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第5話 暗躍
久我山はレンタカーを借りて来ると、マンションの地下駐車場へと類に来る様に謂った
「車を借りて来たから何処に停めたら良いか地下駐車場まで来て教えてくれ!」
『解った、その時におばあ様の車も教えるね』
類はそう言い電話を切ると駐車場へと向かった
一旦レンタカーを来客スペースに停めると、久我山は車から降りた
「慶一、この車がおばあ様の車だよ」
類が謂う先にはシートに被った車が停めてあった
久我山はシートを外して車を確認した
車検は…数年前に切れ…乗るのは無理な状態となっていた
だが年代物だが、マニアが見れば固唾を飲み込む車なのが伺えられた
「廃車にするか…
それか売るか…
これ、クラッシックカーってやつか?」
久我山は思案しながら…バイトしていた先の会社に電話を入れた
家具を買い付けに来てくれと頼むと、直ぐに行くと返事をもらい、部屋に戻った
部屋に戻ると久我山は、窓と言う窓を開けた
「寒いよぉ…慶一」
北海道のど寒い所へ行っていたのに…寒いと泣きついて…久我山は笑った
「北海道よりマシだぜ?」
そうだけどさ‥‥と類は拗ねた様に謂うと、クローゼットから、久我山のブルゾンを引っ張り出して…着た
ふわふわのモコモコのブルゾンを一度…着てみたかったのだ
でも………デカくて…ブカブカだった
久我山は笑いながら、袖を折り曲げてやった
業者がやって来て、部屋の家具の査定を始めた
やはり久我山の試算した通り、リビングにある ソファーは、年代物で…輸入品だった為に高値が着いた
「ソファーとテーブルは、昭和の初期のイギリス王室御用達の輸入品だ!
保存状態も良い
かなり高価な値を着けるから、売ってくれないか?」
と、リサイクル業者の社長が言う程の品物だった
リビングのソファーやテーブル同様、類の祖母の部屋の家具や調度品は、かなり高価な値を着けられ、久我山は満足な顔をしていた
「社長、俺、試算したんですよ
調べたら総て合わせて一千万円じゃ安すぎます」
なんて、脅して…駆け引きをした
「うちでは、これで精一杯だ
他には行かせたくないけど…出せない」
「なら、社長、此処のリビングに合うソファーとテーブル
それを着けてよ!中古は嫌だよ
倉庫に眠ってる新品の在庫で良いよ」
「相変わらず目敏い奴だな
解った!それで手 を打とう」
「今日入る?」
「手筈を整えれば夜には持ってこれる」
「じゃぁ、それで良いや
後、地下に社長の欲しがってる車が有ったよ?」
「えっ!まぢかよ!」
「車検は切れてたけど、保存状態は最高だったよ
持ち主は亡くなったから、弁護士の先生を通して譲渡は可能だ 」
「幾らで?俺も…出したくても金がねぇ」
「俺が欲しいのは人材だ
この家の家具は総て入れ換えるつもりなんだ
チンタラ時間を掛けたくないからね
今日買いに行った荷物を運んで欲しいんだ
それでチャラで良い
魅力的な話じゃねぇ?
俺は恋人に…俺と作る家庭で過ごさせたい
社長はお得な買い物が出来る
一挙両得じゃねぇ?」
「なら、それで乗ろう
バイトの日当の方が安く着く、助かる
で、この家具の代金だ」
社長は、久我山と類の目の前で札束を機械にかけて見せた
総てで一千万円
耳を揃えて、久我山に渡した
久我山は、類に受け取りのサインを書かせた
すぐ後に、家具が総て運び出された
ガラン…となった部屋を呆然と眺めていると…
久我山は、類に箒を持たせた
なんせ、此処には掃除機もない…
「掃除するからな
テキパキ働け、良いな?」
「う…うん!掃けば良いんだね」
類はブルゾンを脱ぎ捨て、丁寧に箒で履き出して掃除を始めた
総ての部屋の家具がなくなり、カーペットを剥がし、フローリングを綺麗に雑巾がけして
午前中掃除に明け暮れ、片付くと久我山は外へと類を連れ出した
最初に向かったのは、百貨店
まずは、類の服を買った
類の下着や靴下
そして似合いそうな服を、カートに積み上げ買って逝く
久我山の着替えや下着も買い、満杯になると駐車場へと向かいトランクに詰め込み …
更に買って行く
ついでにお揃いのブルゾンを買った
そして、一旦家に帰りその荷物を家へと運ぶ
久我山が重い荷物を持って、類には軽い荷物を持たせた
もう一度取りに来るとして、久我山は、類をエ レベーターに押し込んだ
「けっ…慶一…買い過ぎてない?」
「お前の今までの服も下着も捨てるからな、こんなもんじゃねぇ?」
類には…よく解らなかった…
久我山は、類と荷物を部屋に置くと、もう一度車に荷物を取りに行った
そして部屋に戻ると、再び類を連れて外に出た
「今度はな、家電だ!
