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第壱話・飛べない鳥。(四)

「きっついねぇ、うんと締め付けてきやがる。そこまで感じてくれているのかな? 我慢せずともいいから、さあ、声を上げなさい」  分厚い唇が醜く歪む。  そんな大瑠璃の姿を見た自分勝手なお客は恥じらっているのだと勘違いをしたらしい。  いったい誰がこんな身勝手なお客相手に悦ぶだろう。  思っていることをそのまま口にしたい。けれども自分は娼妓だ。お客の機嫌を損ねるような真似はできない。 「……っふ、あっ!」  だから本人の気持ちとは裏腹に、大瑠璃はひたすら感じているように装った。  でっぷりとしたお客の腰に両足を絡め、縋りつく。  そして今夜もまた、大瑠璃は身勝手なお客の下で舞う。ただ、心を置いてけぼりにして……。  《第壱話・飛べない鳥。・完》

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