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第七話・三会目。(八)

「……っは」  唾液が絡み合う水音とリップ音。そして大瑠璃の艶やかな声。それらが閨全体を覆う。  とくん、とくん、とくん。  大瑠璃の心臓は今にも破裂しそうなほど早鐘を打っていた。  お客からこんなにも深い口づけをされるのは初めてで、どうしていいのか戸惑ってしまう。  なにせこれまでのお客といったら、大瑠璃に会うなり情交を求めてくるばかりだった。彼らは皆、欲望のはけ口として大瑠璃を使う。だからまだ慣らしていない後ろの窄まりに無理矢理肉棒を突っ込まれ、勝手に達して終わる。  大瑠璃が情交で感じた快楽だって過去の一度のお客それっきり――蘇芳と過ごした夜以来だ。  だから大瑠璃にとって、閨ではそれが普通のことだと思っていた。  けれどもたった今、大瑠璃の馴染みになった間宮は他のお客とは違う。彼は未だに長い口づけから開放してくれない。  そうなると大瑠璃の身体に変化が起きる。下肢が熱を持ち、一物が固くなる。太腿の間で強調しはじめていた。  気が付けば大瑠璃の腕は自分を組み敷く広い背中に回っている。  抱かれるたびに背中に回す腕の感触が不快だったのに、それが嘘のようだ。  なぜ、自分はこれほどまでに感じているのだろう。間宮からは特にこれといって何もされていない。ただ大瑠璃の唇を塞いでいるだけだ。――にもかかわらず、大瑠璃の身体はたしかに反応していた。  どれくらいの間、口づけられていただろう。あれほどまでに強く吸い付き、離そうとしなかった間宮の唇が大瑠璃から離れた。

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