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第七話・三会目。(十五)
「頬を赤く染めて涙目で僕を呼ぶのはなしだよ……。すごいね、君は。有名なだけはある。こうやって他の客にも媚びるのか……なるほど郭中で人気があるのも頷ける……だけどね――」
――妬ける。
最後にぽつりとつぶやかれたその言葉は、けれども快楽に埋もれている大瑠璃には聞こえない。
大瑠璃は褥の上で無意識にも腰を揺らし、その先を強請った。
「ひどい目に遭わせそうだ」
「な、に……」
ふたたび動かした薄い唇は何かを言った。大瑠璃はもう何も聞こえない。
「……ふ」
これで何度目の口づけだろう。薄い唇が大瑠璃の口を塞いだ。
「美しい大瑠璃……」
深く交わった薄い唇が口角を啄みながら移動する。頬を滑り、耳朶を食む。そうして耳元でそっと囁き、大瑠璃を賞賛する。
「挿入れるよ」
熱を持った間宮の先端が後孔に触れた。やがて間宮は大瑠璃の肉壁を分け入り、侵入を果たした。
普段ならば痛くてたまらないその箇所は、焼けるような熱を持つ楔を打ち込まれても痛みを感じない。それどころか、間宮が最奥に進むに連れて大瑠璃の身体に熱が灯る。
「やっ、輝晃さまの、あつい……」
焼けるような熱が大瑠璃を襲う。
大瑠璃は褥の上で、いっそう乱れた。
「君の中もとても熱いよ。僕をこんなに締め付けている。離さないって言ってくれているのかな……」
深い抽挿を繰り返され、狂おしい熱が大瑠璃を襲う。
濡れた水音は自分が放った蜜なのか、それとも間宮のものなのか……もう何もわからない。
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