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第5話:会いたくなかった
三木白との行為をして、翌日に真面目に腰が主にやられてしばらく動けなかったので、
さんざん白にこき使わせて(主に洗濯、家事等)やってもらって、なんとかまだ重い体に
鞭打ちながらも、学校に通った。
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放課後、いつものように買い物をし、適当に探偵事務所の依頼が来ていないか確認して
また適当にあいつと・・・と考えていると、目の前に『奴』がいた。
「界十。ようやく見つけた。」
その声と一言だけで息が詰まりそうになる。ヒュッと俺の喉が悲鳴を上げる。
そいつは少し、濃い茶髪にちょっと顎髭を携え、俺の前に立っていた。
・・・俺の父親・・・南曽時公 だ。
「な・・・んでここに・・・」
声が震える。あいつがどんどん近づいてくる。・・・息ができない。
「ここ最近、色々なこととか事件を解決している『探偵』がいると聞いてな。
ひょっとして界十なんじゃないかって。」
「・・・っ!!」
俺のやっていることがバレた。こいつと離れてわざわざ遠い町まで引っ越してきたのに。
全部また・・・。
「さぁ。界十、家に帰ろう。今帰れば俺は許してやれるぞ?」
嘘だと言いたいのにはくはくと口だけしか動かせない。もう目の前にそいつはいた。
俺はただただ、そいつに付いていくしかないのだ。
「いい子だ。界十」
俺は目の前が真っ暗になった。
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・・・俺の父親、南曽時公は警察官。
しかも結構有名なお偉い警察官。その警察官の父に惚れた母は
まんまと結婚をし、こいつの本性も知らないまま子作り。幸いにも男である俺が
生まれたから、母は捨てられずに済んだみたいだ。
だが、俺は生まれてから『父』の様であれ。という教育を受けて育ってきた。
最初のころはただの『有名な警察官の息子』だから。そう思っていた。
けど、大人になるにつれて、そんな教育は間違っていると感じ、すれ違い、
父親 の目は冷たさを増していった。そして、母もそんな俺を何とか説得しようとしてきて、俺は家出をだいぶ前から決意していた。しかし、その前に俺はなんとしても俺を『有名な警察官の息子』として育てようと躍起たっていた。
こいつに身も心も奴隷にされる。
そんな思いから俺は足早に家を飛び出していた。そして、遠く遠く誰も知り合いもいない土地でこの事務所を貸してくれるオーナーさんに出会い、やっとの思いでここまで来た。
でも、多分ここまで見たら探偵業なんてやっていたんだという疑問が浮かぶだろうが、
それは俺には身分を証明するものを持っていなかったからだ。高校に入る前に逃げたから
学生手帳なんてないし、保険証なんて親 が管理しているから尚更だ。
だから、お金を稼ぐにもバイトができる状態ではなかった。だから、こうするしかなかった。
だが、結果はこのざまだ。多分、これから俺は途方もない拷問かはたまた暴力か。
とにかく、無事には帰れないなと思いながら、白の事を思っていた。
続く
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