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第九話・変化。(一)

 無事、三会目を済ませ、大瑠璃(おおるり)の馴染みになった間宮(まみや)はその日から続けざまに登楼している。こうして毎夜、間宮は褥の上で大瑠璃がどれほど美しいかを囁き、抱く。そして大瑠璃もまた、間宮の下で淫らに舞い、快楽に溺れた。  あんなに寝付けないと思っていた頃が嘘のようだ。一夜のうちに二度三度と立て続けに抱かれているおかげで、日中は失神したように眠っている。  そういったことが背景にあるおかげで、昼見世に出るどころか他のお客との接点さえ、ぷっつりと途絶えてしまった。こうして大瑠璃は間宮にだけ抱かれる日々を送っていた。  ――ともなれば、毎日欠かさず登楼を果たす間宮からの揚代(あげだい)は莫大なものになる。しかも彼から登楼代として手渡される小切手の金額は毎度二千万を超えている。その金額は花魁(おいらん)御職(おしょく)を務めている金糸雀(かなりあ)クラスだ。もはや一般の娼妓に与える額ではない。  いくら大瑠璃が少しは名の知れた娼妓だとしても、金糸雀のような尊い立場ではない。こんなにも高額な揚代を渡す必要はない。  大瑠璃だって身の程をわきまえている。いくらなんでも有名どころの娼妓たちと同じ金額を要求できるはずがない。  大瑠璃がこれまでお客から貰っていた登楼代はだいたい五百万ほどで、それに加えて(かんざし)やら(くし)やらを御勤め品としていただいているものの、それでも登楼代と合わせて一千万ほどだ。

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