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第七話・三会目。(七)
間宮が美形だからだろうか。だから接近されて見つめられるとこんなにも心が震えるのだろうか。
考えても答えは何も出て来ない。
大瑠璃の頭は白に染まっていく……。
「――っ、だから、なに?」
震えそうになる声をなんとか押し殺して訊ねれば、間宮の目の奥が光ったように見えた。
「君の唇、奪っただろう? あれ、すごく妬ける」
言った瞬間だった。
「っ、んぅぅ……」
間宮様は大瑠璃の問いに答えると、すぐに赤い口を塞いだ。
「っふ、間宮さまっ……」
「輝晃。そう呼んで欲しい」
唇の戒めを解かれ、ほんの少し距離が生まれたかと思えばまたすぐに塞がれる。
空気が欲しくて息を吸い込めば、間宮の香水だろうか。甘い薔薇の香りが鼻孔をくすぐる。
力強い唇に翻弄される大瑠璃は、もう何がなんだかよくわからない。
何度も大瑠璃の唇を啄まれれば、そのたびにリップ音が弾き出される。
耳孔を責められ、大瑠璃はただただ悩ましい声を上げるしかできない。
褥での所作は慣れている。けれどもこんな組み敷かれ方は知らない。
「……ふ、あっ」
強く吸われる赤い唇が空気を求め、彼からの戒めが解かれた隙を狙って開き、喘ぐ。
するとここぞとばかりに間宮の舌が口内に滑り込んだ。
上顎から歯列をなぞり、間宮のざらついた舌は我が物顔で大瑠璃の口内を蹂躙していく。大瑠璃の舌の形を確かめるように絡め取られた。互いの唇の接合がより深くなる。
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