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第4話 始まりの日々

朝…6時前に、久我山は目を醒ました 床に寝るには…体が痛すぎるからだ… 首をコキコキ鳴らすと、その横で…丸くなって寝ている類が目に入った 愛しい… こんなに愛しい… こんな想いになるなんて…… 久我山は、類を起こすと…膝の上に抱き上げた 「目を醒ませ…類 朝だ、起きろ」 類は…目を開けて…固まった… 「夢じゃなかったんだ…」 想わず呟いた言葉に…胸をギリギリ締め付けられた 「夢じゃねぇよ!愛してる…類」 キラキラの瞳に…自分が映り…久我山は満足だった 「ぼっ…僕も…愛してる…」 久我山は、類に接吻して抱き締めた 「さてと、起きて、帰る支度すんぞ!」 「うん」 類は久我山の膝の上で、毛布を折り畳んでいた… その様は子供みたいだった… 下手したら…久我山の…小学生の弟より小さい? 家の中に置いておいたら…人形みたいに…類は可愛い顔をしていた 何時も…俯いているし、前髪が長いから顔が見えなかっただけで… その顔は…久我山のストライクゾーンど真ん中だった訳だ 久我山は、類の前髪を摘まみ… 「家に帰ったら切らねぇとな…」と呟いた 類は帰りの支度をしていた ボストンバックに毛布を詰め悪戦苦闘していた 久我山が横から奪い…簡単にバッグに入れて行く 久我山は、あっと言う間に、バッグに荷物を詰め玄関に置いた そして、ブレーカーから電気を落とすと、戸締まりをした この部屋には…冷蔵庫も…TVもないから…持ってい くのは…ボストンバック一個だけだった 久我山は、類のボストンバックを、自分の鞄と同時に持った タクシーで空港まで向かい、空港のレストラン で朝食を取った そして、親と城崎に8時の飛行機で帰る事を告げた 久我山の両親は…空港まで迎えに行くと…告げた 登場時間が近付き、久我山は、類のサンドイッチを摘まんで食べた 類は…あまり食べなかったから… 飲み物を飲ませ、食事を終えると、ロビーまで向かった そして、8時の飛行機に乗って…帰る 来る時は…一人だった… 寒さが身にしみて孤独に耐えて歩いていた だが今は久我山がいてくれる… 類はそれが嬉しくて堪らなかった 飛行機は、住み慣れた街へと飛び立ち… 帰って逝く 空港に到着してゲートを抜け、ロービーに出ると、久我山は家族を見つけ手をあげた 類は…久我山の服の裾を握り締め…隠れた 「お帰り 見付かって良かったな」 父親の言葉に久我山は、頭を下げた そして、後ろに隠れる…類の肩を抱き寄せ、親へと見せた 「江口類だ 俺の最後の恋人だ 俺はもう、類しか愛せねぇ」 類は…久我山を、見上げ…不安げな顔を見せた 「類、俺の親と兄弟だ 挨拶しろ」 類は頷いて 「あっ…あの…江口類です」 と言い、ペコリと頭を下げた そして、久我山の服を掴み…後ろに隠れた 久我山の母親は…類を目にして、その幼さに驚いていた パッと見‥‥小学生位にしか…見えず 「慶一…この子…幾つ? あんた…小学生なら犯罪よ…」 想わず呟いた 「母さん…!俺と類は同い年だ…」 久我山は、呆れて…言うと 家族は…えぇぇぇっ!と驚いた 久我山の体に隠れ、こっそり見る姿は… 小動物並みに…可愛らしかった… 久我山の父親は…苦笑した 「類くん、慶一の父親です 車で送っていくので、帰りましょうか?」 