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第36話 山田オッサン編【27-1】
メシでも食いに行かねぇ? という佐藤の電話で目が覚めた。
陽はすでに高く、電話を切ってスマホの画面を見て初めて、もう午後になってることを知った。
が、だからといってすぐに起きる気にもなれない。それから再びウトウトして『二度寝してねぇだろうな?』という佐藤からのLINEで再び目が覚めて、そのあと約5分間まどろんでからようやくノロノロと身体を起こして床の煙草を拾って抜いて咥えて火を点け、ダラダラと吸ってるうちに佐藤がやってきた。
「えー早くねぇ?」
「電話から何十分経ってると思ってんだ?」
「シャワー浴びてぇんだけど俺」
「なんでさっさと浴びとかねぇんだよ。それとも俺に洗ってほしくて待ってたのか?」
「ンなワケねーっつーの」
で、仕方がないから煙草を消してバスルームに向かい、シャワーを浴びてから着替えを準備してなかったことに気づき、頭からタオルだけ被ってマッパで部屋に戻ると、佐藤がベッドに座って山田の煙草を吸っていた。
「誘ってんのかよ」
「着るモン忘れた」
ちゃんと理由を説明したのに佐藤は理解してくれず、部屋の隅でウンコ座りして服の山からパンツを引っぱり出してる間に背後から回ってきた手で股間を掴まれた。
「ちょ、コラ、てめっ」
抵抗する隙も与えられず押されて前のめりに服の山に突っ込み、背中にのしかかられて掴まれてるモノを擦られてワケがわからなくなってるうちに、気がついたら後ろから佐藤が入ってた。
「ん、んぁっ、さとッ、このやろ、服がぁっ!」
洗濯終わってる服がクシャクシャになるだろーが!?
なんて文句も口にできないまま、パンツを握り締めたまま、服の山に頬と胸を擦りつけて伸びをしてる猫みたいな姿勢で立てた膝を開かされてケツの中を好きなように引っ掻き回されること、一体どれくらいだか。
服たちはクシャクシャになるだけじゃなく、濡れた髪やら湿ったタオルやら、唾液やら体液やらでグチャグチャになってしまった。
「佐藤オマエッ、コイツらの洗濯やり直さなきゃなんなくなったじゃんよ!」
「お前がそこで誘うからだろ」
「誘ってねーし! オレ言ったし、誘ってねーって!」
佐藤はちょっと考え、言った。
「いや、言ってねぇ」
「言ったぜ!?」
「言ってねぇと思うけど、どっちだっていいじゃねーか。あんだけ腰振っといて、まさか良くなかったとか言わねぇよな? たまには後ろからされたかったんだろ? 確信犯なのはわかってんだよ」
「何がだよ! てかこ、腰なんかっ」
「振ってたよな? もっとだのソコじゃねぇだの言いながら自分で動いてたじゃねぇか」
「してねーし! 言ってねーし!」
「お前のエロくせぇツラが見えねぇからバックは好みじゃねぇけど、そんなに好きなら3回に1回ぐらいはしてやってもいいぜ?」
「好きじゃねーし!」
「じゃあ前からされるほうがいいのか」
「よくねーし!」
「ワガママ言ってねぇで、どっちか選べよ」
「選ばねーし!」
「じゃあ俺が選んでいいのか?」
「好きにすりゃいいじゃん!」
で、好きにさせた結果、気がついたら前から佐藤が入ってて、さっき服の山をグチャグチャにした唾液やら体液やらで主に後頭部の髪が汚れてしまったため再びシャワーを浴びて、かろうじて惨禍を免れてた服を引っぱり出して今度こそ着た。
そして残りの服を全部洗濯機に放り込み、帰ってきたらお前が干すんだからな!? と佐藤に目くじらを立て、ようやくメシを食いに2人で部屋を出る。
あーマジでハラ減ったとブツブツ言いながら階段を降りて行くと、1階の玄関から出てきた佐藤弟と出くわした。
「……ん?」
佐藤弟が1階の玄関から出てきた。
言い方を変えてみても同じことだった。
弟がこちらを見上げて目が合った、と思った途端にまた玄関が開いて次郎を連れた妹が出てきて、今度は妹と目が合った。
「あ、お兄ちゃん」
「ちょっと待て。なんでソイツがお前の部屋から出てくんだよ?」
「嫉妬?」
妹の切り返しは全く意味がわからなかった。
後ろで佐藤兄の声がした。
「え、まさか、単純で屈託のないヤツってコイツのことかよ?」
佐藤兄のツッコミも全く意味がわからなかった。
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