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第六話・悲しい過去の痕跡。(五)
逃げようとしても体格差がある男が三人もいる。
大瑠璃は簡単に組み敷かれた。
褥の上でもない冷たく硬い路上で身ぐるみすべてを奪われ、無理矢理身体を開かされて次から次へと挿し込まれる男根。
「やめて! 離して!」
自分の身体を陵辱する男たちにいくら泣いて許しを乞うても止まらない。
「蘇芳様、助けて助けて!!」
蘇芳に助けを求めても、彼はただ口元を歪めて笑うばかりだった。
下卑た笑い声とくぐもった吐息が、大瑠璃の柔肌をあますことなく隅々まで暴いていく。大瑠璃は一身に彼らを受け止め続けた。
『愛している』
『一緒になろう』
大瑠璃を抱くたびに囁きかけてくれた甘い言葉も――。
笑い合い、過ごした日々も――。
あんなに楽しく過ごしていた蘇芳との毎日が、今日という一瞬の出来事によって悲しみへと塗り染められていく……。
蘇芳は毎夜、あれほど自分の元に通い続けていたにもかかわらず大瑠璃への執着心はまるでない。彼はあっさりと手放した。
身も心もずたずたに引き裂かれ、泣き叫びたいのに許されない。
だって大瑠璃は花街の上を張る娼妓という立場がある。人気の娼妓が外で犯されたと知れ渡れば花街の威信が地に落ちる。
だから助けを呼ぶことも許されない。ただただ唇を噛みしめ、男たちが満足するまで苦痛に耐えるしかなかった。
――夜が明ける頃、ようやく男たちから解放された大瑠璃は身も心もぼろぼろになっていた。
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