と、声をかけると 「はい」 と小さい声で返した 空港の外に行き、駐車場へ行くと、デカいワゴン車が停まっていた 久我山は、類を持ち上げると車の中に乗せた 車に乗り込むと…久我山は類を寝かせた 久我山の膝に頭を置き丸くなる類を、久我山は心配そうに気遣っていた あまりにも…沢山の…事が有り過ぎて…類はパニックになっていた 久我山はそれを知っていて…類の頭を引き寄せ …寝かせた 久我山は、優しい顔をして類を見ていた 家族は…その仕草や態度で…久我山の真剣さを想いを知った 久我山は、双子の弟と何時も比べられて…生きてきた 出来の悪い慶一と、秀才で良い所総て持っていった弟 聡史 慶一は、県立の…それなりの高校へ入ったのと違い、聡史は超進学校の私立のセルジオ学園に奨学金で入学していた だから……秀才と言われる人間が…大嫌いだったのだが… でも、もう……何も気にならなかった 類がいれば、それで良い 久我山の家族と共に…一旦…久我山の家へと向かった 久我山は、車から類を抱き上げると家へと抱いて連れて行った リビングのソファーに座ると、類をソファーに寝かせた 「類が起きたら還ります 俺は類と暮らす この先も…共に生きていくつもりです」 久我山は、両親や兄弟に…気持ちを伝えた 母親は… 「本当に…その子は…高校生なの? うちの叡智や那智より…幼く…小さい…」 と、胸を痛めた 「同じクラスだから、俺と同い年になる ……コイツは、食べないし、育ててくれる人がいなかったから…発育不良だ 床で毛布にくるまって寝てたりするし…」 久我山が類の髪を撫でると…類は目を醒ました ボーッと…視点が定まらず…見ていると… 見知らぬ人が…類を見ていて…慌てて飛び起きた 「えっ…あれ?……えっと…」 パニックになる類を、膝の上に乗せて名を呼んだ 「類、類、落ち着け…俺がいる!落ち着け」 「うん……解った…」 類は久我山の服の端を握り締めた 「類くん、始めまして 慶一の母親の茉莉と申します!宜しくね」 類は…ソファーの上に正座した そして「江口類です!宜しくお願いします」 と頭を下げた 家族が…類を暖かい目で見ていた… だが、慶一の双子の弟の聡史は、同じ空間にいても 家族を無視して勉強をしていた 一切…類を視野にも入れず…無視をしていた 父親の薫が「自分の家だと思って、気楽に遊びにいらっしゃい」と声をかけてくれた 類は…泣きながら…はい!と返事をした 久我山の母親が類の前にケーキと紅茶を置く 類は…困っていた 手が震えて…紅茶なんて飲めそうもなかったから…… 久我山が、「飲まないのか?」と尋ねると… 類は「緊張して…手の震えが止まらない…」と 答えた 「緊張しなくて良い 気楽に思えば良い」 と久我山に言われ類は頷いた 聡史は、類の横で…参考書を開き、勉強をしていた 少しだけ落ち着いた類は、ひたすら問題集を解いて行く聡史を見ていた そして解かれた数式の中で…間違いを見付けると 「ここ、間違ってるよ?」と聡史に教えた 聡史は、類を睨んだ 「慶一と、同じ学校に行ってる奴に解る訳ないだろ! いい加減な事を言うな!」 と怒鳴った 類は…久我山の服の端を持って……怯えた 「間違ってるよ…そこは、そうにはならないよ? 途中の数式の計算が間違っているんだよ?」 と教えた すると…聡史は、「うるさい!気が散る!」 と 参考書を投げ付けた それが類の額にヒットして…類は…血を流した 久我山は、類を抱き寄せ 「類にあたるな!」と怒鳴った 震える手が…久我山を掴むから…喧嘩は止めた 久我山は、類を抱き上げると、玄関に向かった そして、靴を履くと、類と共に…家を出て行った 類は…家の外に出ると…久我山に謝った 「ごっ…ゴメンね…僕…余計な事した…」 久我山は、類を抱き寄せた 「気にするな……それより、怪我は?」 