13 / 16
第2話・君の名前は……。(5)
けれど思い通りにはいかない。今まで乳首を弄っていた彼の手が篤の陰茎を包み、陰茎を包んでいた手が、篤の後ろに回った。
彼が目指すのは、篤の後孔だ。
「やっ、嘘っ!!」
「今でなくともいい。ここで俺を受け止めてほしい」
「んっ!」
セックスが未経験な篤だってゲイの端くれだ。同性とセックスをする時にどこを使うのかぐらいは知っている。
同性との性行為には、後ろを使うしかない。
自分がゲイだと知った当時、興味があって調べたりもした。
だが、残念なことに、篤は見目麗しいわけでもない。身の程を知っている分、同性にセックスを求められるわけがないと思っていた。
自分の夢の中とはいえ、考えられなかった出来事でもある。
心の準備さえもしていないそこに、骨張ったアドレーの指が入っていく。
「あっ、っひ、ああっ!!」
いくら篤が流した先走りの滑りがあるからといって、初めての行為だ。骨張った指が後孔に簡単に入るわけもなく、痛みが伴う。
「ひっ、痛い、いたっ!!」
慣れない後孔に指を挿し込まれ、奥へと進むごとに、メリメリと肉が引き裂かれるような残酷な音が聞こえてくる。
首を振り、止めてくれるように懇願する。しかし、美青年は篤の願いを聞き入れることはない。それよりも先にと、指を挿し入れ、内壁を弄る。
逃げたくとも、片方の手には陰茎が包まれている。逃げたくとも逃げられない。
後ろは痛みを発しているのに、前はちゃっかり快楽を感じている。
これでは、どうしていいのかわからない。
ともだちにシェアしよう!