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第2話・君の名前は……。(3)

 美青年がもたらす快楽で、下腹部が疼く。陰茎はキスだけでも身をもたげはじめているのがわかった。  篤はこれまで、好みの男性はいたとしても、自分の容姿がこんなだからと、想いを告げることなく過ごしていた。  もちろん、セックスなんていうものは未経験だ。  だからまさか夢の中でこんな経験ができるとは思いもしなかった。  この夢は、自分の深層心理が生み出した欲望の世界なのかもしれない。  ならばこの際だ。自分でも経験したことがないものを、もっと堪能したい。しかも相手は希に見る美形だ。もしかすると、この機会を逃せば、もうこんな夢は二度と見ることがないかもしれない。  篤の手が、美青年の広い背中に回る。  一層深くなる口づけに身を委ね、篤も自ら舌を絡めて美青年を誘惑する。  美青年はくぐもった声を上げ、絡めた舌を外すと、篤の口角に口づけを落とした。  ゆっくり、けれど確実に、美青年の唇が降りていく……。  喉仏を通り、鎖骨を食む。 「……っつ」  痛みを感じたのは、きっと美青年が鎖骨にキスの痕を付けたからだろう。  痛みまで鮮明な夢なんて今まで見たことがあっただろうか。 「……っふ」  気持ちが高ぶっているおかげで、唇からはふたたび甘い声が漏れた。 「この乳首は桜の花弁のようだな。実に可愛らしい」  美青年は篤を讃えると、乳首に唇を落とし、ざらついた舌で舐め取るようにして掬う。  片方の胸もまた、骨張った指に摘まれた。 「っひ、あっ!」 「胸も感じるのか。尖っている……」

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