「僕…は少しの傷でも血が凄いから…」 「お前に…家族って教えたかったけど… 時期が悪かった アイツと俺は双子なんだよ アイツは賢くて…俺はろくでなしだ アイツは、東大でも狙ってるんだろ? だからピリピリしてる…許してくれ…」 類は「僕が数式の間違いを…指摘したから…プライドを傷付けてしまったんだね…」 類は…東大も射程範囲内と、言われる天才で… 優等生だった… 無口で寡黙で…秀才で… でも現実は…直ぐにパニックになるし…自分の事が…解らない…無垢な子供みたいだった 久我山は、類の荷物を持ちながら…ゆっくりと歩いてやった ゆっくり歩いていると…久我山の父親の車が停まった 「乗りなさい! 類にそんな怪我させて帰せる筈ないでしょ?」 「怪我させたのはアイツじゃねぇか!」 「手当てをしたら、送って行く乗りなさい! 」 父親は、久我山に命令した 類は…久我山の腕を掴んだ 久我山は、類を抱き寄せ…車のドアを開け…乗り込んだ 久我山の家に…二人を連れて父親が帰ると、母親は救急箱を持って待っていた 「類ちゃん、手当てをしなきゃダメよ」 母親は類の額の傷を消毒して、絆創膏を貼った 「ごめんなさいね 聡史…ピリピリしてるから 」 と、母親は類に謝った 類は…困って…久我山を見詰めた… 久我山は聡史に 「類は全国模試上位常連の天才だ! 俺と一緒にしてやるな 担任が東大は楽勝と …言ってた天才だ 何であんな高校に行ってるんだ?って聞いたら、家に近いから…って返す奴だからな…」 久我山がそう言うと…聡史が 「江口類って! 全国模試順位トップ5常連組の江口類なのか?」と、聞いた 「わ…解んない…発表の前に…北海道に逃げたから…」 類は…久我山の背中に隠れた 「多分、そうだろ?類は賢いからな!」 久我山は、背中の類を引き寄せると、笑って膝の上に乗せた 「さぁ、帰るか?お前の家に! その前に服とか制服を取ってくるから、お前も来い」 久我山は立ち上がると、類の手を握って自分の部屋へと案内した 「此処が俺の部屋だ!座ってろ類」 類は久我山の学習机の椅子にちょこんと座っていた 久我山は、せっせと服や制服をボストンバックに詰めた また取りに来るとして、実務的な服とかを詰め込み、用意が出来ると類に声をかけた 「類、帰ろうか?」 類は頷いて立ち上がった リビングに行くと、父親が二人の姿を見て立ち上がった 聡史は、類の前に…テキストを渡すと 「どう違う?何処がどう間違ってる?」と問い質した 類は、テーブルに置いてある鉛筆を取ると、ノートの端に、数式を書いた 「ここの、計算を間違えてるから、後が狂って来るんだよ? これをね、こうやって、こうするでしょ? すると、答えはこうなるんだよ だから、次の問題も勘違いしてるから、間違えてる」 類が説明すると、聡史は…その説明に釘付けになった 「なら、この式は、こうなるのか?」 「そうだよ。多分勘違いしてたんだと思うよ」 聡史は…類のIQの高さを実感した 聡史と類は参考書の前で難しい数式の話をしていた 何時も人を小馬鹿にしている聡史が類には丁寧な話し方をしているのを見て、久我山は焦った 双子だから…好みが被るのは御免だった 久我山は、焦って類を呼んだ 「類、帰るぞ!」 久我山が呼ぶと、類は立ち上がり側に行った そっと服の端を持って…久我山を見上げた 久我山は、類の顔を優しい瞳で見詰め…引き寄せた 父親が立ち上がり、二人を送る準備をした 久我山と類は、父親に送ってもらって、類のマンションに送ってもらった マンションの前で車を停めると、久我山は類を抱えて車を降りた 「また来なさい、良いね?」 「親父、本当にありがとう」 久我山が頭を下げると、父親は笑って帰ってい マンションのエントランスを入ると、久我山は城崎に電話を入れた 電話を入れると、部屋へ行くから!