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「君は、助けて欲しいんじゃないのか?」 (助…け? そうだ、俺は……)  ここから助け出して欲しい。ずっとそう思っていた。 (けど、だけど……) 「アァッ……くぅっ」 「ちゃんと言わないと分からないよ。ほら、言いなさい、どうしたいのか……このままでいいのか?」 「ふっ……うぅっ……やめっ、やめて!」  掻き混ぜる指が三本に増やされ、前立腺を抉るその動きに、張りつめていたペニスの先、尿道口から透明な液がポタポタと垂れて床を濡らす。 「そろそろ私も限界だから、君の孔を使わせて貰う。終わるまでに、返事をきちんと考えなさい」  臀部をペシリと平手で叩かれ、和真の体が強ばった。同時にアナルへ切っ先が触れ、それが中へと侵入してくる。 「やっ、やだ! 入れな…でくださ……たすけ、たすけて、ナツ、カオル……行かな…で」 「なるほど、そういう事か……(はか)られたな」  必死に紡いだ言葉は掠れて最後の方は空気に溶けたが、それでも聞こえていたらしい……動きをピタリと止めた加納が、溜め息交じりに呟いた。 「君の気持は分かった。でも、これは、君の主人との約束だからね。遠慮なく使わせて貰うよ」 「やっ、ああっ! やだっ……あぅっ!」  刹那、加納の猛りにアナルを奥まで貫かれ、その衝撃と快感に……和真は床を掻き毟りながら、なんとか前へ逃れようとするが、その力は余りにも弱く、なんら抵抗にはならない。 (たすけ……て)  自分という存在は……互いに思い合っている二人が愛し合う為のただの道具だ。  そこから逃げ出したいと何度も試みたけれど失敗し、その都度酷い折檻をされ、従順になれば誉めてもらえた。 (だけど、こんなのは……嫌…だ)  そんな過酷な生活の中、いつのまにか、二人に芽生えたこの感情の本当の名前を和真はまだ知りはしない。ただ、他の男に犯されるのは、心の底から嫌だったし、なにより自分を置いていってしまった事が悲しかった。

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