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「ただいま」
聞こえてきた奈津の声に、慌てて和真は玄関へと向かう。革のボンテージに包まれた身体は大切な場所は全て剥き出しで、勃起した乳首とペニスにはリングピアスが付けられていた。
「おかえりなさい」
奈津の足元に跪き、服従を示すようにその靴先へと舌を這わせると、頭を優しく撫でられる。
「いい子。和真……今日はいいものを持ってきたんだ。おいで」
(いいもの? きっとまた……ろくでもない)
何度かここから逃げようとしたが、ことごとく失敗した。その都度躾と称されて、ピアスを開けられ、鞭で打たれ……快楽に叩き落とされ続け、抗っても無駄なのだと嫌というほど教え込まれたが、和真はまだ完全には逃走を諦めてはいない。
(従順なふりをしていれば、いつか二人から逃げられる筈だ)
「おかえり、奈津」
這って奈津の後に続くと、リビングへと入ったところで奥の部屋から薫が出てきた。
彼の仕事は知らないけれど、昼間は大抵鍵のかかった奥の部屋へと籠もっている。だが、時折出てきて和真の身体を好き勝手に嬲るから……常にそれに怯えながら囚われの日々を過ごしていた。
「今日は和真を飼って、ちょうど2ヶ月だから……プレゼントを持ってきたよ」
「え?」
「ああ、言ってた奴ね」
二人の会話の意味が分からず、和真が交互に見上げていると、「見て」と言った奈津が鞄から細長い箱を取り出した。
「和真は粗相の癖が抜けないから、いっそ塞いでおこうって話になったんだ」
「え……あ」
微笑みながら奈津が開いた箱の中には、耳掻きを太く長くしたような金属が入っていて、用途の分からぬ和真はそれを食い入るように見つめてしまう。
「先端にルビーがついてる。この留め金で止めて、鍵を掛けると外れないんだ」
「俺たち偉いよな。ペットのためにここまでするって……まあ、和真が可愛いから仕方ないか」
「なん……ですか?」
「違うだろ」
思わず零れた質問に、低く答えた薫に睨まれ和真は慌てて正座をすると、「ありがとう…ございます」と、悔しさを飲んで頭を下げた。
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