と電話が 切れた 久我山は、エレベーターのボタンを押すと、ドアが開きそれに乗り込んだ 最上階の類の家のドアを開け、家の中に入るとドアフォンが鳴った ドアを開けると、城崎が立っていた 「タイミング良すぎ」 久我山はボヤいた 類は…やはり久我山の後ろに隠れた 「琢磨、荷物持って来てくれ」 久我山はそう言うと、類を抱き上げてリビングまで向かった 「……客に荷物持たせるか…」 城崎がボヤくと久我山は 「お前のピンチは必ず助けてやるからさ」 と口説いた 城崎は、仕方なくボストンバックを両手に持ちリビングに向かった 城崎は、「絶対だからな!」と怒って謂った 久我山は、類をソファーに座らせるとキッチンまでお茶を入れに向かった 暫くしてお茶を持って久我山が来ると… 城崎と 、類はぎこちなく座り… 目も合わせなかった 久我山は、お茶を城崎と類の前に置き、自分の前にも置いた 久我山は俯く類の髪を掻き上げ、顔を上げさせると、その顔を城崎に見せた 「なっ!!!嘘…」 目の前の類は…人形みたいに可愛かった 前髪で顔を隠し…俯いて…存在感を隠して… 類は…生きてきた 城崎も…同じ中学だったが…類の顔をまともに見たのは初めてだった 「嘘…お前のストライクゾーンど真ん中じゃん そりゃ本気になるわな……」 城崎は、納得した そして類を見ると頭を下げた 「俺、中学の頃…親が離婚して… イライラしてた鬱憤を… お前を虐めて発散していた… 謝ろうと想っても…中々切っ掛けがなかった 親友の恋人になるなら…謝らないとな すみませんでした」 城崎は深々と頭を下げ謝罪した 「あ…あの…えっと…ゃだ…」 突然謝罪を受けた類は…パニックになり久我山を見詰めた 「琢磨…類がパニックになってる」 「え?パニック?‥‥」 城崎は類を見た 類は無表情で、だけど焦った様に久我山を見て何かを訴えている様だった 「類の見た目は…大人しくて寡黙で大人で冷めてて…って思うだろ?」 城崎は頷いた 「でも、直ぐにパニックになる 語彙は少ないし自分の感情を言葉に出来ないんだ 誰とも接して来なかったからな… だから、謝られても…困るだけだ」 「嘘…俺らを軽蔑してるんじゃなく… パニックになってる訳ね… 人って見た目じゃ解らねぇな 」 「あぁ…特に類は…感情表現が下手だ 困るとパニックになってる」 「愛だね慶一 愛してるから解っちゃうんだな?」 城崎が揶揄すると久我山は笑った 類は、大人しく、ちょこんと座っていた そして、久我山だけを見続けて…久我山が類を見ると嬉しそうな顔をした その姿は…まるで子供の様だった 二人が愛し合っているのが解るだけに、その空間にいるのは結構居心地が悪かった 「何だかんか、俺ってお邪魔虫かも…」 城崎はそう呟いた 「俺はお前を邪魔にした事なんて一度もないのに、それを謂うのか?」 久我山が謂うと城崎は「そうなんだけどな、んじゃわざわざ来た本題に入るとするか!」 真摯な瞳で久我山を見ると城崎さ切り出した 「これだけは聞いておかないとダメだったんだ お前さ、このマンションに通ってて、何か違和感を感じてねぇか?」 「違和感?」 「このマンションは結構高い賃貸マンションだ! ならば管理されて当たり前なのに、このマンションの管理人は何時だって仕事をしている所を見た事がない そればかりか、管理費を使い込みしているんじゃないかって話だ」 城崎の言葉に久我山はバイト先のマンションを思い浮かべていた 小遣い稼ぎとして久我山は便利屋やリサイクルショップ、管理会社のバイトなどをやっていた それを踏まえての質問なのだと久我山は解っていた 「そうだな、このマンションの至る所にゴミがあるし、清掃されていない玄関ホールとか手抜きは目についていたな」 「何でこんな話をしたかと謂うと、類はこのマンションのオーナーだろ? お袋が配管の修理の依頼を何ヵ月も前からしてるのに、管理人は動かなかったらしくてな、管理会社とか調べていたんだよ」 城崎の話は興味深くて、久我山はキナ臭さを感じていた 「で、管理会社を調べていたが、どの管理会社もヒットしなかったってか?」 