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6-5 ヴィジュアル系カフェ
今日は、「ヴィジュアル系カフェ」のメニューを考えることになった。
まずは、思いついた人から発言していく。
(武藤君)「情熱の炎」
(凛君)「青春の協奏曲」
(重岡君)「憂いの鎮魂歌」
(東条君)「嘆きの狂想曲」
(優君)「楽園の叙事詩」
(藤澤君)「閃光の一撃」
「天使の涙」
「悪魔の囁き」
「絶望の光」
・・・・
なんだか、すごい名前が挙がっていく。
ヴィジュアル系ってこんな感じなんだ。
みんなが、色々と発言しているから、僕も真似して考えて言ってみた。
(僕)「世界樹の願い」
「おぉーいいねぇー」
みんなが歓迎してくれた。
話し合いの結果、当日のメニューはこうなった。
情熱の炎:トマトジュース
青春の協奏曲:サンドイッチ
憂いの鎮魂歌:コーヒー
嘆きの狂想曲:カフェオレ
楽園の叙事詩:ホットケーキ
閃光の一撃:レモンティー
世界樹の願い:抹茶オレ
次に買い出しや、内装を話し合い、こちらも決まった。みんなで協力すると、すぐに準備は完成した。当日は、ヴィジュアル系の格好をすることになり、僕と優君と東条君と凛君は、ウエイトレス担当で、武藤君と藤澤君と重岡君は、キッチン担当になった。
あとは当日を待つだけだ。
文化祭前日、僕は、【歌コン】のリハーサルに臨んだ。会場は、体育館で、出場者は、僕を入れて十人だ。歌う順番は、くじ引きの結果、僕が最後となった。
「最後かぁ、いやだなぁ、、、」
「何番でも問題ないよ!大事なのは、気持ちを届けることだよ。」
響君が勇気づけてくれる。
「そうだよね、、ありがとう!」
みんなのリハーサルを見た。バンドで歌う人もいたし、アカペラで歌う人もいて、いろいろな形態があった。
そして、僕らの番がきた。
いざ、ステージに上がると、リハーサルなのに緊張する。
照明の位置、演出をいろいろと聞かれ、響君と話ながら、希望を出した。
早速、歌い始めると、始めは、緊張して、声が出なかったけれど、徐々に会場の雰囲気に慣れ、しっかりと歌えるようになった。
リハーサルは、無事に終わった。
リハーサルが終わると、当日、歌を聞いてもらうために、藤澤君に声をかけた。
「あのさぁ、、【歌コン】に出ることにしたんだぁ、、」
照れながら伝えた。
「そうか、」
藤澤君は、伏し目がちで呟き、その顔は、喜んでくれている気がした。
「それでね、、見に来て欲しいんだ。ダメかな?」
「絶対に行く!」
真剣なまなざしで僕を見つめてくれた。
「ありがとう。」
明日、藤澤君に僕の思いが届きますように。
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(視点:藤澤君)
「告白かもね。」
瞬が俺に言った。俺らの会話が聞こえてたみたいだ。
「まさか、、」
「顔がにやけてるよ。」
瞬が俺をからかう。
「にやけてねぇー」
「いいや、にやけてるー」
「怒るぞー」
「恭くんが怒ったぁー」
瞬は、ずっと大騒ぎしていた。
本当に、告白されるのだろうか、
もしそうなら、俺の答えは決まっている。
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