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8-6 結婚しよう
みんなに別れを告げ、二人だけで歩き始めた。
空が澄み渡り、夕日が綺麗だ。
恭君は、何も言わないまま、ただ前を向いて手を握ってくれている。
どうしたんだろうと思ったけど、恭君となら、このままどこまでも行ってもいいと思った。
気がつくと、いつもの公園に着いていた。
久しぶりに訪れた公園。
この公園は、恭君との思い出で溢れている。
ここでサッカーをもう一度やってくれて、本当にあの時は、嬉しかったなぁ、、
そして、クリスマスイブ。
あの時は、光に溢れていて、綺麗だった。
この公園を見ると、自然と恭君との思い出が幸せな気持ちと共に蘇る。
僕らは、黙って公園を歩き続け、いつものベンチに座った。
しばらく沈黙が続き、僕は聞いた。
「どうしたの?」
恭君の横顔は、どこか緊張しているみたいだ。
ずっと、黙ったまま何も答えない。
その沈黙を破り、僕は、改めて恭君に感謝の気持ちを伝えようと思った。
「僕ね、、恭君に改めて伝えたいことがあるんだ。」
「今だから言えるけど、恭君に一目惚れした時、絶対に付き合えるわけないって思ってたんだ。だから、この気持ちは、なかったことにしようって決めてて、、けど、三年生になった時、同じクラスになって、やっぱり好きな気持ちが溢れてきて、、どうしようかと思ったんだけど、好きな気持ちを止められなかった。少しずつ仲良くなれて、本当に嬉しくて、海で一緒にした線香花火は、今でも忘れられないんだ。それに、登山でも助けてくれて、不安な時には、いつもそばにいてくれたし、体育祭でも、支えられて、本当に恭君に救われて、、」
いつの間にか泣いていた。
「それから、、、文化祭で僕の告白を受け入れてくれて、、一緒に踊って、、それから、、それから、、、まだ、、あって、、、」
僕の涙は、こぼれだし、たくさんの思い出が溢れ出てくる。
その思い出は、どれも、温かくて、幸せで、、、
「本当に、本当に恭君からたくさんの気持ちをもらえて、僕は、毎日が幸せで、、、、恭君に出会えて本当によかった、、、ありがとう、、、、」
泣きながらも満面の笑みで伝えた。
恭君が握ってくれている手に力が入った。
そして僕の顔を見つめた。
「愁、、結婚しよう。」
その言葉が僕の中で反響する。
僕は驚いて、恭君の顔を見つめた。
ニコッと笑ってくれる。
その顔を見て、僕は、全てを捧げたくなった。
あぁ、恭君とこれからも一緒にいられるんだ。
こんな幸せな毎日をこれからも続けていいんだ、、
涙が溢れ出し止まらない。
「今すぐっていうわけにはいかないけど、俺が、プロになって一人前になったら、結婚して欲しい。」
恭君の瞳がどこまでも真剣で、ただ僕だけを見つめてくれている。
それが、たまらなく、幸せで、、
僕は、今、最高の恋愛をしているんだ、、
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