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「んっ……うぅっ」 「あーあ、抜けちゃった。初めてだろうから気ぃ使って、全部入れないでやったのに……和真はお仕置きされたいの?」 「やっ…やだっ! もうっ……やめっ」  ありえないような事の連続に、パニックになってしまった和真は、無茶苦茶に体を捩って男の傍から逃げようとする。拘束された今の状態では、そんな事は不可能だということすら既に頭にはなかった。 「あっ…ああっ! たすけっ…たすけて!」 「なにこれ……めっちゃクる」  訳が分からなくなってしまい、子供のように叫ぶ姿が、どれだけ男の嗜虐心を擽るのかすら分からない。 「なあ奈津、コイツの孔に突っ込んでいい?」 「ひぃっ!」  後ろ手に……男が和真のアナルに指を二本突き刺し、グリグリとそこを掻き回されて、愉悦に肌が粟立った。 (やっ、やだっ、そこは……おかしくなるからっ) 「まだ駄目」 「あっ…か、かがわ…助けっ」  少し離れた所から聞こえた香川の声に縋りつく。その相手こそが自分をここまで陥れた本人なのだが、そんな事すら考えられないくらいに心が擦り切れていた。 「あーあ、居るってバレちゃった」 「わざとだよ。そろそろ限界かなって思って」 「やっ…かがわっ!」  間延びしたような男の声と、良く知っている香川の会話に、更に混乱を深めた和真が弱々しく名前を呼ぶと、アイマスクを上にずらされて不意に視界が明るくなる。 「あっ! あぁっ……ん!」  それと同時に前立腺を爪で引っ掻かれ、襲った鋭い愉悦に溜まらず喘いだ和真の歪んだ視界に、爽やかとさえ思える香川の整った笑顔が映り込んだ。 「ヒクヒクしてる……サイッコーに具合が良さそう」  もう一つの声の方へぼんやり視線を移動させると、香川と良く似た雰囲気を持つ男が胸を跨いでいた。 「いつも何か突っ込んでないと居られないくらい、淫乱な身体にしたい」 「ああ、分かってる。和真は最悪な奴に捕まっちゃったな……同情するよ」 「なっ…あぁっ! そこっ…や…やだっ!」  香川が最悪な男なのは、ここまでくれば分かっているし、目前のこの男も、口先だけで同情なんてしちゃいないことは分かっていた。

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