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第拾九話・叶わない恋。(十一)
しかしそれは姉弟なら当然だろう。それに何より、間宮もこの女性も、自分たちは恋仲だとひと言も進言していない。
「えっ? あれ?」
大瑠璃はただただ目の前にいる間宮と女性とを交互に見比べる。
整った眉に綺麗な澄んだ目。自信に満ちた尖った顎――。
――言われてみれば、二人はどこか似ている……ように思える。
呆けている大瑠璃に、間宮の姉だと言う女性は口を開いた。
「輝晃に好きな子ができたっていうからどんな子なのかと思ったら、娼妓だっていうじゃない? 遊ばれているだけだと思ったわよ。でも……なるほど、輝晃が好きになるのもよくわかるわ。とても色っぽいし、健気で可愛らしいものね……輝晃が夢中になるのもわかる気がするわ」
間宮の姉は、うんうんと何度も頷いている。
大瑠璃は未だ呆気に取られていると、間宮の手が伸びてくる。彼の手が大瑠璃の左手を掬い取った。
弧を描いた薄い唇がそっと左手の甲に触れる。同時に口づけられたそこからリップ音が生まれた。
間宮の顔が上がる。真っ直ぐな視線が大瑠璃を射貫いた。
「愛しているよ、大瑠璃。戯れ言なんかじゃない。本気で傍に居てほしいと思っている」
茶色い目が窄まる。真剣な眼差しが大瑠璃を捕らえて離さない。
真摯な眼差しに見つめられて、大瑠璃の胸がとくん、と大きく高鳴った。
「――っつ!!」
好いた人からの口づけ。その効果は絶大だ。間宮に口づけられた手の甲には熱が宿り、そこから生まれ出た熱は徐々に身体全体を包み込んでいく……。
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