城崎は驚いた顔で久我山を見た 「何で解った」 「管理会社の仕事にしては手抜き過ぎだからな‥‥」 「で、単刀直入に聞くけど、類はこのマンションの収益を幾らくらい貰ってるのか聞きたい 貰ってて管理しないのは‥‥訴えられたら逃れられない罪となるからな」 類は「‥‥‥え?‥‥‥」と焦った風に久我山を見た 「類、解る範囲で話せるなら話してくれ」 「えっと‥‥僕は毎月‥‥後見人の弁護士さんに十万円の生活費を用立てて貰ってる‥‥」 類はそう言うと鞄の中から通帳を取り出して久我山に渡した 久我山は通帳を受け取ると、開いて見た 確かに通帳には毎月一定額の振り込みが記されていた 久我山はその通帳を城崎に渡した 城崎もその通帳を受け取ると、開いて中を見た 「これは‥‥‥酷いな‥‥食い物にされてねぇか?」 「類も還って来たからな、調べようとは想っていたんだ まさか還って来たその日にお前からその話をされるとは想ってもいなかったがな」 久我山はこのマンションの値段相応のケアがなされていない現状に不信感を抱いていた 何かあると想っていたら、マンションの住人達は久我山同様、不信感を抱き動こうとしていたのだった 城崎は「類の後見人の弁護士って‥‥類の相続した資産を管理しているんだよな?」と問い掛けた 「後見人って謂う以上はそうなんだと想うぜ」 「‥‥このマンションの収入だけでも毎月、何百万円の収入はある筈だよな 経費を差し引いたとしても‥‥この値段はないと想うぜ ならばその分積み立てをしてあるのか? 一度調べないと‥‥食い物のままだぜ?」 「解ってる、城崎、お前少し調べてくれないか? そして正式にお前の親父さんに依頼するから、頼んでおいてくれ!」 「了解!んじゃ俺は帰るわ!」 城崎は立ち上がるとリビングを出て行った 久我山は、玄関まで見送り 「また来いよ! 少しずつ類に慣れて遣ってくれ 」 「あぁ、また来る そのうち慣れるだろ? 俺らといればな!じゃぁな!」 城崎は還って行った 類は…何だかんか…信じれなかった 何もかもが夢のようで‥‥まだ躊躇していた 還って来た以上は…学校にも通わないといけないし‥‥‥ あ、学校‥‥‥逝くんだよな? どうしょう…1ヶ月近く学校を休んでる… 城崎を見送ってリビングに戻って来ると、久我山は類を抱き上げた 「髪を切ってやるよ そのままだと目が悪くなるからな」 久我山は楽しそうに類をバスルームまで連れて行くと、前髪を切り始めた 器用な男で…髪を切らせても上手かった 「美容院に連れてこうと想ったが、美容師に髪を触らせるのは嫌かも お前は俺のだからな 誰にも触らせない」 独占欲を向けられて、類は…嬉しそうに笑った 「あ…あの、明日から僕…学校行くの?」 「行かねぇと、卒業証書貰えねぇぜ? 後、3ヶ月もねぇんだぜ?」 「うん…でも…僕…」 「俺と一緒に登校したくねぇのかよ?」 「えっ…一緒に行けるの?」 「隠す必要なんてねぇのに? 学校に行ったら、 席も変えなきゃな 俺の横に来い」 久我山は類を抱き寄せた そして、その髪に…接吻して 「類…」 「何…?」 「俺は今まで…恋人を独占してぇとか想った事はねぇんだ」 「割りきってるんだよね?」 「今までは、な」 「えっ…?」 「お前に心底惚れてる 俺って自分でも…こん なに独占欲が強い人間だなんて知らなかった… お前が誰かに触られるのも… 見られるのも嫌なんだ … お前は俺だけのモノだって…独占欲がメラメラ出てくる…」 類は…信じられない瞳で…久我山を見た 「僕は、慶一しか要らない 顔が似てても、慶 一じゃないなら嫌 僕を…追いかけて来てくれ た…慶一を、愛してる」 「類…本当にお前は…」 久我山は、類をギュッと抱き締めた 「髪を整えたら洗ってやる ピカピカに磨いてやるよ」 「うん」 「その前に、お前今まで何食ってたんだよ? 