値切るからなお前は何も心配するな」
「うん」
「家電が終わったら、家具を買いに行く
明日は運び込まれた荷物の整頓をしねぇとな
後ちゃんとした調理器具とかも買わねぇとな
お前を食わせて少し太らせねぇとな」
久我山は、笑った
「さっ…触り心地悪い?僕?」
「違げぇよ
食生活を教えてぇんだよ
二人で食べると上手めぇぜ
俺が作ってやるからな!」
「うん。慶一は何でも出来るんだね」
「頭を使うより体力だからな俺は
聡史は体力より頭だからな
双子で生まれても、今じゃよく見ても解らねぇ様になっちまった」
久我山は買って来た服を類に着せると、お揃いのブルゾンを着た
髪を切って、イメージは変わった
服も今風のを着て…かなり可愛くなって久我山は満足だった
「さてと家電を買ったら、家具を見なきゃなんねぇ
それが終わったら飯を食って帰ろうぜ
冷蔵庫は、デカいのが良いな
保存出来ねぇとな
TVもデカいのをリビングに 入れて、寝室にも入れとくか
類の勉強部屋も作らねぇとな」
「僕…勉強は…寝そべりながら…PCでやるから 、部屋は要らない…
慶一がいるのに違う部屋にいたくない…」
と言うから、久我山は感動していた
どうしてこんなに可愛いんだ!
久我山は、恋人を溺愛しまくっていた
「なら、部屋は要らねぇな
洗濯機はドラム式 が良いな
乾燥機までついてねぇとな」
類は…ドラム式洗濯機は…知らなかった
「ドラム缶で…洗濯するの?」
と聞かれて…久我山は唖然となった
「類…お前…家電とか超疎い?」
「よっ…良く…解らないんだ」
「俺が統べてやるから、類は少しずつ覚えていけ」
「うん」
久我山は、大手家電量販店へ向かった
店内に入ると久我山は戦闘体制に入っていた
久我山は店に入るなり、冷蔵庫を吟味した
エコモードが着いていて、尚且つ冷凍庫が広い使い勝手の良いものを探した
そして、現金でかなり買うから、幾らの値引きをしてくれるのか!交渉に余念がなかった
店員のお勧めには目もくれず、説明に着いた店員には家電のうんちくで…言い負かし
冷凍庫とTV、クーラー、空気清浄器…アイロン、オー ブンレンジ、LEDライトの蛍光灯、その他細々としたモノ総てを買うからと値引きさせた
かなり粘った交渉は…店長を呼び出しての話し合いになり、かなり値引きをして、久我山は嗤っていた
そして、配送は名刺を渡した業者が来るから、今日中に、配送出来る手筈を頼みます!と詰め寄った
久我山は現金で支払い、次は家具屋に向かった
家具屋でも、久我山は家具を見極め選び、家具の色を揃えて選んだ
リビングのソファーとテーブルは、リサイク屋が新品をくれるから、キングサイズのダブルベッドと 、サイドボード、…カーテン、絨毯、その他諸々の商品は…店員のお薦めには耳も貸さず選んで行く
久我山は無駄な動きはせず、目的のモノを買って
やはり、配送は名刺を渡し、この業者と連絡を取って運び込んでくれと指示を出した
今日中に家具を持ってきて貰わねば困るから…
と脅して…予定を着けさせ、現金で支払うからと…かなり、 値引きとオマケを着けさせて、満足気に帰る事にした
この日は朝から忙しく、類は…無口になっていた
久我山は車に乗ると、心配そうに類に声をかけた
「疲れたか?
