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「社長のココも立派に育ったみたいですね。どうです? なんなら処理に使っていきますか?」
「それは有り難い申し出だが、彼は噛みついたりしないかい?」
ズボンの上から薫の手が、緩く股間へ触れてくる。冗談混じりにそう答えれば、
「心配なら、口ではなく、こっちを使ってやってください」
と、ヒクつくアナルを示されたから、それには少し驚いた。
「主人以外が挿れても、問題無いのかい?」
「ペットもたまには違う刺激を与えないと、鬱になってしまうと聞きます。こういった事は初めてですが、コレは淫乱だからきっと悦びますよ」
『さあどうぞ』とコンドームを手渡され、加納は唇の片端を吊り上げる。SMプレイという観点では遊ぶ相手は幾らでもいるが、ここまで徹底された躾を施されている人間は……これまでの人生でまだ殆ど目にしたことが無い。
彼らのしているこの行為は、きっと合意の上ではない。だからこそ、和真の色香は陰りを帯び、艶めかしくも背徳的だ。それを自分がしようとすれば、社会的な地位を追われる可能性を秘めているし、何よりここまでしたくなるような相手が今までいなかった。
「和真、自分で解しておねだりするんだ」
「できるよな」
「アウッ……うぅっ」
カテーテルを抜かれた刺激に一瞬意識を飛ばしたようだが、何度か頬を薫に打たれて無理矢理現実に引き戻される。
拘束していたロープを解かれ、テーブルの下へ降ろされた彼は、どうやら腰が抜けたらしく座り込んでしまっているが、それでもゆっくり視線を上げ、濡れた瞳でこちらを見た。
***
「はい」
ローションの瓶を奈津に手渡され、和真はそれをじっと見る。
「俺達はあっちに行ってるんで、自由に使ってやってください」
そう加納に告げた薫が、奈津の頬へと愛おしげにキスをする様子を見上げ……和真の胸がズキリと痛んだ。
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