」 この家には…食べ物らしきモノがない… キッチンに…あるのはお菓子とカップラーメンばかり まさか…と思い…聞いてみた 「僕…無器用だから、料理とか…出来ないんだ だから、学校帰りにお菓子とかパンとか…弁当とかカップラーメンを買って来てた」 久我山は、絶句した 久我山はマメな男だった 仕事してる両親に変わって弟たちにご飯を食べさせたりしていたから… 「学校に行くのは来週からにしょう 今日は木曜だから1日しかねぇしな 週末にかけて実 用的な部屋にしねぇとな お前の部屋も変えねぇとな 俺と過ごすには寂し過ぎるからな‥‥」 風呂から出ると類は鞄を取ってチャックを開け …ぶ厚い…封筒を久我山に渡した 封筒の中を見るとお金だった 「類…俺は金なんて要求してねぇぜ…」 「ち…違うんだ、生活費と必需品を買いに行くのに、使うんだ」 「類、話ししよう 俺がお前といる理由が、金目的とかに思われたくねぇしな」 「想ってないよ 慶一は、一度もお金の事を言わなかった でもね、生活するには…お金が要るよ? 有るのは使おうよ…」 「類…」 「慶一、僕を捜すのに…バイト、ダメになったって…城崎君が言ってた…」 「バイトは、自分の小遣い稼ぎだ 聡史はしていねぇ 俺は遊びまくってたから…バイトと言う名目が必要だっただけだ バイトで貯めた金はある 親から小遣い貰ってるから…バイトなんてする必要も無かったんだが… 家に帰ってアイツの顔を見たくなくてな…やってただけだ」 「アイツ…って、さっきの?賢い子?」 「俺はアイツが大嫌いだ! 人を見下す秀才って奴が大嫌いだった」 「慶一の弟、セルジオ行ってるんだっけ?」 「超天才集団学校にな!」 「あの学校に…行かないか…って弁護士の先生が言った事があるんだ でも調べたら…熾烈な順位争いが日々繰り返されて クラスの人間総てがライバルで、日々蹴落として合って競っている…って書いてあったよ… 僕は…その中で生活するのは…無理だって想った… だから 、側にある学校行ったの 電車に乗らなくても 良いし、別に学歴が高くても…僕には学歴なんて必要ないしね… でもね慶一の弟‥‥そんな学校で3年間、脱落もせずにいたとしら‥… 性格…悪くなるのは仕方ないよ… 生き残 りサバイバルレースしてるんだもん」 久我山は、言葉を失った… そんなに熾烈な環境で勉強をしていたとは、知らなかった 高校に入ってから…態度も性格も変わって…人を見下す様になった… 変わらねば‥‥生きてはいけなかったんだと想った だが、自分には関係ない話だ 類との、これからには関係なかった これから関係あるのは…類の生活習慣かも… 「類、ルールを決めとこう」 「うん」 類はソファーの上で正座した 「お前と暮らす上で必要な金は、俺が払える時は俺が払う 俺が無理な時は、お前が払う 生活に必要な金はプールしといて、それを遣り繰りする あまったら、外食に行ったり、旅行にも行こうな 人はそうして遣り繰りして、日々生活して行くんだ 買い物は一緒に行こうな 取り敢えず、明日、必要なモノは買いに行こう この金はプールしておいて、二人の生活の為に使う それで良いか?」 