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第25話

 のろのろと膝をたたんで居住まいを正した。ぎりぎり、と唇を嚙みしめて、屈辱感に背中を波打たせながら前にのめっていき、這いつくばった。  視線が、突き刺さる。品定め、といった意味合いがあるそれは、盆の窪をふりだしに脊梁を這い進んで狭間に行き着く。  競りにかけられる家畜さながらの扱いを受けて、殺意に類するものが胸中で荒れ狂う。にもかかわらず、いたぶられるのも満更じゃない、といいたげに茎は揺れ惑う。  くやし涙が睫毛を濡らし、佑也は両手を拳に握った。  コツ、コツとステッキが床を打つ。その不吉な物音に神経を逆なでされるたびに、首にかけられたロープの輪がすぼまっていくように感じる。  と、シーツに影が差した。それで佑也は、橘がベッドの足下側に陣取ったことを知った。 「案の定だ。ちっぽけな孔が、催促がましく閉じては開くさまがよく見える」  柳眉を逆立て、弾かれたように首をねじ曲げた。その動きは想定ずみだったのか、すかさず唇の結び目に指があてがわれた。 「舐めなさい。最前、わたしに仕えたときと同様に、丹念に」  歯を食いしばって拒めば、前に回った指が乳首をつまみ、つねる。  もぎ取られる。そう危ぶむほどの痛みに呻き声が洩れたところに、指がねじ込まれた。  門歯というゲートをくぐり抜けた指は、すいすいと泳ぎ回る小魚のように、口蓋に縮こまった舌と戯れる。  その間も乳首を捉えて離さない指は、粒をもてあそびつづけ、痛痒さをともなう疼きをかき立てていく。  ひくり、と喉仏が上下する。吐き気をこらえて唾液をからめているうちに、細腰が匂やかにくねりはじめる。  その、蝶が羽化するような清婉(せいえん)な変容ぶりに、当の佑也は気づかずじまいだったが。  悦に入ったふうに、橘は口角をあげた。十二分に濡れそぼった指を花門に持っていくと、ひと襞、ひと襞、ギャザーをていねいに解き伸ばしたうえで沈めた。  橘の指は長い。しかも手先が器用だ。  隘路を切り開いていくとスイートスポットを的確に捉えて、そこに濃やかで、かつ淫靡な摩擦を加える。

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