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第七話・三会目。(十)
「やあっ、もっ、ああっ……」
もう大瑠璃にはどうしたらいいのかわからない。間宮から与えられる熱に翻弄されるばかりだ。
快楽の涙が浮かぶ。いやいやを繰り返せば、溜まった涙が目尻から零れ落ちた。
もうすっかり慣れていたと思った床の所作は、けれども彼の方が一枚も二枚も上手だ。おかげで大瑠璃は華奢なその身体を揺らし、褥の上でただただ乱れるばかりだ。
「美しいよ、大瑠璃」
もう一方も同じようにして薄い唇に捕らわれてしまえば、もう耐えられない。
長襦袢の割れ目から流れ出るしなやかな足が剥き出しになる。大瑠璃は膝を立て、足の爪先で褥をなぞる。腰は褥の上で幾度となく浮き沈みを繰り返した。
快楽に身を任せて目を開けば、気が付くと長襦袢も何もかもが取り除かれていた。
「美しい……とても……」
間宮は今、一糸もまとわない柔肌をあますところなく眺めている。
その眼孔は大瑠璃のすべてを見透かしそうだ。
自分の見た目だけではない、穢れきった身体も、荒んだ心さえも――。
そう思うと、大瑠璃は急に怖くなった。
自分の身体や心に蜷局を巻く穢れが気になってしまう。
「お願い、見ないで……見ないで……」
綺麗な間宮から視線を重ねられなくなった。
顔を逸らす。
大瑠璃はすすり泣いてしまった。
自分はすっかり穢れてしまった。
蘇芳に身体を開き、ごろつきたちに蹂躙され、そして複数のお客たちにも踏み荒らされた。
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