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第拾八話・貴方のためなら死さえも厭わない。(十一)
揺らぐ視界の中で拳銃を所持していた男の方を見れば、彼はふたたび警官に取り押さえられ、何やら怒鳴り散らしていた。
「大瑠璃、大瑠璃!!」
畳から大瑠璃を抱き上げ、間宮は幾度となく自分の名を呼ぶ。
この身が焼かれるほどの激痛で目が霞み、間宮の端正な顔立ちさえも歪んで見える。
傷口から真っ赤な鮮血が止めどなく溢れ出る。
薄桃色の長襦袢が赤く染め上げられていった……。
胸から流れる出血の量が半端な量ではないことは素人の大瑠璃でもよくわかる。
肺に空気が届かない。
息苦しくて咳き込んでしまう。
その口から流れるのは、赤い血だ。
「大瑠璃、大瑠璃っ!! 誰か救急車を!!」
普段、のんびりしている口調なのに、今の間宮はとても早口だ。彼はここへきてとても焦っていた。
間宮がこれほどまでに心配してくれるのなら、代わりに撃たれて良かった。
大瑠璃は激痛に苛まれる中、そんなことをふと思う。
撃ち抜かれた胸から流れ続ける血液は留まることを知らない。おびただしい鮮血によって深い赤に染まっていく……。
救急車なんていらない。もともと惜しい命でもない。だから助からなくて良い。
間宮が無事だったことが素直に嬉しい。
大瑠璃は頬を緩めた。
「あなた、が、ぶじ、で、よかっ、た……」
はらり、はらり。
目から落ちた雫は愛おしい男性を守れたという嬉し涙だ。
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