これから飯を食いに行って帰る
レンタカーを返したら家に帰るぞ
やっぱ、車は要るかもな
明日、探しに行くか?」
「慶一は、すっ…凄いなって思ってた」
「凄い?何処が?」
「あんなに…詳しく知ってるから店員が負けてた…」
「俺とお前の住む空間を作るんだからな
手は抜けねぇでしょ?
お前をあんな寒々しい部屋に置いておきたくないからな!」
「ぁ…ありがとう」
久我山は、バカっと類の髪をくしゃっとして
「飯、食いに行くぞ」
「うん」
久我山は車を走らせ、ファミレスの駐車場に車を停めた
店内に入ると…二人掛け用の席に通され座った
久我山は、ステーキ定食とサラダとパスタとプリンとポテトを注文した
ジュースを入れて来ると、類の前に置いてやった
料理が来ると…ガツガツと久我山は食べ
サラダをモソモソと、類は食べた
パスタもサラダも久我山が半分以上食べてやって、やっとこさだった
そして、久我山が珈琲を飲むと…類はプリンを食べていた
類が終わるまで…久我山はじっと待っていた
そして、食事を終えると久我山は類を立ち上がらせて、支払いを済ませファミレスを後にした
夜になると、家電より先に家具が届いた
久我山が指示した通りに配送に来たのだ
家具を運び込むにも、詳細な指示した
絨毯を先に敷かせ、その上に家具を置いて…業者は次は家電を運びます…と告げ出ていった
暫くすると、家電が運び込まれた
総て運び入れられた後に、リサイクル業者の社長が、リビングに置くソファーとテーブルのセットを運び込んだ
リサイクル業者の社長は「車を見せてよ」と 久我山に頼んだ
久我山は、類をソファーに座らせ
「少し行ってくるな
留守番出来るか?」
と、聞いた
「で…出来るよ」
類が言うと、久我山は社長を連れて地下駐車場に向かった
エレベーターに乗ると社長が
「中学生は…犯罪やで、久我ちゃん」と告げた
「誰が中学生や!
あれで、俺と同い年だぜ?」
「幼すぎ…に見える…」
「まぁ、そんな話はどうでも良いだろ?
あれだよ、社長
シートを外して見て見たら? 」
社長は、シートを外して…車を見た
社長の目の前に保存状態の良いクラッシックカーが有った
「この車は類の祖母の持ち物らしい
これが鍵だ
車検証も切れてるけど入ってる」
そう言い社長に鍵を渡した
恐る恐る車に鍵を差し込むと、ドアが開いた
ダッシュボードから、車検証を取り出すと
「江口みつゑ…って、あの子の身内?」
「祖母になるらしい
亡くなられてから…放置だから車検も切れてる」
「これじゃぁ、配送料じゃ合わないな… 凄すぎるよ…
何か欲しいの言ってよ
この車の相場を考えたら…恐ろしい…」
「なら、車をくれよ
足がねぇと不自由で仕方がねぇ」
「解った!先月買ったばっかの車をくれてやる」
「なら、この弁護士の方を尋ねて名義変更してよ
話は通してあるから、手続きは遣ってくれると思う」
「解った
今回は本当に凄い買い物にさせて貰ったよ
あの昼の家具、お前の読み通り…凄い 値段になった
悪いから、下駄箱もリビングの シャンデリアも着けておくよ
今やってると思うから」
「解った!ならな社長。
またバイトの時頼むな」
「バイトするのかよ?」
「するに決まってるじゃん
お金は要るでしょ?」
「まぁお前の目は確かだしな、うちもバイトに入ってもらえれば助かる
お前の恋人の部屋の状況を見て、オッケーなら引き上げるわ」
「あぁ、助かった」
久我山が部屋に戻ると、下駄箱もリビングのシャンデリアも変えられていた
類は…久我山の姿を見付けると…立ち上がって後ろに隠れた
社長は「ちゃんと着いたな!どうだ?新品の逸材だぜ」と自慢気に聞いた
「最高だ社長!ありがとう」
久我山が言うと社長は満足気に頷き撤退の合図を出した
「じゃぁ久我山ちゃん
仕事は完遂と言う事で引き上げさせて貰うよ」
「社長、今日は無理な事を聞いて貰って助かった」
久我山は、礼を言うと、社長は久我山の肩を叩き
「またバイトに来るんだろ?
