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第七話・三会目。(三)

 それなのに、身体が強張ってしまう。  まるで初めて水揚げをするような気分になってしまう。  なぜ、と自問自答しても答えは返ってこない。  大瑠璃は間宮に気取られないよう、口内に溜まった唾を飲み込んだ。  とくん、とくんと心臓が鼓動する。  気持ちを落ち着かせるために一度強く目をつむる。  それから覚悟を決めて目を開けると、間宮に抱かれる準備をするべく、すぐ後ろにある褥に上がった。  間宮から背を向け、着物を脱いで長襦袢と伊達締めだけの姿になると、ふたたび彼と向かい合った。  けれどもいったいどうしたのか。間宮は依然として善の前に座ったまま、そこから動こうともしない。  まさかここへきて同性の抱き方を知らないとでも言い出しはしないだろうか。 「間宮さま……お会いしたかった」  相変わらず面白くもなんともない科白だ。  すっかり言い慣れてしまった科白を紅を引いた唇に滑らせる。  大瑠璃は半ば懐疑的になりながらも手を伸ばし、間宮の胸板へと顔を埋めた。  のだが――……。 (……あれ?)  大瑠璃が懐に手を伸ばしたその途端だった。間宮の下腹部に何か違和感をおぼえた。  首を傾げ、彼のそこへと手を這わせれば、みぞおちよりも少し上に、ふっくらとした何かが当たった。  ふくらみをもったその部分をなぞれば、人肌のようにあたたかい。  不思議に思って間宮の顔を窺うと、彼はにっこり微笑むばかりだ。  にゃあ。 「――えっ?」  さらにはふくらんだその部分から猫のような小さく甘い鳴き声が聞こえた。

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