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第拾八話・貴方のためなら死さえも厭わない。(六)

 下卑た笑い声が頭上から下りてくる。  着物を取り除かれ、薄桃色の長襦袢姿にさせられると共襟を開かれた。  ねっとりとした唇が露わになった首筋に吸い付いた。 「だ、だれか……だれか……」  花鶏の震える声が大瑠璃の耳を掠める。  彼は恐怖で腰が抜けて立てないようだ。  大瑠璃は花鶏を逃がすため、両腕を伸ばし、自分を組み敷いている男の背に巻きつけた。  男は気分を良くしたのか、大瑠璃の肌に歯を剥き出しにして甘噛みをはじめる。  ねっとりとした口が胸に乗った蕾をひとつ、食む。 「――っつ」  胸の上で強調していく蕾に興奮した男は大瑠璃に夢中だ。他のことに目も暮れず、ただひたすら柔肌を貪り続ける。  このまま――自分は抱かれてしまうのだろうか。  目を閉ざせば過去の記憶が蘇ってくる。  大瑠璃を罵りながら羽交い締めに抱かれていく様を――。  愛おしい男性(ひと)の名を何度叫んでも助けてくれず、ただ自分は人形のように抱かれ続ける。 (輝晃さま……)  呼んでも無駄なことは知っている。  それでも、大瑠璃は心の中で叫ばずにはいられない。  結局、どうやっても卑しい身体をした自分は、求めている人とは想い合えない。  悔しい。  苦しい。  それでも大瑠璃は足掻いても無駄だと知っている。  奥歯を噛みしめ、この時が終わるのをただ耐えるしかない。  こんな無力な自分でも、それでも大切な花鶏は救える。  ――早く逃げて。  願わくば、今夜、目にした出来事を忘れて生きてほしい。

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