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第23話
上の空で、かぶりを振った。男根は一定の硬度に達しても、その状態で安定してしまい、雄々しく勃ち上がるには程遠い。
焦れて、カリをやんわりと咬んだ。すると急激にカサが開いた。
いけ好かない男を多少なりともやり込めたようで、佑也はにんまりした。ためしに鈴口に尖らせた舌を忍びこませてみると、宝刀がまた、ひと回り膨張して舌を跳ね返す。
「筋は悪くない。稚拙な舌さばきを補って余りある努力家であると認めよう」
頭に手が載せられた。手入れが行き届いた指は、労をねぎらうように髪の毛をひと房梳きとる。
あるいは、こめかみを掃き下ろしていって顎の蝶番を揉みほぐす。
とろり、と瞳が潤む。佑也は、それでも上目づかいに橘を睨んだ。
うなじを這い進む手を払いのけ、それでいて、それは、どういう化学変化によるものなのか。
乳房にむしゃぶりつく嬰児 のように、夢中になって竿を吸い立てているうちに、ほろ苦い雫がしみ出してきて味蕾を刺す。
その独特のえぐみが馬乳酒のように味わい深いエキスに、舌鼓を打ってしまう。
口腔を橘の形にすぼめて刀身を養うと、快美なものが背筋を駆けのぼり、駆け降りる。乳首が勝手にしこっていく。ぷくり、と蜜が鈴口を彩る。
むせて咳き込むのにまぎらせて、まろみを帯びた吐息を逃 した。
肉体と精神 が乖離したように、欲望が独り歩きを始める。
手がすべったように見せかけて、茎をひとこすり、ふたこすりしてしまう。果ては足が痺れたふうを装い、腰を浮かせぎみにして、かかとで陰門をこすってしまう。
「蒸し返すのも不粋な話だが。オーソドックスな自慰に終始したと断言する以上、別の器官には指一本触れていないと誓うのだな」
「当たり前だろ! あんな……あんなとこを平気で舐めまわすあんたと違って、ケツの孔に指を突っ込むほど落ちぶれちゃいないんだ!」
ほう、と揶揄する響きをはらんだ声がツムジに降りそそいだ。仰ぎ見る口許に酷薄な笑みがたたえられ、ぎくりと動きを止めた。
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