3 / 16

第1話・運命の出会い。(2)

 本人がどれだけジムで汗を流し、身体を鍛えようとも、筋肉は付かず、ひょろっとした軟弱な身体のままだった。さらに輪をかけて、百八十センチも身長があるから余計に質が悪い。  愛想良く振る舞おうと微笑めば、そのぶんだけ怖がられ、ただ立っていると、邪魔だと言われがち。  おかげで、量販店との電話でのアポイントメントを取ることができても、その先がうまくいかないことがほとんどだった。  これでは、営業部が勤まらない。大学を卒業してから、今の会社に勤めて三年。まったく進歩がない自分にほとほと呆れる。  篤はもう一度深いため息をつき、肩を落とした。  すっかり自信を失った篤は、いつもと同じ帰路に付く気にもなれず、人通りの少ない裏通りを選んだ。  大学に進学するにあたって、実家から引っ越してきて七年にもなる。もうすっかりこの道も知っている。――筈、だった。  けれど、今日はどこかいつもとは違う。  静かな坂道と、畑ばかりが目立つ小道。それは変わらないのだが、どこかが違う。  篤は首を傾げながらも、人気のない道を進んでいく。すると、一軒の、こぢんまりとした古風な店が目に入った。  古風と言えば響きは良いが、何十年も前からずっとある、随分と古ぼけた雰囲気のする店だった。  ふと見上げると、看板には、『doll』と書かれた文字が見えた。  この店、どうやら人形専門店らしい。 (あれ? こんなところにショップなんてあったっけ?)  篤は首を傾げる。  実は、篤は大が付くほど可愛い物好きで、幼い頃から、人形やら縫いぐるみに目がなかった。

ともだちにシェアしよう!