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 *** 「まだ諦めてないところが、可愛いんだよな」 「うん、でも、きっと従順になったらもっと可愛いよ」  涙の痕が色濃く残る頬にそっと指を這わせ、薫の声に奈津が答えると、ぐったり力の抜けてしまった和真の唇が僅かに開く。 「……けて、たすけ……」  意識は既に無くしているから、きっとさっきの夢でも見ているのだろう。 「それにしても、よく入ったな」 「もっと広げられるってお店の人が言ってた」  尿道口にキラリと光る小さいながらも透明な朱は、色素の薄い和真のペニスに良く映えていて可愛らしい。  ペットを飼ってからというものの、二人の仲はさらに安定した。和真が二人の潤滑剤になってくれるから、好きなのに繋がれないというジレンマに苦しむ事も無くなった。 「薫、好きだよ」 「お前が口に出すなんて……珍しいな」  愛する恋人の口を自分のそれで塞いでしまう前に……薫は視線を僅かに落として、愛しいペットを視界に入れる。 「ずっと一緒だ」  和真の頭を軽く撫で、奈津のほうへと視線を向けると、口角を少し引き上げた彼が「ああ」と小さく囁いた。                     【第一章 終わり】     

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