110 / 153

第拾六話・やがて終わりを告げる関係を今だけは……。(七)

 間宮のべっこう飴のように透き通った目が大瑠璃を写し出している。  目が合うと、心の内の何もかもを暴かれたような気持ちになってしまう。  動揺を隠せない大瑠璃は視線を泳がせた。けれどそれもすぐに引き戻される。  彼の手が大瑠璃の後頭部に回った。  互いの距離が近づけば、薄い唇が大瑠璃の口を捕らえた。 「ん……ぅ」  重なった唇から生まれるリップ音が耳に届く。  弾力のある薄い唇の感触で、自分が口づけられていると理解した大瑠璃は口を開き、これから差し出されるだろう間宮の舌を招き入れる。  重なり合う唇は次第に深くなる。互いに舌を絡め合えば、どちらの口内かもわからない。  大瑠死は口を閉ざす時間も惜しくて、ひたすら舌を絡めた。互いの舌が絡み合う水音が大瑠璃の聴覚を刺激する。触れ合った舌から微量な電流が流れる。身体が疼いた。 「っふ……んぅ……」  重なり合う唇から漏れる甘い嬌声。 「君が可愛くて仕方がないよ、大瑠璃……」  大瑠璃の唇を離し、間宮がそう言うと、大瑠璃はすぐに押し倒された。  間宮は口づけながら器用に帯を外し、大瑠璃の一糸もまとわない肢体を堪能した。  骨張った指が……薄い唇が……大瑠璃の柔肌を蹂躙する。  やがて重なる身体に大瑠璃の心と身体が喜々として喜びを上げる。 「美しい大瑠璃、誰の手にも渡したくはない……」 (渡さないで! 俺だけにして!)  大瑠璃は切に願う。嬌声ばかりが飛び出て言えない代わりに、間宮の背に回ったその腕を強めた。

ともだちにシェアしよう!