待ってるからな!」
と言いバイトを連れて帰って行った
久我山は後ろに隠れた類を、ソファーに座らせると
「どうだ?生まれ変わったろ?」と笑って話し 掛けた
「何だか…慶一ってスーパーマン見たいで…凄い。」
「スーパーマンか?すげぇな俺」
「慶一は、魔法使いみたいに、すっ…凄いよ 」
久我山は笑うと類を膝の上に乗せた
「類、ダブルベッドのスプリングを確かめに行こうぜ!」
「???確かめるって?」
「そりゃぁ、お前の中に入れて腰を揺すっても大丈夫か…だろ?」
類は…かぁーっと顔を赤くした
結局は…久我山の好きにされ…突っ込まれ腰を使われて
息も絶え絶えになる
「類…類…どうだ?」
「ぁん…あぁん…なっ…なにが?」
奥を掻き回され…ギリギリまで抜かれそうになり
類は久我山の背中に縋り着いた
「だから…俺が腰を使って大丈夫だろ?」
「イイっ…凄く…イイっ…」
もう類は…何が何だか解らなかった…
久我山は類を抱き締めて…離さなかった
朝早く…久我山の携帯が鳴った
電話の相手は父親からだった
もしもし…と言うと父親は、新生活はどうだ? と尋ねた
「そりゃぁ、愛する類と居られれば幸せ過ぎて 楽しいぜ!」
父親は笑って『またには家においで』と言った
久我山は、他愛もない話をして、今度顔を見せるよ…と電話を切った
その日の久我山は、朝から精力的に動いていた
前にバイトに行ってた探偵の会社に連絡して仕事を依頼した
そして自分でも集められる書類は集めまくっていた
類には気付かせずに証拠を揃えつつ、午前中は片付けものをした
そして午後から再びレンタカーを借りて、調理器具と食器等…必需品を買った
そして、その次は食料と飲み物を買いに向かう
久我山はお菓子を入れようとする類を阻止して、食料をカゴに入れて行き、レジで料金を払うと家へと帰った
家に帰ると久我山は類を家に置いて、レンタカーを返しに行った
戻ってくると、類はソファーの上で寝ていた
生活環境が変わって、疲れたのだろう
久我山は、類が北海道まで持っていった毛布をかけてやり夕食を作りに向かった
キッチンには、四人掛け用のテーブルと椅子を置き、食器棚には、食器を並べて何とか生活感が出てきた
買って来た食材で夕飯を作っていると、呼び鈴が鳴りカメラを作動すると…城崎だった
久我山は「入って来いよ」と言い解錠した
そして火を止め玄関に顔を出した
城崎は、家に入るなり
「おぉっすげぇな!流石、久我山慶一 !
一晩でこれをやりますか!すげぇな!」
と、驚きまくりで、久我山は苦笑した
「類は?今日はお前の後ろに隠れてねぇのかよ?」
「寝てる…毎晩…止まらなくてな…
抱き潰してるからな…仕方ねえ…」
城崎は、笑って「お前らしいじゃん」と肩を叩いた
リビングに行くと、類は眠っていた
「ソファーも変わってるやん」
城崎は、驚いていた
シャンデリアも着いて、TVもデカいのを入れていた
「飯、食ってくか?」
「お前が作ったのか?」
「俺じゃなきゃ類は毎日カップラーメンばかりだぞ
今日買い物に行ったら、お菓子を入れようとするからな、参った」
「夕飯はまた今度な
これ親父から預かってきた」
久我山は、その書類をテーブルの上に置いた
「流石!仕事が早いな北村恭一は」
「言ってろ!家で寝てたのによ!
起こしやがって、これ持ってけだもんなー…
所で、あんまし強引に事を進めると‥‥何するか解らないぞって親父が言っていた」
「解ってるさ‥‥相手は悪賢い奴だからな
一筋縄ではいかない事くらい承知してる」
「気を付けろよ!