類は何度も頷いて 「うん」と言った 久我山は、類を膝の上に乗せて抱き締めた 「これからは、俺がいる 朝も昼も夜もずっと一緒だ 一緒のベッドで寝て…起きても側にいる」 類は久我山の台詞を…信じられない想いで…聞いていた 「リビングの調度品は総て、リサイクル業者に引き払って、新しいソファーを入れる この家をお前と俺の暮らす家にしょう」 「慶一…何か夢みたいで…信じられない」 「そのうち、その不安もなくなるさ 朝も昼も夜も…一緒にいれば不安はなくなる 」 それでも…不安はなくならないよ…と類は想った マメな男は…類の髪を乾かしベッドに運んだ パジャマとか探すのは面倒で…二人とも裸のままだった ベッドに類を寝かせると、久我山はその横に入った 部屋の電気をリモコンで消すと…久我山は、類 を抱き締め…眠りにつこうとした 環境が変わりすぎた大変な1日だったから、大人しく寝ようと想ったが… 類の体臭を嗅ぐと… 眠るどころの騒ぎではなくなった… 息苦しくて …体が暴走する 久我山の手が、横にいる類の肌を弄る ツンと尖った乳首を久我山は執拗に…弄った 眠ろうと想ってた類は…突然快感に襲われた 「ゃん…慶一…ぁ…」 「俺らは夫婦みたいなもんなんだぜ 大人しく寝れると想ってた?」 「想ってた… だって…何時も…抱いたら… 3日は来なかったから…」 「本当は…毎日でも抱きたかった! でもお前を 壊しそうで…我慢したんだよ! でも無理だ!側にいるなら抱いてしまう」 久我山の胸のうちを聞かされ…類の体は敏感に震えた 愛しい…本当に…愛してる…この男を… こんな告白聞かされたら…堪らない… 久我山の指が…類の肌を這う 類の体に…久我山の熱を感じていた 久我山は勃起していた… 熱い久我山の熱が…類に押し当てられていた 「類…類…俺の類…」 久我山の腕が類に絡む… 首筋に…チクッと、痛みが走った 吸い上げられると…痛みと…愛しさが増してく 久我山の指を…類の口に入れると…類はそれを丁寧に舐めて濡らした… その指を…類の秘孔へと忍び込ませ…解すと… 類は脚を開き…誘った 「けーいち…ゃぁ…欲しい…」 「俺も欲しくて…先っぽが濡れてる…解るか? 」 久我山は類の体に性器を擦り付けた 「熱い…慶一の…熱い…」 久我山は、類の体を吸い…跡を着けた 「だろ?でも、少し待て… 明日、ローション 買わねぇとな だから、舐めて濡らしてやる でねぇと…怪我するだろ?」 そう言い久我山は部屋のヒーターを着けると、布団を脱ぎ捨てて…類を俯せにした そして…類の穴を…舐めて…解した 「もう……良いから…欲しい…」 類が腰を捩り…哀願する程…久我山は丹念に類の蕾を舐めて解した 傷は着けたくなかった… 感じさせて遣りたかったから… 久我山はある程度…柔らかく蕩けさせると… 類を仰向けにして脚を抱えた そして、目の前に…類の秘孔を定めると… ゆっくりと…挿入した 「ぁん…あぁっ…」 類は…挿入の快感で…イッてしまった 「類…入れた瞬間にイク程欲しかったのか?」 類は…頷いた 「そう言う時は、お願いすれば聞いてやる お前が言う事なら…俺は何でも聞いてやる 愛してるんだからな…当たり前だろ?」 「慶一…慶一…」 類は久我山に抱き着いた… 類の腸壁が…嫌らしく…蠢き…久我山の存在に歓喜していた 「慶一動いてぇ…動いて欲し…」 類が頼むと…久我山は腰を揺すった 「あぁっ…気持ち…イイっ…」 吐き出した…類の言葉通り…類は快感に溺れて …色艶めいて…淫靡だった 激しく求め合う二人の動きに、ベッドのスプリングが着いて来れずに軋む ギシギシと際限なく揺れて… 動きが止まった 二人は射精し互いを抱き締めていた… 精液を一滴残らす類の中へ流し込むと… 久我山は、類の上に重なって…息を着いた まだ抜いてなくて、繋がったままだった 久我山は、類に接吻した この体は…久我山しか知らなかった それを、ここまで久我山が仕込んだ 類の舌が…久我山の舌に…絡まる… 久我山が、キスを知らない類に教えた…キスだった 口腔を貪る接吻に…久我山の下半身は力を取り戻して行く…… 明らかに…類の中で…硬くなり…ピクンピクン …脈打つ…久我山の存在を感じていた… 一晩に…こうも何度も求められた事はなかった 抜かず…は、北海道で初めてだった… 「け…慶一…大きくなってる…」 「お前を愛してるからだ… お前が愛しくて… 愛してると想うと…こうなる 辛いなら抜くけど…どうする?」 