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第九話・変化。(三)

 間宮に夜通し抱かれた後、ひと眠りして目が覚める頃はどうしても八時を過ぎてしまう。おかげで他の娼妓たちとは時間のズレが多少なりとも発生してしまう。  そして今日も、大瑠璃が一階にある三十席もの広い食堂に足を運んだ頃にはほぼ無人に近い状態だった。  朝食をトレイに乗せ終えた大瑠璃はいつものようにひとり、席に着く。  この時間帯に朝食を摂るのはてっきり自分だけなのかと思ったが、どうやらそれは間違いだったようだ。一人の娼妓ががらんとした食堂に姿を現した。  彼は大瑠璃と同様、朝食が乗ったトレイをテーブルの上に置き、隣に座った。ここ、花街の御職を務めている人気の金糸雀である。 「おはよ、朝食はやっぱりこういうさっぱりしたものを選んじゃうよな」  大きな口を開け、あくびを漏らしながらそう言う彼はまだ眠そうだ。半分閉ざし気味の眼で大瑠璃のトレイを覗き込むと苦笑した。 「…………」  間宮から貰っている登楼代はとてもではないがそう簡単に使い切れる額ではない。それにもかかわらず、大瑠璃の朝食はお粥に梅干し。味噌汁に漬物といった質素なものだった。  それもそのはず、なにせ大瑠璃は夜通し間宮に抱かれ、何度も絶頂を迎え続けている。おかげで疲労した身体は朝から豪勢な食事が摂取できない状態にあったのだ。  どうやらそれは金糸雀も同じらしい。大瑠璃も金糸雀のトレイを覗き込むと、彼が選んだ食事のメニューもまた、大瑠璃と似たようなものだった。

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