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「まだ諦めてないところが、可愛いんだよな」
「うん、でも、きっと従順になったらもっと可愛いよ」
涙の痕が色濃く残る頬にそっと指を這わせ、薫の声に奈津が答えると、ぐったり力の抜けてしまった和真の唇が僅かに開く。
「……けて、たすけ……」
意識は既に無くしているから、きっとさっきの夢でも見ているのだろう。
「それにしても、よく入ったな」
「もっと広げられるってお店の人が言ってた」
尿道口にキラリと光る小さいながらも透明な朱は、色素の薄い和真のペニスに良く映えていて可愛らしい。
ペットを飼ってからというものの、二人の仲はさらに安定した。和真が二人の潤滑剤になってくれるから、好きなのに繋がれないというジレンマに苦しむ事も無くなった。
「薫、好きだよ」
「お前が口に出すなんて……珍しいな」
愛する恋人の口を自分のそれで塞いでしまう前に……薫は視線を僅かに落として、愛しいペットを視界に入れる。
「ずっと一緒だ」
和真の頭を軽く撫で、奈津のほうへと視線を向けると、口角を少し引き上げた彼が「ああ」と小さく囁いた。
【第一章 終わり】
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