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第拾八話・貴方のためなら死さえも厭わない。(十二)
「大瑠璃、君は……なぜ僕を庇った!? ――っ誰か、早く救急車を!! 大瑠璃!!」
これは自業自得。お客をヒモとしか思わない腐れ切った性根をした自分の報いだ。
大瑠璃に罵声を浴びせた秋山もこれで気が晴れるというものだ。
自分を酷い目に遭わせた蘇芳への仕返しにと、お客の金子を破産するまで奪い取った穢れきった自分の生など、誰も望んでいない。
……それでも、こんな自分を間宮は心配してくれる。
――ああ、もうそれだけでいい。これで十分だ。
このまま生きていても、いいことなんて何ひとつ、ありはしない。
ならば好いた男性の腕に抱かれ、息絶えるのもいい。
間宮が幸せに生きてくれるのならば、それだけで構わない。
大切な人を守ることができた大瑠璃は嬉しくて涙を流し続ける。
涙で滲んだ視界には、大瑠璃を心配する端正な顔立ちをした彼が焦燥の色を浮かべている。
普段では見せてくれない間宮のその姿をもっと見ていたいと思うものの、もう限界が近づいていた。
意識が朦朧としてくる。
(輝晃さま。お慕いしております……)
激しい痛みに襲われ、慕情を口にすることさえできない。
やがて待ち受けているだろう死という暗闇に身を任せ、大瑠璃は目を閉じた……。
《第拾九話・貴方のためなら死さえも厭わない。/完》
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