108 / 153
第拾六話・やがて終わりを告げる関係を今だけは……。(五)
大瑠璃の後孔をすっかり解した間宮は、大きく反り上がった彼の欲望が触れる。
ゆっくりと間宮が挿入ってくるのを感じた。
あまりの熱で彼を受け入れる後孔が溶けてしまいそうだ。
……浅く、深く。
中を掻き分け、間宮が抽挿を繰り返しながら最奥へと進む。
大瑠璃は我を忘れてただひたすらに間宮から与えられる快楽の波に乗る。
肌がぶつかり合う卑猥な音も心地好い。
「輝晃さま……好き……愛してる」
大瑠璃は両足を間宮のたくましい腰に巻きつけ、喘ぎながら秘めている本心をその唇に乗せた。
「ああ、僕も君なしではいられないほど愛しているよ……」
間宮の科白はこの場の雰囲気に呑まれて口にしているだけだ。偽りに過ぎない。けっして信じてはいけない。この閨で告げられた言葉はすべて偽りだ。
張り裂けそうな想いも――。
この身が焼けるほどの熱い気持ちも――。
すべて自分だけ――。
そう思うと胸が苦しくなって、快楽とは違う涙が溢れてくる。
大瑠璃の身体だけではなく、心さえもがすっかり間宮に染まってしまった。こんなに惚れたのに、どうして自分ではいけないのかとたくましい身体に縋りつき、泣きじゃくってしまいそうになる。
しかしここでそのような世迷い言を言ってしまえばすべてが終わる。
間宮との関係もすべて断ち切られてしまう。
それだけはなんとしてでも阻止せねばならない。
間宮を縛り付ける方法はただひとつ。淫猥な娼妓になりきることなのだ。
淫らでだらしのない欲望のはけ口。
それが自分の立場。
間宮を唯一縛り付けることができるもの――。
ともだちにシェアしよう!