107 / 153
第拾六話・やがて終わりを告げる関係を今だけは……。(四)
今すぐ間宮の昂ぶったその楔を打ち付けてほしい。
間宮が自分の身体に飽きる前に、たくさん抱いて求めてほしい。
そして大瑠璃も間宮を諦めることができたならどんなにいいだろう。
この先――。
果たして自分は間宮への恋心を諦められる時が来るだろうか。
――いや。諦められるなんて悠長なことは言っていられない。何としてでも自分は間宮を諦めなければならない。
だって間宮は大店の御曹司だ。自分と釣り合うはずもない。彼は家業を継ぐため、やがて愛する女性と家庭を持つ。そして子供を授かり、幸せに暮らすだろう。
彼の未来に大瑠璃はいない。
ならば間宮の刻印を自分の身体に刻みつけてほしい。
いつでも間宮に抱かれているような気分にさせてほしい。
そうすれば、自分を組み敷くお客と間宮とを置き換えて生きていけるから――。
「輝晃さまっ、……早く俺を貫いて。貴方とひとつになりたい」
間宮を想う大瑠璃は急いた。
すすり泣き、この先にある行為を強請った。
「君っていう人は……酷く抱いてしまいそうだ。本当に困る……」
苦笑いをしているだろう彼の表情は、快楽の涙で潤む視界でよく見えない。
大瑠璃は広い背中に回した腕に力を入れ、薄い唇に吸い付いた。
(構わない)
「壊して……うんと酷く抱いて」
大瑠璃は喘ぎながらも口づけの合間に懇願する。
大瑠璃自ら差し出した口づけは、やがて間宮のものへと変わる。
間宮によって口角を変えられ、いっそう深くなる。
「大瑠璃……」
ともだちにシェアしよう!