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3-4 バーベキュー

僕らは、夕ご飯のため、バーベキューの準備をする。 ところで、どうやってバーベキューの準備をするのか僕には、よくわからなかった。もともとインドア派で家族ともアウトドアをした経験がほとんどなくて、あってもかなり小さい頃だと思うし、何の記憶もなかった。 気づくと、ここでも武藤君が、リーダーシップを発揮していた。 僕と優君以外は手慣れたように準備をする。 「みんな、手慣れてるね。響君もすごいなぁ、」 僕は、感心したように優君に言う。 「ほんとだね。ウチには、できないやぁ、、」 僕らはその場で立って、準備をしているみんなを見つめていた。 重岡君がやってきて、優君を誘う。 「一緒にやりませんか?私が教えますから。」 「はい、、」 優君は、照れながら伏し目がちに言った。 二人は、一緒に準備をし始めた。 「愁は、そこで何してるのかなー」 武藤君がニヤニヤしながら近づいてくる。 「いやぁ、、、やり方がよくわかんなくて、、」 僕は、少しだけうつむいた。 「こうやるんだぜ!」 武藤君が僕の手を握り、手取り足取り準備の仕方を教えてくれる。 「すごい、慣れてるね、、」 「まぁな、よくやるしな。なっ、玄!」 「そうですね。野球部でバーベキューは、頻繁にやりますから。」 「そうなんだぁ。」 「オイラたちもサッカー部でよくやるよ。ねぇ、恭くんー!!」 東条君が元気よく言った。 「そうだな。」 藤澤君が同意する。 「みんな、すごいね、、」 一人でずっと感心していた。 「響君もできるんだよねーすごーい。」 「まぁねー」 黙々と準備しながら答えた。 しばらくして、バーベキューの準備は完成した。 「じゃーん!!」 東条君が、クーラーボックスの中から、ありったけのお肉を取り出す。 藤澤君のクーラーボックスの中にも大量のお肉があった。 「すごーい!」 みんなの歓声が上がる。 凛君と響君も、野菜を持ってきてくれて、その野菜の量も多くて、こんなに食べられるのか疑問だった。 さっそく、お肉を焼き始める。 叔父さんも一緒に食べることになり、武藤君と藤澤君が食材を焼いてくれる。 僕も焼くのを手伝おうとしたら、武藤君に座っていろよと言われ、お言葉に甘えて、僕と優君と響君は談笑していた。 優君の隣に重岡君がお肉を持ってきて座る。 どことなくいい雰囲気だったから、僕らは、席を移ることにした。 武藤君は、焼きながらもいろいろと食べながらも、僕にお肉を運んでくれる。藤澤君も、たまに焼けたものを持って来てくれる。 東条君は、凛君とずっとはしゃいでいた。 しばらく食べ続けると、お腹いっぱいになり、夕日が見える場所に座り直した。藤澤君が、また焼けたものをもってきてくれて、隣の椅子に座る。 「もうお腹いっぱい。ありがとう。藤澤君、食べてよ。」 藤澤君の優しさに感謝した。 「そっか。わかった。」 夕日と波の音がうまく調和している。 二人で夕日を見つめる。 「綺麗だねぇ、、」 「だな。」 「本当、いいところに来ることができて幸せだよ。」 僕は夕日を見ながら笑顔で言った。 「藤澤、そこで何してんだよ!」 突然、武藤君が来た。 「別に。」 藤澤君は、立ち上がり戻って行った。代わりに武藤君がそのイスに座る。 「藤澤に、何か言われたか?」 武藤君が、頭をかきながら、質問する。 「ううん、何も、、、」 「そっか、これ、オレンジジュース。好きだろ?」 僕にジュースを渡してくれる。 僕の好きな飲み物をどうして知ってるのかと思った。 そういえば、優君と教室でお昼ご飯を食べていた時に、誤ってオレンジジュースを床にこぼしたことがあった。 「あーあ、ショック。オレンジジュース好きなのに、、」 嘆く僕に、武藤君が、自分が持っていたオレンジジュースをくれたことを思い出した。 「ありがとう。」 僕は、ニコリと笑う。 武藤君は、少し照れながら戻って行った。 しばらくジュースを飲みながら、夕日を見ていると響君が、やってきた。 「もう食べないの?」 「うん。もうお腹いっぱい。これ以上、食べられないよ。」 「けっこうな量、あったもんね。ここは、いい眺めだねー」 「けど、、もうすぐ夕日が沈んじゃうね、、なんだか、寂しいや、、」 「そうだねぇ、、ところでさぁ、愁君と武藤君ってあんなに仲良かったっけ?」 響君が不思議そうに尋ねる。 「えっ、別に仲いいわけじゃないよ。ただ、武藤君がいつも絡んでくるだけだよー」 僕は、苦笑いをした。 「ふーん。」 響君は、何か言いたげそうな顔をして夕日を眺めていた。 少しずつ夕日が沈む。 「そろそろ、片付けるか!」 武藤君が言い出す。 「じゃあ、向こうへ行こっか!」 響君が誘ってくれる。 「うん。あっ、それより気になってたんだけど、響君もバーベキューってよくやるの?」 「昔、おじいさんの家に行った時、よくやっていたから、なんとなく、覚えていて。」 「そうだったんだ。僕と優君だけ何にもできないやぁ、、」 「そんなこともないと思うけどね。」 「そうかなぁ、、」 武藤君が、こっちに来た。 「愁は、俺とな!」 僕の手を強く握る。 「うん、」 その手に引かれ、片付けをする。 響君は、にっこり笑っていた。 八人でやるとあっという間に終わった。 片付けが終わる頃には、辺りはすっかり真っ暗になっていた。

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