今抜くのは…久我山にとって苦悶だろうに…類が辛いなら抜くと言った 「抜かないで…辛くないから… 僕の体で…感 じてもらえるのは…嬉し…ぁん…ゃぁ…」 「そんな可愛い事言うとな、男は止まれないぞ 、類…」 久我山は、類の中を蹂躙し続けた 類は久我山のもたらす熱に翻弄され… 久我山に縋り着いて…イッた… その夜は…繋がったまま…抜く事なく… 何度も求められ…類は…気を失った 流石と……これは…犯り過ぎだ…と、久我山は苦笑した 類の中の精液を掻き出し…シーツを変えて…久我山は、類を抱き締めて寝た 朝、目を醒ますと、久我山は腕の中にいる類にキスをした 「類、類、るい…起きろ…」 久我山が声を掛けると、類は目を醒ました 目の前に…恋する男の顔があり…類は赤面した 「おっ…おはよう」 「このベッド…狭いな… 今日買いに行こう! この部屋も二人で過ごすには狭いからな 寝室を広い部屋に移しても構わないか?」 「うん、どの部屋でも大丈夫だよ 面倒臭くて片付けてないだけで、使えるならどの部屋でも良いよ」 「ならこの家で一番広い部屋を寝室にするとして、リビングの家具や、お前の祖母の部屋の家具をリサイクル業者に売り払う事にするけど!大丈夫か?」 「良いよ 処分の仕方が解らなかっただけだから…」 「あのリビングのソファーは高く売れるかもな それで、家具と家電を総て買い揃えれるかも」 「けっ…慶一は、詳しいんだね」 「引っ越しのバイトしてたからな そこの引っ越し屋は、リサイクルもやってて、家具の見方を教えてもらった 後で、そこに電話して此処の家具の殆どを処分する」 「このベッドも?」 「当たり前だろ?」 「僕…何処で寝たら良いの?」 「だから、デカいベッドを入れるんだよ! 二人で寝てもギシギシ謂わない丈夫な、ベッドをな!」 久我山は、類を抱き寄せ耳元で 「俺が腰を揺すってもギシギシ言わねぇベッドじゃないとな」 と類を揶揄した 類は…久我山の手の中で…真っ赤に染まった 「可愛すぎるってば、類」 類は俯いた 「直ぐに俯く癖は少しずつ直そ お前は自信を持てば良い さぁ、昨日の…俺の液が残ってるから洗ってやる そしたら、買い物に行こうな レンタカーでも借りるかな? 足がねぇと動けねぇしな!」 「車なら…地下に…ばぁちゃんのがある… あれも、処分しないとな…」 「車検が…心配だな 後で見に行こう」 類は…頷いた 久我山は類の手を引くと、浴室に連れ込んだ 久我山の手で、中も外も洗ってもらい恥ずかしくて…でも、堪えていた 素早く体を洗うと、久我山と類は浴室から出て 、服を着替えた 類の服のセンスは…昭和の初期の様な…堅苦しさがあった 「服も買わねぇとな…」 総てにおいて無頓着な類は、服の流行とか‥‥解らずにいた 「この服‥‥変?」 「変と謂うより、今時の奴は着ねぇと想うぜ!」 「おばあ様が用意してくれた服なんだ」 「俺が見立てて変えて大丈夫か?」 「うん、僕は‥‥服の買い方も解らないから‥‥」 久我山は類の頭を撫でた 「俺が見立てて可愛くしてやる」 「うん‥‥ありがとう」 久我山は先にレンタカーを借りて逝くと部屋を出て行った 類は久我山と一緒にいられる時間が夢みたいに嬉しくて仕方がなかった

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