう
あっ!と、その前に電話を入れるわ」
久我山は、捨てておいた鞄を引き寄せ携帯を取り出した
電話せねばならぬのは…親と悪友…だった
ワンコールで父親は電話に出た
如何に心配していたのか?良く解って胸が熱くなった
「あっ!親父?掴まえた
あぁ。もう離さねぇよ
帰ったら、ちゃんと紹介する」
『あまりに遅いから逃げられたのかと想ったよ』
父親は意地悪く笑っていた
「あぁ…すまねぇ
我慢出来ずに抱いちまってたから遅くなった…
親父…ありがと……本当にありがと 」
久我山は父親に礼を言った
類を探してくれたのは父親だったから……
父親は『明日、空港に迎えに行きます
何時の飛行機に乗るか連絡を入れなさい』……と言い電話を切った
次は城崎に電話を入れた
「俺」
と、久我山が言うと……電話口で城崎は怒鳴った
『こっちは心配して待ってんのに!
お前はエッチしてたろ!
こんなに遅いのは…犯ったに違げぇーねぇー!
友達…止めんぞ!』
すっかり見抜かされていて、久我山は観念した
「すまねぇ……
類の顔見たら…愚息が暴走した…
もう、類しか抱きたくねぇからな……許せ」
えらく素直に出られて…城崎は毒気を抜かれた
『お前…本気で好きなんだな江口の事
なら、もう泣かせるなよ!解ってんのか!』
「もう、泣かせねぇし、離せねぇ
年貢の納め時だ
俺は類と共に生きていく
覚悟を決めた!明日の朝、帰るわ
親が空港まで迎えに来てくれると言ってた
そしたら、親に紹介する
その後に、お前に逢いに行くわ」
『なら、学校いかずに待ってるわ
母親のマンションにいるから、マンションに着いたら電話入れてくれ!』
「解った!すまねぇな…」
城崎は、気にするな…と電話を切った
「さてと、寝る前に荷造りだな
お前の荷物は ?」
「押し入れにある」
久我山は、押し入れを開けた
そこには毛布と…ボストンバックしかなかった
しかも…その毛布は…類の部屋の毛布だ
類を抱いた時に…何度も見ていた
その毛布をボストンバックに詰めて…少しの服 を詰めて…お前は…出てきたのか?
久我山は、胸を締め付けられた…
「なら、その荷物は俺が持ってやる
明日、朝イチの飛行機のチケットを取らねぇとな…」
久我山が呟くと…類はノートPCを出して、飛行機のチケットを買った
「明日の朝…8時ので良いの?」
「あぁ、それで良い」
類は久我山の前で…ポチポチとキーボードを叩いていた
流石…秀才
「取れたよ
朝…7時には家でないと…乗れないよ?」
「なら、寝るか
来い、抱き締めて寝てやる」
「うん」
類は久我山の横に行き…その腕に抱き締められた
一枚の毛布を…二人で着て…肌を寄せあった
類は、深い眠りに堕ちた…
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