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第24話

   藪蛇だ、と舌打ちをする。カマをかけられたところに、その名称を馬鹿正直に口にしたことで語るに落ちたのだ。  別の器官? と、きょとんとしてみせるのが正解だったのだ。  後頭部に手が添えられた。摑み寄せられて、脚の付け根に顔が押しつけられた。  佑也はガムシャラにずり下がった。反転しざま、飛びすさって逃げようと目論んだ。  ところが乳首をひねり回すという形で、先手を打たれた。抵抗空しく、鷲摑みに双丘が暴かれた。  あまつさえ、花芯に指が襲いかかる。 「さわる……なっ!」 「これは異なことだ。いじっていないと言い張るにわりには、この花はすでに咲き()めているばかりか物欲しげに口をぱくぱくさせている」    ぎくり、と背中が強ばった。  手早く前を直しながら、橘が腰を上げた。 「嘘を嘘で塗り固めても、ほころびが生じるものだ」  身がまえたときには手遅れだ。二の腕を摑まれて、引きずり起こされた。佑也は足を踏ん張り、とん、と膝の裏をステッキで突かれてバランスを崩した。  マットレスを弾ませながら、仰向けに倒れ落ちた。 「本日、こなすべき課題を与えよう。〝四つん這いになって足を肩幅に開く。しかるのちに腰を突き出す〟」 「課題っ!? はっ、そんなの知るかよ!」  橘は、ステッキを佑也の鼻先に突きつけてその場に縫いつけておいて、アスコットタイをほどく。それを、意味ありげにひらつかせた。 「きみの泣き顔がとても愛らしいせいだな。マルキ・ド・サド侯爵の末裔ではないはずだが時折、無性にきみを虐めたくなる。さて、高手小手に縛りあげられたうえで、クスコという(くちばし)状の医療器具で拡張されるのが好みであれば、善処するが?」 「ゲス野郎……っ!」 「けっこう。卑劣漢、悪党、鬼畜、外道、人でなし、好きなだけ罵りたまえ」  佑也はステッキをなぎ払った。ぴしり、と肩口を叩かれて怒りに燃える目を橘に向けた。  自分はサバト──魔宴の席上で(ほふ)られる羊も同然だ。ここで下手に橘に刃向かえば、彼は佑也を実験台に痴虐の限りを尽くすにちがいない。

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