とにかく証拠を取らねぇと‥‥解ってるよな?」
「あぁ、解ってる」
城崎は、「なら俺は今日は帰るわ!」と言った
久我山は、玄関まで送っていくと城崎はまたな、と帰って行った
城崎が出ると久我山は鍵を掛けた
近いうちに玄関の鍵をオートロックに切り替えるつもりだった
今は‥‥まだその時ではないと我慢するしかなかった
久我山は類を起こすと、夕飯を一緒に食べて 二人で片付けをして
その晩は大人しく寝た
久我山は精力的に動き証拠を揃えた
そして強引に類のマンションの管理会社を変えた
久我山は管理会社のバイトもしていたから、類のマンションの管理をバイトをしていた管理会社に依頼する手続きをした
そして管理人をしていた後見人の弟は横領で告発して解雇した
強引なのは百も承知だったが、類を食い物にする後見人の弟と後見人の弁護士が許せなかったのだ
後見人の弟は解雇された晩、類の部屋の鍵を盗み部屋に押し入った
類を脅して言いなりにさせるつもりだったのだろう
言いなりにならなければ亡き者にする、そんなつもりで部屋に押し入った後見人の弟は、類の部屋に久我山がいることも知らずに押し入り、逆にボコボコにされ警察に引き渡される事となった
久我山は怒っていた
類なれば甘いと口封じして、類の財産を総て自分達のモノにしようとしているのが明白なの事に腹を立てていた
家賃の管理は城崎の父親の知人の税理士に一任させ、管理会社との連携を計った
類の通帳には必要経費を差し引いた金額が振り込まれる様に手続きをした
後見人の弁護士が管理していた通帳にはお金を入れない様にすれば何らかのリアクションがあると踏んで、久我山は強引に総てを後見人の弁護士の手から外した
新しい管理会社から派遣してもらった管理人は、前の管理人が滞らせた仕事を精力的にこなし、総ての部屋の鍵も変える手筈を整えてくれた
顧問弁護士も変えた
城崎に事情を話して頼んでもらい、テレビとかで見る北村恭一に頼んだ
類は…じっと、久我山を見ていた
「心配するな」と、久我山は類を抱き寄せた
類は頷いて久我山に抱き着いた
「類、学校はこの件が落ち着いたら行こうな」
類は頷いた
後見人の弁護士が大人しく引き下がらないのは、弟の管理人を見ていれば解った
類は震えていた
久我山は強く類を抱き締めた
類との生活が始まって久我山は料理を作るのが楽しくて仕方がなかった
類に食べさせる為に作る料理は、我ながら腕が上がったと想える程となっていた
類と共にキッチンテーブルに座わり朝食を食べる
類は夢のような日々だった
類は久我山の手料理を「美味しい」と謂って食べていた
が…元々が少食の為、食べれるだけの量を入れて食べさせていた
何だか…家も変わって…生活感の出てきた部屋は住み心地が良かった
久我山は手を伸ばし、類の頬に着いてるマヨネーズを拭った
「あ…ありがと」
「昨夜は大人しく寝たのに、ボーッとしてたら犯すぞ」
「えっ…あの…!それは…」
答えに困った類は、しどろもどろで可愛かった
類が食べ終わるのを待って、後片付けをしてソファーで寛いでいると呼び鈴が鳴った
久我山はカメラを作動させると、そこには久我山の両親が立っていた
久我山は玄関に向かいドアを開けた
「どうぞ、入って下さい」
両親の来訪の意味を知っているかの様に、久我山は悠然と構えて両親を部屋へと招き入れた
母親は久我山に「類ちゃんは?」と問い掛けた
「リビングにいる
どうぞこちらへ」
久我山はリビングまで両親を連れて来ると、ソファーに座らせた
類は、立ち上がって…深々と頭を下げた
久我山は、類をソファーに座らせた
そして、紅茶を淹れに行き両親と自分達の前に置いた
久我山がソファーに座ると…類が久我山の服を掴んだ
久我山は、両親に「俺と類の様子を見に来た訳じゃねぇよな?」と声をかけた
久我山は…両親が尋ねて来るのは想定内だった
母親は「慶一、お前一体何をしているの?」と心配そうに声を掛けた
