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第七話・三会目。(十三)

「……うっ、こん、な……っ……」  お客を満足させるのが自分たち娼妓の役目だ。それなのに、自分が満足してどうするのだろう。  果ててしまった身体は重く、気怠い。  自己嫌悪が大瑠璃を襲う。 「……っ、っふ……」  息を整える大瑠璃の目には快楽の涙があふれている。  見上げれば、歪んだ視界の中で微笑む間宮の姿が見える。満足そうな彼を見ていると、先に果ててしまったという罪悪感は少し和らいだ。 「綺麗だよ、大瑠璃」  間宮は先に果ててしまった大瑠璃の太腿の間に彼のたくましい身体が滑り込む。 「ここも熟れた果実のように赤いね……」  そっと腰を持ち上げられ、茶色い目が後ろの窄まりを見つめた。 「……んっ」  たったそれだけなのに、後孔は貫かれることを望み、ひくひくと開閉を繰り返していた。  今まで苦痛だったこの床での所作は、今はどうしたのだろう。身体が間宮を欲していた。  自分は今、この所作を愉しんでいる。そうなれる自分の感覚が信じられなかった。 「すごいね、君のここはずっと美しい。開閉を繰り返しいる……僕を欲しがってくれているのかな?」 「やっ、言わないで……」 (恥ずかしい!)  大瑠璃がお客の前でこんなふうになったのは蘇芳と合わせて二度目だ。――いや、果たして蘇芳は間宮のようにこれほど自分を愛でてくれていただろうか。  こんなに褥の上で乱れるのは初めてのような気がする……。

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