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最終話・ずっとお傍に――。(三)
「……だから俺は、お客にとって娼妓はただのコマに過ぎないんじゃないかって……下僕か奴隷のように思われているんだって思った。だったら、俺たちを見下す奴らの懐から金子を絞り取るだけ取ってやろうって……そう、思うようになったんだ」
――けれど今思えば、もしかすると蘇芳も秋山と同じような目に遭っていたのかもしれない。ひっきりなしの登楼で身を持ち崩しはじめた蘇芳は賭博に手を出し、家計が火の車になりそうだったのかもしれない。
生真面目な蘇芳のことだ。両親にも誰にも相談できず、身を持ち崩して借金ばかりが膨れ上がってしまったのかもしれない……。
だから彼はヤクザものに大瑠璃を売ったのかもしれない。
「だけど今は――。俺は……好いていた蘇芳さまの身を案じることもできず、もしかしたら秋山さまのように知らない間に財産のすべてを奪っていたのかな……」
自分のせいで、誰も彼もが不幸になっていく。
そう思うと、間宮の腕の中にいること自体が間違っているように思えてくる。
大瑠璃の胸がきりきりと痛む。すすり泣きをはじめてしまった。
「ああ、大瑠璃。そんなに自分を傷つけないで。君は悪くない。悪いのは蘇芳でも秋山でも、誰でもなく――そうだね。もしかするとこのご時世がいけないのかもしれない」
間宮の言葉が救いだった。悲しみに染まり、震える身体を抱きしめ、頭を撫でてくれる。
やはり彼は何もかもが優しい。
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