父親も「お前‥‥類の財産を目当てに付き合っているのか?」と息子を真摯に見て問い掛けた
「どうせ、俺が類を利用しているとか、金目当てだとか謂われて慌てて来たんだと想うけど‥‥この書類を見ても‥‥同じ事が謂えるか‥‥」
久我山は、城崎が父親から渡されたと言う書類を手にすると両親に渡した
「この用件で見えたとしたら、もう遅い
話は俺の所から離れて北村恭一って弁護士の所へ委任してあるので、弁護士の方へどうぞ」
両親は……久我山て手渡された書類に目を通した
そして‥‥‥驚愕の表情を見せた
「えっ!!!何これ!」
母親が声を上げる
「まさか…あの人が…」
父親は呟き…茫然自失になった
類は…久我山を不安そうに見上げた…
久我山は、類の肩を引き寄せて抱き締めた
父親は「恩師の先生に…いきなり顧問弁護士を…君んちの息子が理由説明もなく突然解任した…
と言われ話を聞きに来たんだ
まさかな…これじゃぁ解任しなければ…総て乗っ取られ総てなくなる…」と呟いた
母親は「顧問弁護士の解雇は類ちゃんの意思じゃないから、類ちゃんを説得してくれ…って頼まれたの
慶一に良い様に…騙されて…利用されて…
下手したら慶一を訴える…みたいな事を言われたから…慌てて来たのよ…」と事情を話した
久我山は「あの男は、類が大人しくて無頓着なのを良いことに資産を使い込みした
俺は類が月々十万円にも満たない生活費のみしか貰ってないのに疑問を抱いた
ここのマンションの家賃収入だけでもかなりの 額になる
二十歳になるまで資産を弁護士が管理するにしても…これは酷い
俺はこのマンションの管理状況を調べさせた
管理人も管理費を使い込みして仕事もしないからクビにした
あの弁護士の弟がやってたぜ?
ろくに仕事もぜず使い込みだなんて笑える
この、マンションの名義人は類になってる
所有権もな
二十歳になるまでは動かせない様になってるからな
二十歳になったら、乗っ取られるぜ
なんたって、類に渡さなきゃいけねぇ金を使い込んでるんだもんな
渡せる筈がねぇ
だから、管理会社も管理人も変えて、横領と背任容疑で告訴する準備をしている
詳しい 話は弁護士に聞いてよ」
久我山の両親は、言葉を失った
「あぁ!そうそう!
その管理人の男な、類の部屋に押し入って来たんだぜ!
合鍵を使ってナイフを持ってな
強盗に見せ掛けて殺す算段だったみてぇだからな
警察に突き出してやった!
横領と強盗の余罪が着く
下手したらナイフ持ってたからな、 殺人未遂も取れるぜ
この部屋の鍵は総て変えた
もう管理人が持ってた鍵じゃ入れねぇよ
しかも、新しい管理会社がこのマンションの住人の鍵は総て変えた方が良いだろうと、言うから総て変えてる最中だ
ついでに言うと防犯カメラも全フロアに着けた
エレベーターの中にもな
弟が逮捕された今、弟は兄の指示でやったと言うだろうし、全ての全容解明は時間の問題だな」
父親は「類を殺せば…総ては…闇の中…と言う訳ですか!」と怒りを露にしていた
母親は「北村恭一なら、司法の同期だわ
彼ならちゃんとやってくれるでしょう!
こんなの許せる筈などないでしょ!
況してや慶一の大切な子を殺そうなんて!
許せない!」と 怒りを露にしていた
父親は「境界線を越えて…しまわれたのですね…
管理しているお金が…自分の元に来て…
それを取り締まる人間もいなかった…
何年も それを続けて…今回…バレる事になり…
私達に嘘を着いて息子を黙らせて引かせようとした !
許せません!」と悔しそうに…呟いた
久我山は皮肉に嗤って
「俺が黙れば…後は無頓着な類だけだ
騙すのは赤子の手を捻るより…楽だろ?」と吐き捨てた
そして類を抱き締め
「俺はこの世の総てを敵に回しても!
命が尽きる瞬間まで、類を守ると決めたんだ!
だから類を誰にも触らせないし、傷付けさせない!
それが俺のケジメで覚悟だ!
親父達の…恩師の方だから気は引けた!
