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第拾参話・想い隠して。(二)

 いっそう深くなる口づけが大瑠璃を惑わす。大瑠璃が唇を開くと、口内に熱い舌が滑り込んできた。  一度恋心を自覚すれば、とことんまで落ちていく――。  もう、この恋に抗えない。  伸ばした両腕を首に巻きつけ、自ら舌を伸ばして自分も負けじと口内を蹂躙する間宮の舌に触れた。  すると間宮は大瑠璃の腰をいっそう引き寄せる。  互いに舌を絡め合わせるその行為は終わりが見えない。大瑠璃は貪欲に間宮を求める。そして彼もまた大瑠璃を欲してくれているのだろう。  大瑠璃が身動ぐと、密接した間宮と下肢が触れ合った。  生地越しから熱が伝わり、互いの昂ぶりが掠める。  ――自分だけが興奮しているのではない。  それを知った大瑠璃は、いっそう腰を揺らし、間宮に縋りつく。  大瑠璃の仕草に根負けした間宮は、とうとう限界に達したらしい。彼は腹の底から呻り声を上げた。  肉食獣のような低声がまた、大瑠璃を興奮させる。両腕を彼の広い背に回した。 「んぅ……」  互いに貪り合うその唇がどちらからともなく離れる。絡み合った舌が糸を引く……。  彼の視線を感じて顔を上げると、間宮の熱視線が大瑠璃を射貫いてくる。  今や茶色いその目は曇り、欲望の炎が宿っている。  自分を欲してくれているのだと思えば、大瑠璃の心臓がまた大きく跳ねる。 「大瑠璃」 「――ん」  ぼそりと耳元で告げられた名は耳孔をくすぐった。  大瑠璃は肩を竦ませる。  どくん、どくんと鼓動する心臓は破裂しそうなほど大きく跳ね続ける。

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