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第拾九話・叶わない恋。(九)

「大瑠璃、君は何を言って……」  喘ぎながら訴える大瑠璃の言葉を聞いた間宮は、そこでようやく手を離した。  けれどここで止められると逆に身体が疼いてしまう。止めてほしくないと訴える淫らな身体が忌々しい。  快楽に従順になってしまった醜い身体――。  結局、この淫らな身体は抱かれる相手が誰だろうと構わず、開く。  組み敷く相手がたとえ、想い人でなくても……。  自分はこんなに醜く、穢らわしい。 「いやだっ! もう、いや……やめて……好きなのに。こんなに輝晃様を想っているのに……どうして……どうして俺の気持ちは報われないの? 同情なんかいらない。俺が欲しいのは輝晃さまの心、ただひとつだけなのにっ!」  なぜ自分は生きているのだろう。間宮を庇って撃たれた銃弾で死ねばよかった。  それが叶わないのなら、いっそのこと秋山に殺されればよかった。そうなれば破綻に追いやった自分がいなくなって秋山もせいせいしたことだろう。  所詮、自分は誰にでも身体を開くしか脳がない汚れた娼妓だ。自分が死んでも誰も悲しまない。 「輝晃さまを想うことも許されない、の……? ……っひ、っう」  すっかり打ちひしがれた大瑠璃はとうとう、すすり泣きをはじめてしまった。新しい涙が次から次へと溢れ、零れ落ちる。  間宮に泣き顔を見られたくなくて両手で顔を覆い隠す。嗚咽を含んだ泣き声が、閉ざした唇から漏れた。 「えっ? 大瑠璃? ちょっと待って、待って。君は今なんて?」

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