だから!類に手を出さなきゃ、多目には見てやった
殺そうとするなら、根こそぎ俺は排除する」
不敵に笑い、親に覚悟を告げた
父親は…
「弁護士としての…責任を改めて痛感させられました
私達は間違った方へ行ってはいけない
でも間違った方へ行くのは、容易く紙一重の差なのだと…思い知りました」
と想いを述べた
母親も「法の番人が…間違ってるのを誤魔化したら……
この世の中は何を信じて行けば良いか…解らない…
それは……法律家としてしてはいけない
………北村と、連絡を取ります
何があっても私もお前やお前が選んだ類を守り通してみせる!」
と息子を見詰め言葉にした
「類に誰も手は出させない!
俺って…かなりの執着の持ち主なんだな…
自分でも驚いた…
本気になると…そいつしか見えない…
我ながら…怖いかも」
久我山は苦笑して、類の頬にキスした
母親は呆れて…笑い
「お前って絶対に冷めてて恋愛しても…変わらないって思ってたのにね…
本気の愛を知ったのね
類の為なら総てを捨て ても、敵に回しても良い位の愛を…
変われば変わるもんね」
しみじみと呟いた
父親は
「慶一、お前が類を守りたい様に、私も妻や子供はこの手で守りたいのだ
恩師の先生だからと言って私達が目を瞑れば…
私はお前にも類にも……他の子供達にも、顔向け出来ない人間になってしまう
総ては北村に任せて、私達は裁きを司法に委ねます」
と、類に頭を下げた
類は焦っていた
心配をしてくれる久我山の両親に、気のきいた言葉を言わなきゃ…と想っても言えずに焦っていた
俯くな…と言われたから俯く事も出来ないし… 困っていた
「ぇーっと…ぇーっと…あの…」
久我山は、
「焦らなくて良い、何が言いたい? 」
と、類を落ち着かせた
「ぼっ…僕は…慶一がいてくれればそれで良いです」
と、ペコッと御辞儀をした
久我山の両親は微笑み、類を見ていた
「近いうちに遊びに来なさい」
と言って久我 山の両親は帰って行った
類は…久我山を見ていた
「ん?どうした?」
「ぼっ…僕は知っていたよ
先生が使い込みをしてるのを知ってるよ…」
「知っていたのか?
知っていて…どう思ったんだ?」
「……仕方がない…と…思ったんだ
僕は…厄介者だから…仕方ないって…」
「厄介者って? 誰か言ったのか?」
「おっ…親が言った…要らないって……
おばぁちゃんは…仕方がないね…って溜め息着いて…
お前は厄介者だから…って…毎日…
だ…だから…使い込みされても…仕方ないって思った」
久我山は、類を抱き締め
「俺にはお前が必要だ!
何処へも行かせないし誰にも触らせたくない!」
「慶一…嬉しい…」
類は久我山の首に腕を回し…抱き着いた
自分を必要としてくれてる事が…こんなに嬉しいなんて…
「やっと片付いたから、学校に行かねぇとな
そろそろ俺も本気を出して勉強すっか
その前に、今日は性欲が尽きるまで犯ろうぜ !
明日は日曜でゆっくり過ごす良い案だろ?」
類は…首をふった
「ぼっ…僕は…体力が着いてかない…」
「お前の体をもっと感じやすくさせてやるよ 」
「もっと……?」
「そう!もっと、だ!」
久我山は、そう言い楽しげに類を抱き上げ寝室に類を連れていきベッドの上に…押し倒した
「慶一 怖い…」
「何処が…?
こんなに優しい男はいないぜ?」
久我山は、類に覆い被さり…深い接吻をした
口腔を掻き乱す激しい接吻に意識は朦朧となる
足を広げられ…穴の奥を開いて見せて…挿れて…と哀願し…
襞を捲りあげた
久我山が意地悪く…
挿れて欲しいなら…誘って見せて…と唆すから…
類は言うことを聞いた
自分の蕾に指を挿し込み…開いて見せた
挿れて…ねぇ…お願い…
妖しく蠢く中を見せ付け…誘った
久我山はそんな類の色香にやられ…獣になった
その日は…久我山の性欲の尽きるまで…
抱かれて泣いて…気絶した
ともだちにシェアしよう!