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第九話・変化。(六)

 すると金糸雀の表情に変化が起きた。彼の頬がみるみるうちに朱に染まっていく。 「うん。栄様、普段無口なのに床では情熱的でとても気持ちが悦いんだよ」  どうやら金糸雀はよほど栄が気に入ったらしい。  金糸雀は大瑠璃とは違い、この花街という看板を担っている。たかだか一人のお客にのめり込んでいいのだろうか……。  しかし大瑠璃も他人のことをとやかく言えるような立場ではない。なぜなら自分もまた、お客にのぼせ上がった経験があったからだ。  それでもしっかり者の金糸雀のことだ。大瑠璃とは違って仕事と恋は別物として考えていることだろう。彼は自分が犯したような過ちなんてしない。  恥じらいを見せる金糸雀の隣で黙々と食事を済ませた大瑠璃は、もうひと眠りしようと席を立ち上がった。 「いいんじゃないか? 楽しいならそれで。少なくとも、あんな辛気臭い顔をしていたんじゃ、取れるお客も取れないよ?」  大瑠璃に続いて食事を済ませ、空になったトレイを持った金糸雀はいつの間にか恋愛モードから仕事モードに切り替わっている。彼は静かにそう言った。 「…………」  自分は間宮といて楽しい?  そんなはずはない。金糸雀の見当違いだ。  その日、大瑠璃は頭の中で繰り返される金糸雀の台詞に振り回され、その度に否定した。  《第九話・変化。/完》

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