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第2話・君の名前は……。(4)

 片方の乳首は甘噛みした歯の隙間から覗く舌で転がされ、突かれる。  もう片方は、指の腹で転がされ、あるいは摘まれる。  そのたびに、篤は喘ぐ。腰が跳ね、ベッドのスプリングが軋みを上げた。 「あっ、あっ!」 「乳首が赤く色づいてきた。君はなんと美しいのだろう」  乳首から唇が離れたかと思うと、片方も同じようにして唇で愛撫される。 「んっ、もうっ、俺……」  篤が催促すると、空いている片方の手が、反り上がりはじめた陰茎を包み込んだ。  他人に自分の一物が触れられることなんて考えたこともなく、驚きを隠せない。 「あ、やっ、うそっ!?」 「アドレー、そう呼んではくれまいか?」  耳元で告げられ、耳孔に甘い吐息が入る。  身体中に、熱が駆け巡った。 「あ、どれ……い」  羞恥からか、それとも、美青年が与えてくれる快楽に期待しているからなのか。高鳴る胸のおかげで、声が震えてしまう。  回らない呂律(ろれつ)のまま名を呼べば、ふっと笑う、彼の息がくすぐったい。  篤の身体が小さく震えた。  先端から根本へ、そして裏へと移る陰茎を弄る指は、絶妙な力の入れ具合で、篤の快楽を刺激する。  次第に放たれる水音に、恥ずかしいと思いながらも、快楽には従順に染まっていく……。 「あっ、っは……んぁっ!!」 「可愛い声だ。もっと鳴き声を聞かせて……」  感情も高ぶってしまった篤は、もう達してしまうと思った。

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