103 / 153

第拾伍話・戯れごと。(七)

 間宮は卓子の下から手を伸ばす。それから膝の上で握っていた大瑠璃の拳を掬い取った。  彼に導かれ、大瑠璃の手が向かう先は太腿の間にある間宮のそれだ。 「――っつ!!」  触れてみてわかったのは、彼の男根がすっかり昂ぶっているということだ。  驚いた大瑠璃はほぼ反射的に顔を上げた。  すると彼は眉間に皺を寄せ、苦笑を浮かべた。 「ね?」  涼やかな茶色い目が首を傾げ、大瑠璃を見つめる。  大瑠璃の手の中には張り詰めた間宮の一物がある。 「……っつ!」  羞恥に襲われ、間宮の顔を直視できなくなった大瑠璃はふたたび顔を俯けた。 「君を抱きたくてたまらない」 「――っはぅ!!」  俯いた大瑠璃の耳元でそっと告げられると、ますます下肢に熱が宿る。 「ちょっ、こんなところで何を言い出すんだよっ!!」  茶屋にいる客たちの熱視線やら間宮の態度やらでとうとう耐えられなくなった大瑠璃は火傷でもするかのように間宮の手を振り払った。 「そうは言うけどね、君は本当に美しいんだよ? 僕は君を独占したくてたまらない」  間宮はそんな大瑠璃を前にして尚も恥ずかしい言葉を言ってのける。 「ん、なっ!?」  椅子に座ったまま、身体ごとそっぽを向く。そんな大瑠璃の後ろから、クスクスと笑う間宮の声が聞こえてくる。  どうやら彼は困っている自分を見て楽しんでいるようだ。 (もう、もうもうもうっ!!) 「もう! 知らないっ!!」  大瑠璃は身体中が発火しそうになるほどの熱を感じ、むくれた。  《第拾伍話・戯れごと。・完》

ともだちにシェアしよう!